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【書籍化・コミカライズ】【Web版】おっさん(3歳)の冒険。  作者: ぐう鱈
5章:レベル神 神宮寺、ちょっと校舎裏まで
105/205

99.1「ダンジョン攻略と帰宅難民のダンジョンマスター7」

 100話だと思いました?

 予定のプロットが踏めないので小数点で伸びました!

 本来この章終わってる話数なのですが…すみません。

 「もうちょっとだけ続くのじゃ」(byエロ仙人)


 ……と言うわけで本編どうぞ!

「やるじゃない。小娘!」

「おばさん、息上がってるよ? 歳なんだから気をつけなきゃ。あとそのお顔の壁、崩れかけてるよ♪」

「がきがあっぁぁぁぁぁぁ!」

 75階層から実況生中継しています。

「王都10万の市民の皆さんこんにちは! 私は実況を担当します……今一番愛されたい幼児(3歳)ことまーちゃんです!」

「……解説は運命神の使徒、香澄です」

 あ、カメラ担当の変態王子! わたしばかりじゃなく香澄ちゃんも映しなさい!!

 ……なんで渋々何ですか?

 権三郎と代わりますか?

 ……よろしい、初めからそうしなさい。

「さて解説の香澄さん、突然始まりました。美少女戦士マモルンvs高位ダンジョンマスター(中年女性)の一戦ですが、どのように見ますか?」

「まーちゃん、(中年女性)は失礼なので撤回してください」

「失礼しました。美少女vs嫉妬に狂ったおばさん対決です!」

「おい! そこの幼児!!!! ……ぐっ、このタイミングで攻撃してくるんじゃない!小娘」

 出演者は対戦に集中してほしいところです。

「おおっと! ここで挑戦者マモルンからマモルンキックがさく裂!!」

「あのキック、単発で大岩を砕く威力を誇っています」

「砕けた! ダンジョンの床が砕けた!!! レベル100で傷つけるのがやっとと言われるダンジョンを破砕しております! まさに破壊の女神!!」

 マモルンの頬が朱に染まります。照れてます。女神と言われて。

「安い誉め言葉で照れる! そこが可愛い! 皆さん分かりますか! これがマモルンなの! これがチョロインなのです!!」

 香澄ちゃん暴走してますね。のっかりましょう。

「放送を見ているみなさん! ぜひ挑戦者マモルンに声援を!! せーの、マーモールン! マーモールン! マーモールン! マーモールン! マーモールン! マーモールン!」

 頭を抱えて蹲るマモルン。かわいらしい。

「貴様! 邪魔するか!」

 女性ダンジョンマスターが手を振ると熱線が生まれこちらに飛来しますが。

 接触前に消し飛びます。放送席は結界で保護されています。

 やられたらやり返します。という事で電磁投射砲を威嚇射撃です。

ドン!

ズドオオオオオオオ

 私から放たれた閃光がダンジョンの壁を深くえぐります。フロアボスの部屋なので倒壊することはないでしょうが、奥が見えません。気にしたら負けです。

「放送席への攻撃は次回から当てますよ♪」

 コクコクと高速でうなずくお二人。おかしいですね。なんでマモルンも?

「さて、ここで両選手のプロフィールを読み上げましょう。まずマモルン選手ですが上から……何ですか解説の香澄ちゃん。その手は……」

「実況のまーちゃん。その数値……いったい『いつ』計ったのかしら? 返答次第で……」

 殺意の波動が広がります。私を含めて一同震え上がります。

「先日ご一緒した時の健康診断のデータです」

「いいでしょう。でも公表は不可です」

「これは非情! 王都10万の民衆が不満の声を上げております!」

「知りたければ私を倒してからにしなさい……」

「おおっと! 父親だ! ここ解説で香澄ちゃん! 父親と化した!!!」

 マモルンはさっと相手から距離を取り、武装をスティックから立てかけておいた槍に変える。

「マモルン! 地上戦モードだよ!」

「なるほど! あれだと顔が隠れる! ナイスアイディアだ丸雪」

 槍でけん制しつつマモルンが吠えます。

「さて、この一戦。スティックの遠距離遊撃タイプのマモルンと、見るからに脳筋、両手剣を一本ずつもった他所のダンジョンマスター。タイプの違う者同士の一戦かと思いましたがここでマモルンが槍を持ち出し、接近戦の様相を呈してきました。これはマモルン、接近戦にも自信があるという事でしょうか香澄ちゃん」

「はい。槍の中級しか取っていないマモルンですが、運命神から与えられたスキルで超級の技術を持っています。しかし槍の戦略・戦術レベルはあくまで中級。腕は超一流。相対するダンジョンマスターは予測不可能な攻撃で大変になると思います」

「なるほど、ちぐはぐな攻撃と判断という事ですね!」

 まさにその通りの展開です。

 距離を詰められないようにするのが長物としての槍の扱い方のはずがマモルンは積極的にダンジョンマスターの懐に飛び込みます。今も肩を当ててダンジョンマスターを吹き飛ばし……技を放つ。

「必殺! 冥王波動突き!!」

 いやそんな技ないから……と思っていたら朱槍から黒い波動が放たれます。

「これは! 何と言う奥義でしょうか解説の香澄ちゃん!」

「マモルン中二病奥義の1つですね。あの黒い波動は触れるものを腐らせます」

 ダンジョンマスターはその解説を聞いて受けるのをやめて剣による衝撃波で迎え撃ち逃げ出す。

「丸雪、信じてるぞ! 変~身! とう!」

 フロアに光が満ちる。

 やがて光が収まるとそこには純白ドレスの上から金色の鎧をまとったマモルンが現れる。背中の大きな金色の翼が良いアクセントになっています。


「実況のまーちゃん! これはどういう事!」

「解説の香澄ちゃん。これが伝説のアテナのゴッドク〇スと言うやつなのです!」

 フルフルと怒りに震えるマモルンは手にしていた大盾をフリスビーのようにして投げつけています。

「いけません! マモルン、それは天秤座のお爺さんの技です!」

「実況のまーちゃん! ダンジョンマスターが迎え撃つようです!」

「負けるか小娘!!!」

 ダンジョンマスターは剣をクロスに構え盾を迎え討ちますが……それはやってはならない愚策です。

「ぐううううううう!」

 少年漫画のように熱い展開ですが、その力のぶつかり合いもやがて盾に押し切られて終わります。

「きゃああああああ」

 剣は砕かれ、わずかに直撃をかわしたが鎧をかすめるも衝撃で壁にたたきつけられダンジョンマスターは意識を失います。

「おっと決まった! これは痛い! ダンジョンマスター立てない! ここでレフリー、腕をクロスします! 勝者! まーーーもーーーるーーーん!!!!!」

 なんか納得できない様子のマモルンを置いておきましょう。

「解説の香澄ちゃん、勝因は何でしょうか?」

「一言、愛の力ですね」

「なるほど! マモルンの愛の力が奇跡を起こしたと!」

「はい! 素晴らしい奇跡です!」

 視線の先で首と手を高速で振るマモルンを無視して放送を進めます。

「では王都10万のマモルンファンの皆さん。熱い一戦の余韻をたのしみながら、この放送を終わらせていただきたいと思います。実況は私、まーちゃん。解説は……」

「運命神の使徒香澄」

「の2名でお送りしました。皆さん良い平日を! ……あ、マモルン変身セットは近日販売予定! 心してまて! と宣伝をして終わりなのです」

 笑顔で手を振る私たち2人。

 20秒ほどしてでしょうか「ハイ、カット」と勝さん1号の声がしました。


「「「お疲れ様でした―」」」

 緊張感のある現場の空気が緩み各人それぞれ片づけを始めます。

「マイルズ、マモルン変身セットって……」

 マモルンがひきつった笑顔です。ゴッ〇クロス脱ぎましょうね。それ神話世界の凶器です。

「利益の3%が勝さん1号からマモルンに入ります。うふふ」

 笑ってごまかしておきましょう。

 そして勝さん1号の方に矛先を向けて私はレフリー役の権三郎と共にダンジョンマスターに近付きます。

 水色の髪が特徴的な(10年前は)美人さんなのです。

 息をしていることを確認して彼が現れるのを待ちます。


「失礼。よろしいか?」

 赤髪でヒゲを蓄えた中年男性。ナイスガイと評してもよいスーツの男性が静かに声をかけてきます。

「どうぞ、お持ち帰りください」

「すまない。では、……13時26分ダンジョン不正関与の容疑で容疑者確保!」

 赤髪の男性、その後ろから天使のような羽を持った重武装の男たちが現れダンジョンマスターを拘束した。

「ご迷惑をお掛けした」

 去り際に全員がこちらに一礼をして消えてゆきました。

「マイルズ。アレ……」

「どうやらここのダンジョンマスターではなかったようですね(棒)」

 まぁ、そう言う事です。


次回予告!「ダンジョン攻略と狸ハーレム!」


 クレイマン遊撃部隊で一番地味な種族「クルマント(鉄の尻尾持ちの狸)」に転生した元日本人ジョージ。彼は果たして本能に勝てるのか!中身は人間だけど狸の色香にやられる!本能に理性が完全敗北!!!そこに現れた初心な人間カップル!爆ぜろ!ジョージの未来はどっちだ!!!


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