417.空中戦で思うこと
「やあ、アルニムア・マーダ」
マール教教主、その実は崇められている神そのものたるサブラナ・マール。筋骨隆々たる鳥人野郎の背に乗ってそいつは、俺とカーライルをニヤニヤ笑いながら見下ろしている。その周囲にいる鳥人たちも男で、要は俺対策なんだろうなあとは理解できた。
「……悪趣味だな。サブラナ・マール」
「君には負けるよ。男嫌いになって、女を侍らせている小さな女神様」
「そうしたのはお前だろうが」
この辺はお互い様だよな、と思いつつ文句の応酬。全く、てめえのせいで獣人ロリっ子やってるんだぞ。いい加減慣れてきた自分が悲しいよ、ったく。
「で? ここで勝負つけるんだろう?」
「もちろんだ。今度こそ、君を我が元に」
「ざけんな。カーライル、全力で行け」
「お任せを!」
まあ、俺自身の攻撃手段は衝撃波くらいしかないわけで。そうすると、基本的にはカーライルに任せることになる。向こうもそうっぽいけど……あっちのほうが数は多いよな。頑張ってくれよ、カーライル。
「があああああああああっ!」
『我らが神、サブラナ・マールよ。雷の力以て、我が敵を滅せ!』
カーライルのビームを避けながら、鳥人たちは杖を振りかざして雷を叩きつけようとしてくる。あーあれか、アイテム。大量に使えば確かに、洒落にならない威力だな……カーライル、ひょいひょい避けてるけど。
「コータ様、ご無事ですか!」
「平気! 攻撃に集中しろ!」
「はっ!」
というか、俺はお前の肩に乗っかってるんだから、俺が危なかったらお前も危ないだろ、とは思う。っと、また避けた。
『我らが神、サブラナ・マールよ……』
「うっせえええええ!」
ただ、カーライルにばかり任せてるわけにもいかないので俺も、鳥人狙って衝撃波をぶっ放してみる。お、一体命中、見事落下。
「ほう、その力は健在かね!」
「これくらいしかできねえ、とも言うぜえ! がああああああああっ!」
もう一体にも命中して、悲鳴を上げながら落下していく。ああ、こいつがもとから持っている能力なのは確かみたいだな。サブラナ・マールのやつ薄笑いしてやがるし。
二人落としたところでまだ数人いるし、雷はカーライルが上手いこと避けてくれてるけどこっちは一体みたいなもんだし。ルッタとシーラの力は……うん、まあ借りられたら借りたいな。
「下を片付ければ、アルタイラもルシーラットも来てくれるはずです。その前に、こちらは数を減らしましょう」
「おう、そうだな」
俺の考えを読んだみたいなカーライルの言葉に、俺は小さく頷いた。さて、どんどん行かないとな。




