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422.あっちはいろいろかまわない

 カーライルの背で俺は、ガイザスが準備してくれた剣を構えた。まあ格好だけになりそうだけど、一応衝撃波とカーライルがあるし、何とかなると思いたい。


「カーライル、行け!」

「承知!」


 何かビビってるサブラナ・マールをちらりと一瞥して、龍王に指示を下す。彼も頷いてくれて、翼をバサリと羽ばたかせた。


「はあああああっ!」

「こ、来い!」


 剣も何も持たずに、やつはビビりながらそれでも俺とカーライルの突進を迎え撃つ。両手を広げて、前に突き出している……受け止める気か、もしかして。


「がああああああ!」

「ぐうううううっ!」


 がん、と衝撃が走る。さすがに完全に勢いを殺されはしなかったけれど、へっぽこ教主かと思っていたのにしっかりと、カーライルの巨体を鼻面掴んで受け止めやがった。


「さすがは、神ということですか」

「そのとおり!」


 カーライルの頭の向こうで、サブラナ・マールがニヤリと邪悪な笑みを浮かべる。次の瞬間、龍王を受け止めてる手のひらがかっと光った。


「はあああああああああっ!」

「ち、このっ!」

「! がああああああああっ!」


 とっさにカーライルが頭を振って手を外し、即座に翼を大きく打って教主から距離を取ろうとする。よく分からないながらに俺は、サブラナ・マールめがけて衝撃波をぶっ放した。やつの手から放たれた光がそれとぶつかって、激しい爆発を起こす。


「コータ様!」

「大丈夫だ!」


 バックで距離を取ったカーライルから声をかけられて、しっかりしがみついていたからちゃんと答える。つかあいつ、手からビームできるのかよ。衝撃波打てる俺が言うのも何だが反則じゃねえか? いや、神様か。


「よ、よし。うまくいったな!」

「あの態度、演技のようですな」

「だな」


 距離が離れたことで、また軽くビビるような態度をとってるサブラナ・マール。けど、こっちとしては見事なお芝居だ、としか言いようがないよなあ。何しろカーライルの鼻面捕まえて零距離攻撃ぶちかまそうとしたやつなんだから、あいつ。


「ま、演技でもガチでもいいさ。戦って、倒すだけだ」

「御意」


 しかし、いいなあ。手からビームなんて……それができれば、この剣からビームかましてレーザーソード、とかできそうなのに。いやいやいや、ガチの戦闘中に余計なこと考えてんじゃねえや、俺。

 衝撃波使えるだけ、戦闘力としてはまだマシな方なんだ。それにカーライルも一緒にいてくれるんだし、俺が負けるわけには行かない。


「さあて、続きだ!」

「の、望むところだ!」


 ともかく、勇者はルッタたちに任せて俺たちは、神を倒す。

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