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105「お昼寝するのであとよろしく」

前の話しが何故だかダンジョン農家になっていました。

すみません。昨日の23時に修正いたしました。

よろしければご一読ください。

 それはマイルズが昼寝中のお話。

「プニプニなの~♪」

 いつの間にそこに居た少女は、金髪にエメラルドの瞳に木製だった。

 一見、木精霊ドライアドを連想させる容姿だ。

 だが、彼女が登場してから平伏し頭を下げ続けているのも事実である。それも獣王が。

 そう、彼女こそ神樹の分身体である。

 先ほどマイルズが寝てしまったのも、3日間かけて神樹の根本各地に特殊魔法回路プログラムを施した魔石を神樹本体に仕込み通常の人間10万人分もの魔法力を行使し、神の依り代を作成したからである。

 これはこの数百年、世界で起こった全ての事象の中でも群を抜いた奇跡である。

「そしてこの体! ご飯が食べられるの!」

「おいしいごはんと聞いて!」

「小さくなったわね……って神樹。貴女、その体……」

 いつものように唐突に現れた姉妹神は、神樹の体をベタベタと触ると、彼女を連行して神界に戻る。

「急ですな……」

「いつも突然なんですよね……」

 置き去りの男性神2柱。

「驚いたの! 突然だったの!」

 突然、後ろから発生した神樹の言葉にぎょっとして振り向く2柱。

「2号なの。どうやら地上と天界に1体づつ分身体を常駐できるようなの! 尚、天界の分身体は精密検査中なの、それ以上中を見られると照れるの……」

 もじもじする神樹は、外見中学生なので犯罪の香りがする。でもこの神樹、2万歳近くいってるんだけどね。


「取り敢えず、神殿に進むの!」

 神樹がそう言うとアーチから先の光が弱くなり、木造の神殿が薄い光を漂わせて現れる。それは神樹の根本に作られた神殿だった。

 先日の神樹大移動でも壊れていないのでこの神殿も神樹の一部のようだ。

「皆の者、面を上げるがよい」

 神獣。全長10m、白い毛並みの神々しい狼。その口から重く魂へ響く言葉が獣人たちに響く。

 その言葉に歓喜でむせび泣く者もあらわれる。獣人たちは皆一様に感動する。


「あ、だがその前にそこの泉で体を清めて参れ。あとあそこの段差で靴を脱げ。そして足湯で足を清めよ。我が神殿汚すなよ! 掃除が面倒なのだ……後、我きれい好きだ」

 いらない情報に現実に戻る獣人たち。

 その後ゆっくり泉で体を清めて獣王とその親衛隊10名が恐る恐る神殿を進む。

 巨大な神獣に付き従い進む、神殿は神話をモチーフにした彫刻がところどころに設置されていた。王宮勤務で芸術作品を見慣れているはずの近衛と獣王が、思わず時を忘れて見入る程心に衝撃を与える芸術作品だった。

 そしてそんな獣王とその一行がさらなる衝撃に襲われる。

 一歩神殿中心部に足を踏み入れると、彼らはその場で固まった。

 空気に圧倒される。

 これでも大国の王とその腹心たちだった。

 だが神の住まう神殿など来たことがない。

 少し違う話だが、前獣王が神獣の御子の護衛を買って出たのは、この神殿を堪能したかったからだと言われている。

 そんな一行を横目でチラチラと見ながら神獣はご満悦だった。

 そう全ての作品の作者は彼だった。

 息をすることを忘れた一行を、権三郎は冷めた目で見ていた。

 マイルズを抱っこしてスキップを踏みそうな勢いで進む神樹と、感動で涙する獣王達と、それを満足げに眺める神獣。カオスである。

「マスター、早く起きてください。カオスです」

 冷静な権三郎らしくない一言であった。

 結局彼は当然とばかりに獣王達を放置して神樹と進む。

 その先に神宮寺を待つウッサが居るのだが、神宮寺は神殿へ入る前に緊急の仕事で天界へと帰っていた。

 それを知って盛大にがっかりするウッサと、ギースが害虫を成敗したような満面の笑みを浮かべるのだがそれは2km先の広間での出来事である。 


カクヨム+α

 夢を見ました。

 それは歴史的建造物の指定を受けた教会の2階部分。物置のような場所でしたが、窓からは礼拝堂が見下ろせます。子供の礼拝が終わり、今は大人の礼拝をしています。

 大人たちを見下ろしているとそっと抱き上げられます。

「勝ちゃん。あっちでみんなと遊びましょうね」

 私はそのままみんなの輪に加わります。

 優しい記憶。

 朧げな意識で素直に世界を見ていた頃の記憶。

 あれ?

 あなたは、

 ここは、

 誰?

 どこ?

 ……いえ、ここは実家の近くの教会。

 そしてこの人は……誰でしょう? 覚えがありません。

 貴女はだれですか?

 その後の人生でお会いしたことがありますよね。『そのままの姿』で……。

 本当の意味、貴女はどなたなのでしょう?

 私の夢は、昔の記憶をゆっくりと再生して終了しました。

 そして目覚めるとがっかりしているウッサと、エプロンが嫌に似合うギース……じゃなくて筋肉の偉い人がいました。


「まーちゃん、おはようなの! この筋肉お料理上手なの!」

 神樹様はマイペースのご様子で。


ここまでお読みいただきありがとうございます。


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