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346.再びの街は何というか

 で。

 クルンゴサには俺とカーライル、シーラ、スティで行くことにした。ルッタは教育部隊に顔が知れてるから、うっかりしたら大変だもんな。

 ……戦士クルンガが復活してたりしないことを祈ろう。剣が合わなくて木引っこ抜いて振り回すような相手、やってられるか。


「まだ、問題はないようですね」


 街に入って、カーライルが一息つく。うん、前に来たときとそんなに変わらない、普通の観光地だ。

 ただ、人がちょっと少なくなってきてるかな、とは思うけど。その観光客たちも、そろそろ帰り支度かなーみたいな雰囲気を出してるのが多い。


「問題があったら困るだろ。まだ」

「ま、噂は流れてるっぽいですけどね」


 スティが指差した方向、いくつかの店が閉められている。客より先に逃げ出した……と思っていいみたいだな。

 その他の店も閉店セール、とか品薄とかだし。商売仲間から、よその街の情報が来てるのかもしれない。


「何かあったら、シーラとスティで逃げるしかないかもな」

「多勢に無勢ですからね……そうなったときは、自分はコータちゃんを」

「まあ当然だな。俺がカーライル積んで逃げる」

「すみません。よろしくお願いします」


 思わずため息混じりに呟くとシーラ、そしてスティがしっかりと頷いてくれた。運ばれる側のカーライルは、小さく頭を下げる。

 まだ開いてる店の一つで、いくつか食い物を買ってみる。前に来たときは宿で飯食ったくらいだったから、当時から値段が上がったかどうか分からない。これが分かりそうなのは。


「スティ、値段どうだ」

「足元見てますねえ」

「上がってるのか」


 客が減ったからかな、単価を上げてるらしい。いや、逃げ出す連中も多いんだから底値で売り叩いたほうが良くないかとは思うんだけど。


「少しでも稼いで、持っていきたいんでしょうね」

「確かに金持ちの客が多かったところだけど、そういうのに限って早く逃げてるだろ」

「……確かに」


 カーライルとひそひそ話をする。うん、観光客というか街を歩いてる人々、前に来たときよりこう言い方がアレなんだけど、みすぼらしくなってるというか。

 お金持ちの旅行者はそれなりに自分の情報網とかもあるんだろう、早めに逃げ出しているようだ。情報に疎い、と言われても仕方のない中流階層、例えば修行中の僧侶とかが多めに残っている感じがする。


「……この街に教育部隊が来たら、どれだけの権力を振るうのでしょうかね」


 周囲にはほとんど聞こえない声で呟いたカーライルのセリフに、俺は答えを持っていない。

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