101.5「姉妹の演出は過剰、とだけ言っておきましょう」
おはようございます!
最近ダンジョン農家!を書くのがつらくておっさん(3歳)を書けませんでしたが。今週末はおっさん(3歳)優先だ!!そしてカクヨムの方で外伝も書くぞー!(公開は来週末だと思います………)
追伸:兄に進められて最近ハマっている「中村えみ」さんの「大人の言うことを聞け」と言う曲がおっさん(3歳)のイメージにドンピシャでした。まーちゃんがこの曲に合わせて「そうなのです勝さんはまだまだ若造♪」とかいって最後尾で踊ってるイメージがw気になる方はグーグル先生に聞いてみよう!(公式のMVが公開されています)
「神宮寺バリア!」
光の速度で展開される神宮寺君の防御フィールドを焦がし、やがて私の魔法は収まります。
「やばいっす。まーちゃん先輩! 防御ギリでしたよ!」
焦っている神宮寺君。いい感じです。
「神宮寺君。ガトリングレーザ魔法(強)という魔法もあるのです。通常封印なのですがまーちゃん2.0では標準装備なのです……味わってみます? 神様って殺してもそうそう死なないらしいですし。一遍ぐらい死にます?」
「誠に申し訳ございません。この世界安定部レベル19課課長神宮寺孝。お二人の新たな門出にあたり、ご多幸とご健勝をお祈り申し上げます。そして祝福を授けますのでその周囲に浮いてる無数の光源を消してもらえませんか……神様からの切実なお願い♪」
ナチュラルな土下座からの祝辞でした。
周囲は平伏したまま冷や汗をかいている。神殺しは重罪なはず。
「まーちゃん! 神宮寺様にケガさせたら めーっ なの!」
ウッサが可愛い。
「神宮寺君……」
光源を消して神宮寺君に手を差し伸べます。
「はい!」
がばっと勢いよく顔を上げる神宮寺君。
「本来であれば、天界まで押しかけて上司の方と直談判ですが……………」
「え? まーちゃん先輩天界まで来られるんですか?」
「……」
怯える神宮寺君に笑顔で回答。
更に怯え始める神宮寺君。
「だって、監督不行き届きです。管理職に一言申し上げ無いといけません……ですが、ウッサが【ああ】いうのでやめました」
「あざーっす! 先輩! そして少女!」
神宮寺君は起き上がり、私に深く礼をするとウッサを抱えあげて喜びを表現しています。
うん、これで神聖な空気がなくなった。
神宮寺君……これ神様的にもロリコン認定ですよね……。
『ロリコン待ったなし!』
『神獣になれば、ロリコンではないです。惜しいですね。じんぐ………下っ端』
神宮寺君の呼び名途中まであっていたのです。
結婚神様この儀式を汚されてお怒りのようですね。
そこで、まーちゃんから提案です。
神宮寺君に儀式の空気が完全に破壊される前に、御2人にはご登場いただくが吉と思います。
『『承知』』
……それからすぐでした。
静かに拍子木が打ち鳴らされた様な音が、日の光が落ち、神降臨の光の柱のみに照らされる暗い儀式場に響きます。その光景はまさに幻想的でした。
神宮寺君はウッサを抱えたまま、急いで儀式場の上座から獣王様達のいる袖に下がります。そして『平伏を解くな』ときつく言っているようなプレッシャーを発し、自らも平伏します。
カーン
定期的に打ち鳴らされる木の音に反応して、光の階段が一段ずつ現れます。
荘厳な雰囲気の中、まず和太鼓の音が、次に幾種類もの笛が追随する。
それはまさに雅な音楽だった。だが、それも添え物。
【皆の者ご苦労。ホーネスト7世とマイルズの婚約を祝い、我らが祝福を授けましょう。面を上げるがよい……】
それはまるで鈴の音のように優雅に。
それはまるで母のこの場のように優しく。
この場に居る全員の鼓膜を揺らします。
そして全員が顔を上げ光の階段に驚愕する。
感涙に咽ぶ者が続出する中、そこらから降臨するであろう女神を待ち望みます。
雅な音楽も場を盛り上げるように太鼓が激しく打ち鳴らされ、やがてそれも静まった。
満を持した様に、1柱の光が光の階段最上部に出現する。
強烈な光の柱は、ゆっくりと光量を落とし中に居る人物を見ることができるようになりました。その方は御一人。容姿はピンクの髪の西洋美人、身にまとっているのは薄紅色の品の良い着物。どこかのお姫様でしょうかという様相、しかし……なぜ和服。
『最近の流行りです!』
えっと、空気読もうね結婚神様。
「我が名は結婚神ユノス。まーちゃんを愛でる会会員」
おい! 主賓が率先して空気を壊していくスタイルですか!!
と心の中で突っ込みますが。
結婚神様宛の思考ではなかったので聞こえなかったようです。
「此度の婚約を祝し汝らに祝福を授けに参った」
結婚神様のオーラが神聖な光の波が儀式場を徐々に染めてゆく。
儀式場内からは感嘆の声と、喜びに感極まった嗚咽が漏れる。
カンカーン
そんなざわめきの中、『静粛にせよ』とばかりに打ち鳴らされる。
そして再び雅な音楽が始まり結婚神様の横に光の柱が現れ、やがて音が収まると中から純白のドレスに身を包んだ黒髪の恋愛神様が現れる。常にピンクの小さな光が彼女の周りを浮遊しており神秘的な効果を見せている。ですが……普通なのです。
『がーん。ちょっと正装しただけなのに……』
『うふふ。まだまだねあなたも』
以上、表情に見せない神々のトークでした。
「我が名は恋愛神ティア。まーちゃんを愛でる会会員」
あなた達! それ重要事項なのですか? 儀式そっちのけで言う事ですか?
「我ら此度の婚約を祝し汝らに祝福を授ける! 受け取るがよい!」
そう言うと御2人は中空に手を伸ばし、とんでもない量の魔法力を込め始めます。
私をして直視できないほどの魔法力と芸術的な魔法回路に驚嘆していると、ハタと気付きます。
魔法回路? 恩恵や祝福、加護などはそんな手続き踏まないはずなのですが……。
私もその他大勢と共にその光景を呆然と見守る。
光はやがて収縮し光の球となり1つは獣王様に、もう1つは王妃様の手に渡ります。
2人は恭しく受け取ったそれは……赤子でした。
事案です。神様による乳幼児誘拐事件なのです!!
運命神様辺りに訴えたらいいのでしょうか?
『『すとっぷ! そして少しまとう! おちつけ!』』
結婚神様と恋愛神様の事は信頼しているのです。
少しだけ待つことにします。
その私の思念に安心したのか結婚神様が語ります。
「獣王、汝に授けたのはリカリオ」
恋愛神様がその言葉に続きます。
「王妃よ、貴女に授けたのはモージョン」
一拍置いてお2人が声をそれて言います。
「「体を失い世界を漂いし2人。この場に復活させた。さぁ神獣の民よ。この婚儀と王族の復活に喜び祝うがよい」」
彼女らのセリフで世界に光が戻ります。
それに合わせるようにお2人も退場していきました。
『拾ってきた子じゃないの』
『肉体が壊れて転生できなくなった子を私たちの神聖な力で復活させたのよ』
『『だからあの方に通報だけはやめて!』』
了解なのです!
あ、あとで王宮までお越しください。
父や勝さん1号から美味しい物搾りつくしますので。
『『やった! だからまーちゃん大好き!』』
その後色々と儀式が続きましたが、全員どこから涙が出るのかとばかりに泣き続けていました。
リカリオちゃんとモージョンちゃんの復活祝いはこの後10日程続きました。
まーちゃんパンを咥えながらその光景を見ていた結婚神様がこう漏らしました。
「めっちゃ力使ったけど、やってよかったかも♪」
意外と軽いな……。
ここまでお読みいただきありがとうございます。
この章のテーマですが「初恋」だったりします。
そう神宮寺君まで引きずっています。異世界に自分も転生しようとかしないはず。





