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【書籍化・コミカライズ】【Web版】おっさん(3歳)の冒険。  作者: ぐう鱈
7章:宗教戦争で最も悲惨なのは宗派争い
147/205

120.7「死の国へ3」

おはようございます!ダンジョン農家!ともども短いですが進めていきます!それが大事!なはず!

☆ ☆ ☆

「ラシア。君はこの状況を如何に思う?」

 僕の名はラシア。目の前にいらっしゃるのは少年王アンリ。

 ……と呼ばれた我が国の英雄王……だった方。

 ……いえ、すぐに英雄王に戻れる。我ら臣下一同そう信じています。

「僕の意見など畏れ多くも……」

「聞きたいから問うている。自分をそう卑下する者ではない」

 王は慈悲深い。

 このような片腕の僕に……。学のない僕にも気を遣ってくれる。


 かつて僕はハンターと呼ばれる存在だった。

 国情が思わしくないと言われ始めたとき、僕が所属していたパーティーは魔王国に活動拠点を移すことになった。

 人間差別が残る魔王国に渡るのは忌避感があったが、その当時は最良の選択だったのだろう。

 しかし僕は国内に残った。パーティーを離れ、ソロで国内で活動することにした。

 理由は少年王陛下には恩があったから。

 妹を貴族の魔の手から救ってもらったという恩が……。

 少年王陛下にとっては数多ある貴族との抗争、そのほんの1つだったかもしれない……。

 でも僕は忘れない。

 あの絶望に染まった我が家を、希望の色に塗り替えてくれたこのお方を……。あのご恩を……。

 だから僕は、彼の治世が乱れようとしているのであれば、家族を魔王国へ送り出しても自分は残る。一兵卒として少年王陛下のお味方せねばと思ったのだ。

 そして僕は反乱軍の凶刃から王を守るため身を盾にし、左腕、そのひじから先を呪いによって失った。


「して、いかに思う?」

 少年王の目が本気である。

「逃すには大きすぎると思います」

「ほう……」

 少年王の目が鋭く、そして王にふさわしい雰囲気をまとう。

 思わず息をのむ僕に気づいた少年王陛下は苦笑いを浮かべ、そしていつもの気さくな笑顔に表情を変える。

「彼の灰色の御仁は噂に聞くアルキアの案山子、それを2体、しかも自我を……」

 この魔王国特殊部隊一行について語る僕。

 真剣に聞く少年王陛下。

 言葉を紡ぎながら僕は、少年陛下のその瞳はやはり覇者の瞳だと思うのだった。

 御恩と奉公。御恩は返せないほどいただき、さらに今覇者に仕えるというやりがいまでいただいている。

 奉公は……もちろん、この方を王へと返り咲かせること……。

 僕は冒険者上がりの兵士。王を守るため、身を投げる程度の事しかできない取るに足らに存在。だが、もう1つ。僕でも役に立つことがある。それを、せめてそれをこの僕の英雄の為に……。


~~~+α~~~

「密談! そしてこっそりのぞく私!」

「マイルズ、何で女中さんの服を着ているの?」

「……様式美ですミリ姉」

 その後なぜだか抱っこの上、拉致され、勝さん1号とマモルンから憐みのまなざしを受けました。

 おかしいのです!

 え? 祖父と祖母にこの絵を贈りたい?

 ノーです!

 断じてノーです!

 ……ちょ、勝さん1号なんで価格交渉してるんですか!

 ……え? 何? 獣王国と違う様式美で需要有? ですと?

 待つのです。魂を分け合った兄弟よ。

 ……結局、その筋の方々に大変喜ばれたそうです。

 勝さん1号がそろばんをはじく音が楽しそうでした……。


ここまでお読みいただきありがとうございます。

数日中に次話出します!

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