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第70話「先手を打った執事さん」




 マジックジュエルを各方へ返却した後、いい時間なのでログアウトした私は現在晩ごはんの席についている。

 今日は鯵を中心にした和食で、私は長ネギとお豆腐のお味噌汁などを担当した。ちょっと薄かったかなあ。

 そんな事を考えつつ、私はMSOでの事をみんなに話していた。クエスト《怪盗マリーにご用心!》については結構興味があるらしく、聞いてくれていたんだけど……。


「戻っ、ちゃっ、た……?!」


 花菜が絶望したような表情でそう確認してきた。


「うん」


 私が言ったのはアリッサの人形化が解除されて元の大きさに戻れた辺り。

 が、花菜にしてみればそれは死活問題であったらしく叫びを上げた。うん、そんな気がしてた。


「出ーおーくーれーたーっ!! もぎゃあーっ!! やっぱり今朝お姉ちゃんに土下座しとけば良かったぁーっ!! ぢぐじょーっ!!!」


 椅子をガタンと弾き飛ばして立ち上がる。カランカランと箸がテーブルを跳ね、それを見たお母さんの眉間がグランドキャニオンになる。


「花・菜。食事中です、座りなさい」


 底冷えのする声が響くのだけど、花菜はぐすぐすと泣きべそをかいている。


「あたしもアリッサお姉ちゃんメイドフォーム見たかった触りたかった嗅ぎたかった食べたかったよーう、おべろーん!!」

「食べたかったが聞き捨てならないけどとりあえず座りなさい、お母さんが爆発する前に」


 そしてようやく花菜は座った。

 でも座って私の太股に顔を埋めたのは何でかなー。


「おーいおいおいおーいおいおい! 時間よ戻れ! ……戻らないー!」

「まったく……この子は」

「そうだね、今更な気もするけど」

「でもあたしもちょっと見てみたかったかしら」

「お母さん……!」

「お父さんも見たいなー」

「この家族はみんなこんなですかっ!」


 私の嘆きを響かせながら、晩ごはんの時間は騒がしくも笑いに満たされて過ぎていくのでした。



◇◇◇◇◇



 晩ごはんを食べ終わり、後片付けも済ませた私は自室へ戻ろうと階段を半ばまで登った時、後ろから声が掛けられた。


「お姉ちゃーん、またアリッサお姉ちゃんに会いたいでごわす」

「だめ」

「一刀両断ですよ……」


 がっくりと階段に手をつく花菜を呆れた目で見下ろす。


「悪いけどまだクエストが終わってないの。クラリスは連れていけないから諦めなさい」

「ほえ? マジックジュエル返し終わったんでしょ? まだ何かあるのん?」

「まあ……ちょっとセバスチャンさんが、ね」


 そう言って階段を登るのを再開する。


「じっちゃん? じゃあしょうがないかー」

「あれ、ずいぶんあっさり引いたね。もっとタコの吸盤みたくくどくしつこく執拗にくっ付いてくるかと思ってたのに」

「失敬な! あたしだって考えるくらいはするんですよ! お姉ちゃんはあたしを何だと思ってるの!」

「大事な妹ですよ」

「あたしもお姉ちゃん好き〜、ぐべべべべ」


 タコの吸盤みたくくっ付いて来ました。


「それはいいから、どうしてセバスチャンさんで納得したの?」

「ん〜。ほら、あたしたちって昔から一緒にゲームとかしてたじゃない?」

「みたいだね」


 花菜のお友達である三枝木みなもちゃんと山城彩夏ちゃんは、みなもちゃんのお祖父さん(セバスチャンさん)のコレクションしているゲームで遊んだりしていたそうで、花菜がゲーム好きもそこで醸造された物だとか。

 そして時たまセバスチャンさんも一緒に遊んでいたと聞くから、今セバスチャンさんとパーティーを組んでいる私の先輩に当たる、のかな?


「じっちゃんはゲームの自由度で結構プレイスタイルが変わるんだよ」

「自由度?」

「どれだけ好き勝手出来るか、的な感じかなー。オフラインのRPGとかはシナリオに沿って行く感じじゃない」

「そうなの?」

「ゲームによるけど、例えば自分の部屋で起きて学校に行かなきゃストーリーが進まないし他の場所に行けない、みたいなのと、学校だろうとサボってゲーセンに行くんでもそれこそ日本1周の旅に出るのも好きに出来る、みたいなのの違いが自由度の差……かなー?」

「はー……」


 それはまあ……違うだろうけど、それでプレイスタイルがって言うのはどう言う意味だろう?


「じっちゃんは自由度高いと色々クレイジーな事するんだよ。前にその手のゲームやった時にさ、敵に寝返ったフリして親玉闇討ちして代わりにその組織を牛耳って悪逆非道の限りを尽くしてあたしたちを全滅させて千年王国を樹立した事があるもん」

「セバスチャンさんのイメージが大崩壊したんですけど気の所為じゃない!」


 何をしてるんですかあの人は! と言うかどんなゲーム?!


「まぁみんな大爆笑で腹筋おかしくなったし、身内プレイだったからいいんだよ、それくらいは。MSOじゃそこまではしないと思うけど、じっちゃんが何かしてるならクエスト長引くくらい納得するよ〜」

「さいですか……」


 まあ、迷惑が掛かる類いではなかったからいいんだけどね……。

 そして私は再びログインする為に花菜を引き剥がし……引・き・剥・が・れ・な・さ・い!


「むいーむいー」

「納得したんじゃなかったの!?」

「納得した! でもお姉ちゃんと離れ離れになりたいかと問われれば話は別なの!! あたしの体はお姉ちゃん無しじゃ生きられないから離れたくないのー!!」


 などと言うひと悶着があったとか無かったとか……げんなり。




◆◆◆◆◆




「いやぁ、さすがだね! 君たちならばやってくれるとボクは確信していたよ! 紹介状を書いたボクも鼻が高いと言うものさ、はっはっは!」


 心底気分が良いんだろう。目の前にいる人物は背中を仰け反らせんばかりに笑っている。


「お陰様で各方適切な対応が行われ、混乱も最小限で済んだようです。いやはや閣下のご速断には頭が下がるばかり」

「うむうむそうかね!」


 セバスチャンさんが持ち上げているのは私たちが最初に怪盗マリーと接触する事になった事件の被害者、タミトフ子爵様その人だった。

 今日最初にログインした時にセバスチャンさんが、複数の場所に怪盗マリーから予告状が届いている、と言っていたけど、どうも紅の涙を守った事で信を得ていた子爵様にコンタクトを取り、昨夜セレナが調べてきたマジックジュエルを保有している家と、更に奪われた家にも渡りをつけてもらったらしいのだ。

 しかもちゃっかりした事に……。


「おおそうだ。約束していた報酬を渡さねばならないね!」


 チリンチリンと小さなベルを鳴らすと応接室の外からメイドさんたちが重そうな袋を持ってやって来る。


「先日は彼の盗人を捕らえられなかったからと減らした分に、君たちの功績に対する分を少々加えさせてもらったよ。何、気にする事は無い、今回は僕も君たちを紹介した事で株を上げさせてもらったからね! この程度は安いものさ、はっはっはっ!」


 と、またしても大笑する子爵様。そう、セバスチャンさんてば各方に接触する度に『怪盗マリーを何とかするので報酬ちょうだい(語弊有り)』と交渉していたのです!

 マジックジュエルは各方貴重な宝としていたものだから二つ返事で了承していて、結果としてマジックジュエルを返す度どころか、予告状を送られた家々からも報酬を貰いまくり、最初のタミトフ子爵様から貰った分を含めれば総計で1人頭400万を超える(ガル)が私たちの懐にもたらされる事態になっているのです!!

 セレナなんか終始満面の笑みだし、天丼くんはにやけ顔が治まらないし、ルルちゃんなんかあまりの大金に挙動不審になっている。え? 私? 足元見てるみたいで胸が痛いですよ!?


「いやはやしかし恐ろしい敵でありました」

「ほう! そんなにかね?!」


 そしてもう1つ、セバスチャンさんは訪れた場所で毎度こう言っている。

 曰く『幼い少女を脅して従わせていた』『人々を思うがままに操っていた』『もし少女の尽力が無ければ更に致命的な事態となっていただろう』『オーデュカス男爵家が協力して倒す事が出来た』と。

 間違ってはいないんだけど……それを仰々しく、時に脚色を適度に混ぜ込みながら語るのだ。聞かされる側は例外無くそれに聞き入っていく。

 これで少なからずオネットちゃんやオーデュカス男爵様への非難を減らすつもりなんだろう。セバスチャンさんなりのアフターケアであるらしい。

 そしてタミトフ子爵様も例に漏れず……と言うか、これ程話に引き込まれて瞳を輝かせている人も今までいませんでした。


 そうしてセバスチャンさんの講談が終わり、部屋を辞する段になると子爵様からとある提案がなされた。


「君たちはこれからどうするのかね?」

「は。お陰様で懐が温まりましたので少々ショッピングに赴こうかと」

「ほう、それはいいね」


 ショッピングとは私の装備を見繕いに行くと言う事だ。元々私たちがこのクエストを請けたきっかけが私の装備を新調する為の資金稼ぎで、まだ時間もある事だしそうなるだろうなあ。

 あ、セレナの笑みが更につやっつやに……身の危険を感じる……。


「なるほどなるほど。ではこちらから馬車を出そう」

「へ?」

「何、君たちも激戦の後だ。星守であろうと疲労は否めないだろう? 僕としてはそんな君たちを労いたいのだよ。これくらいはさせてくれたまえよ、はっはっは」


 どうもタミトフ子爵様からの純粋な好意であるらしい。

 私たちからすれば、確かに激戦ではあったけどあくまでこの肉体はゲーム内のPCだから疲れと言うのは感じていないんだけど……折角の申し出だからと受ける事になった。


「では、有り難く」

「うむうむ。では正面に出しておくよう手配しておこう」


 そうして子爵様にお礼を言って、揃って応接室を後にした。

 正面玄関へ向かおうするといくつか先の柱から何かがちょろりとはみ出している、デジャ・ヴュに襲われた。


「あれって……」

『キュ?』


 みんなと一緒に歩いていくと、そこには小さな女の子が隠れる気も希薄ながら隠れていた。

 タミトフ子爵様の娘さんであるファーナちゃんだ。あの日とは違い、少し楽しそう。


「こんにちは、ファーナちゃん」

「私を見つけるなんてさすがね、アリッサちゃん、ひーちゃん」

『キュ!』


 自慢げなひーちゃんの後ろからは天丼くんが顔を出す。


「よぉ、昨日は世話になったな嬢ちゃん」


 天丼くんは昨日、情報収集の一環としてファーナちゃんに会っているんだよね。私は一緒には来れなかったけど、どんな風に接していたんだろ……う……?


「あ、あら居たの……き、気付かなかったわっ」

「どんだけ視野狭窄なんだよお前」


 ファーナちゃんが心無しか頬を染めている。天丼くんは全然普通なのだけど、ファーナちゃんがモジモジと恥じらっている……。


「……何やらかしたんですかね天丼くん」

「いやはやまさか天くんがフラグ建築士免許保持者であるとは……ううむ、羨ましい」


 何を言ってるんですかセバスチャンさん……と、振り返るとそこではルルちゃんが奥歯をガッタガタと震わせていた。


「え、えう、えうう……っ」

「……………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………チッ」


 その原因は、ルルちゃんの隣にいるセレナがおぞましい程にご機嫌を斜めにしまくっている事に他ならない。

 が、そんな険悪な雰囲気はどこ吹く風とばかりに天丼くんとファーナちゃんの話は続いている。


「わ、私との約束は守れたの? か、怪盗マリーはちゃんとやっつけたのかしら?」

「ああ、ちゃんと倒したからもう心配いらなねぇよ。ま、トドメ刺したのは俺じゃなかったけどな」

「そ、そうなの……ふうん」


 ……なんだろう嫌な予感。天丼くんてばどんな約束したの。


「じゃ、じゃあ約束通り……ご褒美あげる」

「お。そう言えばそんな事言ってたな。何くれるんだ?」

「しゃ、しゃがんでよ。と、届かないから……」

「へいへいっと、これでいい――」



 ――ちゅっ。



 ……ちゅっ、ってした。 ファーナちゃんが、天丼くんのほっぺたに、ちゅっ、ってした。


「か?」

「こっ、こんな事、滅多にしないんだからっ、こっ、光栄に思いなさいよねっ! じゃ、じゃあねっ!」


 それをしたファーナちゃんは顔をトマトみたいに真っ赤に染めて、恥ずかしかったのだろう脱兎の如く走って去ってしまった。


 さて、ここで問題です。


 この後の天丼くんの命運はどうなってしまったでしょうか?



「こ……の、ロリコンがああああああああああああああああっっっっ!!!」

「ちょ、違っ、あんな事だなんて思ってなか――」



 素手でもさすがにあそこまでされるとGMコールの対象になるみたいでした。



 パンパカパーン♪


『【キャンペーンクエストクリア】

 《怪盗マリーにご用心!》

 Congratulations!』



 うーわー、感動が薄れるう……。



◇◇◇◇◇



「さて……」


 コホン。セバスチャンさんがそれまでの話を打ち切り、これからの話を始める。


「これからアリッサさんの装備を見繕いに街に繰り出そうかと思うのですが、皆さんお時間など問題はありませんかな?」

「はい。私はまだ全然大丈夫ですよ」

「あ、あの、ワタシも、一緒に行、っていい、ですか……?」


 ルルちゃんはお洋服を自作しているし、装備のデザインなどを見てみたいのかな? 興味津々と瞳を輝かせている。


「もちろんだよ。せっかくお財布も温かくなったし、一緒にお買い物とかしようね」

「は、はいっ」


 続いては廊下の隅に転がっている天丼くん。その周りにはひーちゃんが心配そうに飛び回っています。


「俺も10時半過ぎくらいまでなら付き合える……ごふっ」

『キュ?』


 天丼くんにはHP的なダメージはありません。精神的なものです。セレナ恐い……。


「こっちもまだ平気……だけど、どこ行こうかしらね〜」


 そのセレナは天丼くんをボッコボコにして少しは気が晴れたのか、あるいは私を着せ替えてストレス発散するつもりなのか、楽しそうに考えている。


「私はそう言うの全然詳しくないから……」


 王都はすっごく広い、そこにあるお店ともなれば私の装備出来る物に限定してもそれなりの数に上る筈。

 そもそも装備品を買うと言う事自体が初めてで、どんなお店があるのかとか調べた事も、そもそもお金が入ってからの事を考える余裕もあまり無くて、王都を回って外から目にする機会があった程度の私の場合はみんなに教えてもらう他に無い。


「セレナのオススメとかは?」

「ん〜、『サムエル』とか『ヘルズベル』とか……」

「それって見た目重視のトコばっかじゃねぇか。今回の目的はあくまでもアリッサのパラメータ強化だぞ?」

「わ、分かってるっつの! だったら、えーとえーと……」


 悩むセレナだけど中々お店が出てこない様子で、そうしているとセバスチャンさんから助け船が出される。


「特に決まっていなければ取り敢えずはわたくしの行き付けの店をご紹介しますが」

「へ、セバスチャンの行き付け? それってどんな店なの?」

「服は北区にある『注文の多い服飾店』と言う店ですな。少々偏屈な店主ですが、中々どうして腕が良い。気に入ってもらえれば金額以上の仕事をこなしてくれるでしょう」


 料理されちゃいそうな店名だなー、とぼんやり考えつつ、ルルちゃんに知ってるかと尋ねるけど知らないそう。そしてセレナも店名を聞いてもピンとこなかったのか、渋い顔をしてる。


「んー、知らないなー……ま、行くだけならいいか。でも、アリッサに似合うような可愛い服が無かったら明日に回して他のトコ探すからね」

「それは勿論。性能が高いのは当然として、アリッサさんの美しさを引き立てる服であるのが絶対条件ですからな」

「やっぱそうよね。このビジュアルを活かさないのはありえないって」


 うんうんと人の顔を見て納得し合う2人……じゃない、隣でルルちゃんも頻りに首を縦にシェイクしていた。

 そして恥ずかしさと照れで顔を隠して縮こまる私。だからそう言うの苦手と言ってるのにい……。


「天くんも構いませんかな?」

「俺はまぁ、基本剣と鎧装備で服飾系も木工系もまるで詳しくないんで口は挟まないさ。セバさんの紹介ならハズレは無さそうだしな、任せる」

「ほっほ、ありがとうございます。では皆さん、参りましょうか」


 「「おー!」」と乗り気な2人&「お、おー……?」と未だに困惑気味な私を連れ立ってセバスチャンさんは歩き出した。

 正面玄関には一昨日この子爵邸に来る時に使った馬車が子爵様のご配慮で待機していた。ただ約1名程、豪奢な馬車に見とれちゃってる子がいますが。


「は、はわあ……な、何度、見ても、素敵〜。お姫、様が、乗りそう〜。いいなぁ、いいなぁ」


 と、若干興奮気味にフォトを撮影するルルちゃんを促して私たちは馬車に乗り込み、子爵邸を後にしたのでした。



◇◇◇◇◇



 馬車に揺られる事20分そこそこ。相変わらず人目を惹く馬車の中で、私はセレナに色々なお店の事を聞いていた。

 先程話題に出た注文の多い服飾店のある北区は私が初めて王都を訪れた際に通った場所。

 アラスタとコラン街道で繋がっている都合上PCの大半は最初にここを通る、なのですごい数のバザールの他にも各種プレイヤー店舗が沢山建ち並んでいるんだって。

 今セレナが着ているふんだんにフリルが使われたドレスタイプの服を買った『サムシング・エルス』、バッグのブランドとして確立している『ヘルズベル』、ファッション系ギルド・ハートラックの販売店『ハートラックストア』、小物やアクセサリーなどの『みさきや』『プチ・フルール』、非戦闘用の普段着の専門店『春風』など、いつか時間に余裕が出来たら訪れてみたいなあ。


「ふむ、そろそろですな」


 セバスチャンさんの言葉で話を止めてカーテンの隙間から外を見るとプレイヤーのお店がいくつも並んでいた。小窓を開いて御者さんに指示を出すとその内の1店舗の前に静かに馬車が止まり、ややあって扉が開く。

 セレナが真っ先に飛び出し、やれやれと天丼くんが続き、セバスチャンさんが御者さんにお礼を言いつつ降りて、次に私が「「「「おお!!」」」」?!

 周囲の人たちが突然沸き返り、驚いてバランスが崩れる。


「わ」


 そんな私の手にそっとセバスチャンさんが手を添えて支えてくれる。


「大丈夫ですかな、アリッサさん」

「す、すみません」


 セバスチャンさんのお陰で無事に地面に降り立つ。そしてひーちゃん、次にルルちゃんが周囲の野次馬におっかなびっくりしながら最後に降りて、それを確認した御者さんは馬車の扉を閉じて、私たちに会釈する。


「では皆様、失礼致します」

「送ってもらって助かりました。ありがとうございました」


 それぞれにお礼を言うと、御者さんは席に戻り再度会釈をし、手綱を振るう。馬たちが小さく嘶くと馬車がゆっくりと動き出す。

 ……わあ、超目立ってる。自然そんな馬車から降りてきた私たちも注目されていたりする訳で……。

 お店のショーウィンドウに夢中で張り付いて、周りの様子が気になってないセレナが羨ましい。


「さ、入りましょうか」

「ひゃ、ひゃいっ」


 声が裏返った! 周りから失笑がっ?!

 私はそんな空気に耐えきれずに逃げるようにお店の中へ飛び込んだ。

 ――カラン、カラン。

 カウベルの音が響く店内に一歩足を踏み入れると「いらっしゃいませー」と服を整理していたらしい女性が声を掛けてきた。


「お久し振りですヘレイネさん」

「あら、セバスチャンさんじゃないですか。いらっしゃいませ、今日はどのようなご用事です?」


 顔見知りらしい女性と2、3言葉を交わすと、私たちを並べられている服の一角に案内してくれる。


「法術士向けの商品となるとこの辺りですね、何か分からない事があればお声掛けくださいね」

「ありがとうございます」


 去っていく女性、ヘレイネさんに会釈をして服へと向き直る。


「わ……すごい」


 そこにあるのは1つとして同じ物の無い服の数々。現実のお店のような整然とした空気は無く、おもちゃ箱をひっくり返したような夢が散りばめられた空間がそこにある。

 近くの棚にはこれまた種類の多い帽子や靴。それらは決してきらびやかであったり派手である訳ではないけど、どこか目を引くデザインで……実際にセレナのみならずルルちゃんまでも食い入るように見入っていた。


「……! ……! ……! ……! ……!」


 無言でデザインや縫製など細かい所までつぶさに確かめていくルルちゃんが徐々に離れていくけど……集中してるみたいだし邪魔はしないでおこう。


「あー、おー、へー、なるほどねー。私の趣味じゃないけど、アリッサには合いそうじゃん♪どっれっがっいーいかなーっ♪」


 どうやらセレナのお眼鏡にはばっちり適ったらしく、興奮した様子でハンガーラックに掛けられている服を端から出しては私に重ねて戻してまた出してと繰り返してる。そして、「キープ」「あ、キープ」「やっぱりキープ」と言って何着もの服を持たされる天丼くんの額にシワが刻まれるまで、そう時間は掛からなかった。


「おい、見た目だけじゃなくて値段と性能をちゃんと見比べろよ。他にも探さなくちゃいけないんだぞ」


 そうなんだよね。

 そもそも装備を一新するなら防御面のみならず攻撃面でも強化しないといけない。だから少なくとも杖も買い求める必要がある。

 なのでここで使い過ぎる訳にはいかないし、あまり時間を掛ける訳にもいかない。


「ううう。服も靴も帽子も着せてみたい……アリッサ! コレとコレとコレとコレとコレとコレとコレ、試着してみよ!」

「落ち着け、マジで」


 大量にありすぎる服に囲まれ、錯乱し始めるセレナであった。



「ふぃ〜っ……気に入ったなら何よりさね」



 と、そんな時、私たちに声が掛けられた。

 振り向くとそこにいたのは和服を着崩し、艶のある黒髪を乱雑にまとめ、左目には眼帯、気だるげな表情で管の長いキセルで紫煙を燻らせた女性だった。


「おぉ、お邪魔しております夜半さん」

「かっか。客だってぇのに相変わらず堅苦しい喋り方をするねぇセバス。その子らはお仲間かい?」

「はい、パーティーを組んでいる方々です。右からアリッサさん、ひーさん、セレナさん、天丼くん、ルルさんです。皆さん、こちらこの注文の多い服飾店店主の夜半さんです」

「「「「こんばんはー」」」」『キューイー』

「あい、らっしゃい。ゆっくり楽しみな」


 ……なんだか引率されてる生徒みたいな気分。


「で、今日は……見たとこその子らの用事かい?」

「は。今日はこちらのアリッサさんの装備を買い求めに参りました」


 セバスチャンさんに促され、一歩前に出て挨拶をする。


「ど、どうも」

「おう、よろしく。っと……かっか、おいセバス、どうやってこんな子引っかけた? アンタみたいな枯れた爺には勿体無い上玉じゃあないか」

「ほっほ、敢えて言えば運命の導きですな」

「そりゃ羨ましい話だ、おこぼれに与れて光栄だね」

「あ、あう」


 ま、またこの話題……背中が痒い。


「ん? どうしたんだい、風邪でも拗らせたみたく顔が赤いよ?」

「あ、あのその手の話題は慣れてないので……あまり触れないでもらえるとありがたいんですけど……」

「……ほ〜お。かっか、そうかいそうかい。そりゃ悪かった、次からは気を付けるよ。さて……」

「? あの、何か?」


 私の顔をじぃっと見つめながらも問い掛けには答えず、夜半さんはキセルをくわえ「ふぃ〜〜っ」と煙を吐き出す。って言うかさっきから疑問だったんだけど、このゲームってタバコなんて吸えたの?


「……おいセバス、ちょいとこの子借りるよ」

「へ?」


 ガッ。夜半さんはおもむろに私の手を掴むと足音高く奥にあるドアへと歩いていく。


『キュキューッ?』

「ちょっ、ちょっと?! アリッサをどこに連れてくつもりよ!」

「なぁに折角だ、いっちょ1から作ってやろうと思ってね。取り敢えずは下準備さ。来るかい?」

「ったり前でしょ!」

「あ、あの、ワタシ、も……」

「え、ええー……そ、そこまでしてもらわなくても、もごっ!?」

「さー、行こー」


 口を塞がれ手を引かれ、セバスチャンさんと天丼くんを置き去りにして奥の部屋へと連れ込まれる。

 そこには作りかけの服や布束、マネキンなどがいくつもいくつも置かれていて、大きなテーブルには製図や型紙が散乱している。


「で、どうすんのよ。アリッサの寸法でも測るの?」

「このゲームじゃ、服は装備した者に自動でフィットするだろう。正確に寸法を測る必要は無いのさ。作り甲斐が無いとも言うがね」


 そう言うと夜半さんはメニューウィンドウを操作してアイテムを実体化させた。


「じゃあ今の装備を全部脱いでこれに着替えな」

「え、はい……って!? コ、コレ……あの、コレにですか?」

『キュ?』

「ん? 何よ、ビキニ?」

「わ、わわ」


 なんで水着!?

 しかも微妙に布面積が少ない気がするんですがっ!


「目的はボディラインを見る事さ。体形に合った配色だの構成だののイメージの取っ掛かりみたいなモンだよ。普段はそうそう頼まないんだが……そんなだぶついた初期装備じゃねぇ。ま、無理にとは言わない、どうするね?」

「着るわ」

「何でセレナが答えるの?!」

「え、見たいから」

「うえーん?!」

『キュキュキュ』

「ど、どきどき……」


 結局押し切られてしまった……メニューウィンドウの[装備]からなら一瞬で着替えられるとは言え人の前では恥ずかし過ぎるので隠れて着替える事になった。


「うう、何故こんな事に……?」


 ――キンッ!

 一瞬の光に包まれると初心者のローブから『真っ白ビキニ』へとしっかりと変わっている。……現実でもこんなの着た事無いので布の少なさに落ち着かない気持ちがおびただしい。


「あの……」

「着替え終わったかい? なら早く出てきな」

「は、はい……」


 セレナ、ピーピー指笛を吹かないで……。

 ペタペタと足音を立てながら2人の前に出ると「「「ほう……」」」と吐息が重なって聞こえた。ちなみに私は恥ずかしさのあまり床を凝視していた。


「スレンダーだな……触れれば折れそう、と言うヤツか。腕の中にすっぽりと収まりそうだ。まるで風に揺れる百合の花の可憐さを写し取ったような……あぁ、本当に目を惹くな……恥じらう姿は正しく物語に謳われる清らかな乙女……と言った風情か。かっか、こりゃユニコーンも一発で落ちそうだ」

「褒められてるわよー」

「穴があったら入りたい……」


 蹲る私。夜半さんの許しが出たのでようやく着替える事が出来た。着慣れた服がこれ程ありがたく思った事は無い。あまりの安心に体の力が抜けてしまいそうになる。セレナが受け止めてくれなかったらへたりこんでたかも……。


「本当に慣れてないらしいねぇ、さぞ生きづらかろうに」

「ぅぅぅ……も少し慣れたいとも思うんですけど中々……」

「ダメ。アリッサはそこが良いんじゃない、恥じらう姿にぐっとくるのよ。庇護欲掻き立てまくり。今のままのアリッサでいて」

「ど、どきどき、でした」


 ええー……私ってそんな評価だったの……。空虚な笑いが出てしまう。


「成る程ねぇ、そんな下ばかり見ていちゃ折角の持って生まれた美貌が勿体無いと思っていたが、そう言う事なら……あぁ確かに、今のままの方が魅力的だな。いや、勉強になる」

「ふっふーん♪」

「み、味方がいない……」


 その後は店舗部分に戻り、げっそりした様子を心配されたりもしたのだけど、重要な話が残っているので割愛。


「それで予算に関してなんですけど……200万Gで服一式を揃えたいんです」


 とんでもない額を出してるなあ。そんな事を思う。

 この200万Gと言う額はこの後買う杖の代金に後々の装備の修復代や消費アイテム代などをみんなで相談して算出した額だ。

 それを聞いた夜半さんはきょとんとした様子で耳を弄る。


「200?」

「はい、200万Gで……あの?」

「いや、思ってたよりも大枚はたいてきたもんだとちょいと驚いちまってね。よくもまぁ貯め込んだモンだ」


 まあ初期装備姿だからそう見られても仕方無い。


「がんばりました」

「だろうね。その頑張って稼いだ金で服を仕立てる、しかもアタシの店で? いじらしい話じゃあないか、応えたくなって困るね」


 カラコロと笑いながら黒革の手帳にサラサラと何かを書き込んでいく。

 夜半さんには更に私が法術士である事と杖を買い求めに向かう事を伝える。


「ふぅむ……杖か」


 夜半さんは手に持った黒革の手帳と難しい顔でにらめっこをしつつ、カツ……カツ……とペンで机を叩いている。


「あの、もしかしてお金が足りないんでしょうか……?」

「いいや? それだけあればどうとでもなるだろうさ。問題はこっちさね」


 夜半さんは手帳をヒラヒラとかざして見せる。


「要はデザインさ。いいアイディアが降りてきた、久し振りに熱くなる類いのがね」


 一度すっとキセルを吸い込み、煙を器用に輪っかにして何度か吐き出した。

 それらはいずれほどけて消えるだろうけど、夜半さんはその前にふーっと勢いよく煙を吹き出して散らす。


「きっとアタシは出来上がった服を気に入るだろうさ。目に浮かぶ。だがね、気に入るとなれば……」


 万年筆が私を指す。



「似合ってほしいと欲が湧く」



「どう言う意味よ」

「何、そんなお気に入りに他の奴が余分を足すのかと思うと意気が削がれるねぇ、とまぁそんな我が儘な話さ」

「えっと……つまり服を仕立てるのは良いけど、杖を足してほしくない?」


 肩を竦める。多分正解と言う事だと思う。


「思いっきりただのわがままじゃないのよ。防具だけじゃ意味無いでしょ、アリッサには武器も要んのよ」

「だろうねぇ。で、だ」


 夜半さんはピンと指を立てて私たちに相対した。


「杖を作らせる奴を紹介させちゃくれないかい? 腕はアタシが保証する。アンタらの要望にもきちんと応えるだろうさ」

「その人なら夜半さんは安心出来るんですか?」

「アイツならこっちにきちんと合わせるだろうからねぇ、ならアタシは好き勝手に作れるって話さ」


 さすがに即決は出来ず、私はタイムを取って相談する事にした。


「さすが注文の多い服飾店、なんて店名にするだけあるな」


 同意。


「あの、どうしましょうか。まだどこで杖を買うとかは決まってませんでしたけど……」


 相談相手はセバスチャンさん。セバスチャンさんは唯一夜半さんと面識があり、かつ杖をどこで買うかも一任していた(だってセレナも天丼くんもルルちゃんも杖に関しては門外漢なんだもの)。意見を聞くなら他に無い。


「夜半さんは職人気質と申しましょうか、納得のいく物を作りたがる傾向にあります。ですがだからこそ半端な事は許さないでしょう」

「それって……紹介するって言う人も、ですか?」


 セバスチャンさんは小さく頭を倒した。そこには笑みもあって、夜半さんを信用しているのだとすぐに分かった。


「それともう1つ。彼女のモチベーションを維持出来ればきっと良い出来上がりになると思いますぞ」


 モチベーション……がんばる為の動機。それがあればある程やる気はみなぎるだろう。

 それが結果に繋がると言うなら許可しない謂れは無いかな。


「分かりました。夜半さんにお任せします」

「有り難い」


 夜半さんはおもむろにメニューウィンドウを開いた。どうやら目的の人物にチャットを繋いだみたい。


「アタシだ、店に来な。5分待ってやる」


 簡潔にそれだけ告げるとチャットを切り、椅子にもたれてキセルを吸い始めた。訳も分からずに首を傾げているとお店のドアが荒々しく開かれた。


「……何か様ですか、夜半」


 ゆらりとそこに立っていたのは長身の男性だった。キツそうな目付きや鋭角な眼鏡がその性格を表しているようでちょっと恐い。この人が呼び出した相手?


「かっか、そんな顔をするんじゃあないよ、お客が怖がるだろう。接客は笑顔が基本だぞ? スマイル0円と言う名言を知らんのか」

「……これは生まれつきです。大体人の事を言えた義理ですか、貴女が客向けの笑顔などした所見た試しがありませんよ」

「かっか、違いない」


 こちらに歩いてくる男性は私たちの事は目に入っていない様子で夜半さんの前までやって来る。


「それで用件は? 仕事ですか? 気紛れならば帰りますよ」

「半々さ。そこにいるべっぴん、アリッサの一張羅を仕立てたる事になった、で、杖も必要だそうなんでアンタを呼んだ」

「そうですか」


 短く答えた男性は首だけをこちらに向けると「……キタコレ」と小さく呟き眼鏡を上げた。


「キタコ……?」

「アリッサさんは知らずともよい言葉です」

「?」


 疑問に首を傾げる私を、みんなが生温かく微笑みながら見守っている。なんなの。


「ごほん。つまり、用件はトータルコーディネートですか。まぁ、客を斡旋するならば文句はありませんがね」

「そりゃよかった。っと、紹介がまだだった。コイツは少し先にある『マルクス武具店』店主のマルクスさ、アンタのご要望の杖も作ってる腕利きさ」

「マルクスさん、改めましてアリッサと言います。杖の事、よろしくお願いします」

「ああ、作るのは構いませんが……君の心技体値と予算を聞きたい。勿論秘密は厳守すると誓います」


 装備には最低限必要なパラメータが設定される。私用に1から作るならそれを知ってないといけないんだ。

 メニューウィンドウを開いて自分のパラメータを確認して伝える。


「ま、そんなトコかね」

「……低いな、フィジカルがこれではやはり……いや、待てよ……それならそれで……」


 夜半さんは私の格好から予想してたらしい。まあ初期装備だもんね、それを着てる私のパラメータが低いのは簡単に予想出来る。


「予算は服一式に200万と杖に100万で、出来るだけ高性能の装備をお願いしたいんです」

「ほぉ、風体の割りに気前の良い額ですね。それだけ出すならばこちらも文句はありません、承りましょう」

「よろしくお願いします」

「では夜半……デザインと素材と予想スペックを見せて下さい、既に案があるのでしょう。でなければこちらは動けませんからね」

「ああ、こんなんさ」


 黒革の手帳を見るとマルクスさんの表情が呆れに変わり、こめかみを押さえた。


「どうだい、燃えるだろう?」

「また貴女は……もう少、いやいいです」


 言葉を飲み込んだマルクスさんは私に更に質問を重ねてきた。自身のイメージを優先する夜半さんとは違い、マルクスさんはこちらの要望をなるべく取り入れる方針らしい。


「君、フィジカル値からすると杖の形状は1・木製の両手杖か2・金属製の片手杖のどちらかになりますが、どちらが良いですか?」

「うんと……今までこの初心者の杖をずっと使ってきたので、出来れば同じような物の方が助かります」

「了解しました。それと、不躾ですが君のバトルスタイルを聞きたい。法術士と言っても属性や使用するスキルの傾向、戦闘でのポジションなど、性能や効果を決めるのに必須なので。勿論他言はしませんよ」


 そう聞くマルクスさんに加え、夜半さんも興味があるのかこちらに耳を傾けている。私は平気かな? と、みんなに視線を向ける。


「夜半さんは信用の置ける方です、その夜半さんの紹介であるのならマルクスさんもそうであるのでしょう」


 とのセバスチャンさんの助言も加わり、私は自分の加護に関して語る事にした。《古式法術》は全ての属性法術を使用可能な事、スペル詠唱をしなければならない事、エキスパートスキルに制限がある事。


「……かっ、か。はぁあ、そりゃあ難儀だ。が、面白い。改めてよくうちに来てくれた、礼を言うよ」


 聞き終えた夜半さんは歯を剥き出して笑み、黒革の手帳に更に書き込む。その表情はウキウキと実に楽しそうだった。


「とすると、特定の属性に偏らせる訳にはいきませんね……それよりは基本性能を上げた方が……いやいや……そうだ……あれに」


 対するマルクスさんは頻りに眼鏡を上げ、ぶつぶつと呟き考えをまとめているよう。

 2人の生産者(クリエイター)は、まさしく水を得た魚の如く自分の世界に没頭していた。私は呆然と眺めるしかないのだけど、その姿はとても輝いてみえる。


(一生懸命になれるって、すごいなあ)


 そんな人たちに淡い憧れを抱きながら眺める事数分。装備は明日までに作っておくとの事で、今日は注文の多い裁縫店を後にする事となる。


「それじゃあ失礼しますね」

「ああ、とびきりを見せてやるよ。楽しみにしときな」

「はい、よろしくお願いします」

「自分の店は数件隣にあります、見れば分かるでしょう。明日にでもいらしてください」

「はい、分かりました」


 一体どんな服が出来るのかな、あー、何だかドキドキしてきちゃった。


 ファーナちゃんご褒美フラグ。


 ・不安そうにしているファーナちゃんの話を聞く

 ・ファーナちゃんを励ます。

 ・怪盗を捕まえるから心配無い、など約束を交わす。

 ・事件の解決を伝える。


 一応これくらいを想定してます。

 男女問わず発生するイベントだったりする(女子の場合はあんな態度にはなりません)ので実はアリッサもかすってました。


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