408.城の周りで何やかや
ファルンをシーラに送り出してもらい、俺たちはとりあえずの状況を確認した。
バッティロスは無事、ドンガタはマール教の支配下。サンディタウンは、しれっとマール教側についている。まあ、領主のグレコロンだけが俺の下僕なんだから仕方ないけど……あっちの情報取れそうだから、それはそれでいい。
「全面戦争だと、俺たちに勝機はないと思っていい。だから、やっぱり頭をピンポイントで取るしかない」
「しかも、うっかり全殺しにはできないですよね……」
「カーライルの一撃でも死んでないんだ。そうそう死にゃしねえよ……多分」
はて困った、と首を傾げるルッタに俺は肩をすくめるしかない。いや、俺も何だかんだで殺されずに封印されてたわけだし、同じ神様なら向こうも条件は似たようなもんだろう。
と、「コータちゃまあ」とのんきな声を上げながらミンミカがやってきた。軽く焦ってるらしく、垂れ耳がふらふらしている。
「お、どうした?」
「アルネイドに、マールきょうがせめこんでくるっぽいです」
「来るっぽい?」
何だそのあやふやな情報、と思ってたら、報告書をもらったカーライルが説明してくれた。
「つまり、こちらに向かっているマール教の軍勢が確認できたということでしょう」
「あ、なるほど」
「そうですー」
そういうことか。それなら、まずは北方城の手前にあるアルネイドに攻め込むよな、連中。というか、俺があっちの立場ならそうする。あと、ミンミカに報告任せたの誰だ。
「早いな。教主とかいるのか?」
「かくにんはできてないみたいですー」
「そうか」
ふむふむ。一応、こっちに向かってきたのならあのペド神が混じってそうな気がするんだが、確認が取れてないのか。……念のため、いるかどうかは知っておきたいかな。
「シーラ、はまだ帰ってないか……ルッタ、敵軍の偵察に行ってくれ。教主の顔は知ってるよな」
「マール教時代に面識があります。では、急いで」
空飛んで確認して帰ってくるだけだから、普段から飛べる鳥人に頼むのが一番手っ取り早い。カーライルはある意味切り札だし、普段はカーライル・ドーの姿をしてるからなあ。まあ、いつも龍王クァルードだと図体でかくて大変なんだけど。仕舞う場所とか。
「今何処まで来てるかにもよるけど、アルネイドには警戒しろって……まあ、言ってあるだろうな」
「それも確認してまいります」
「そうだな。頼む」
もしアルネイドに通報されてなければ、えらいことになるからな。そこらへんもまとめて、ルッタが行ってくれるようなので任せることにする。
「コータ様」
「うん。城でも念のため、警戒しておいてくれ。あっちにも鳥人とかいるんだろうから、上からやってくる可能性はある」
「は、即座に手配いたします」
城の方はカーライルに任せるとして……俺も、覚悟を決めないといけないか。
それと。
「ミンミカ、お前に報告頼んだの誰だ?」
「ガゼルさんですー。おしろまできたんだけど、あんまりしってるひといないからこまってましたー」
……あ、何かいろいろごめん。




