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291.入口側は成れの果て

 休憩、というかぶっちゃけ仮眠を取ったあと、山の中をスティに乗って移動した。どこまで行っても植物が変化なかったので、峰とかそういうところを伝っていったんだと思う。

 そのあと、少し開けたところに出たところでもう一度休憩して、そこからシーラが俺とスティをぶら下げて飛んでくれた。どうやら最初の着陸地点はサンディタウンのほど近くだったようで、何となくグレコロンを思い出し……たくねえな。うん、うまくやってくれてると良いんだが。


「現在、マール教はおらぬようです」

「だろうな」


 んで、やっとこさアンディスたちが使っていた砦まで到着した。前来た時よりボロくなってるけど、あの直後に衛兵のガサ入れがあったはずだから何かやらかしたかな。


「でなきゃお前は、上空か離れたところで待機だろう」

「はい。先ほど、衛兵と思しき集団がここから離れていくのが見えました。巡回が終了したところかと」

「なるほど」


 さっき降りてくる前に、シーラはそういうのをちゃんとチェックしてたわけだ。……確かに、衛兵たちとバッティングなんてほんと遠慮したい事態だよな。これからルッタを探しに行くんだから。

 ドラマやアニメだと、ここで忘れ物したーとかで慌てて戻ってくる馬鹿がいるのがお約束だけど、さすがにそれはないよな?

 ま、ここでのろのろしてるとそれに鉢合わせする可能性はあるし、そいつの回避と行こう。


「じゃ、急いで入るか。地下砦の入り口、スティは知ってる?」

「案内されたことがございますので、当時のままであれば」

「なら、頼む」

「はっ」

「では、自分が殿(しんがり)を」


 こういう場合、さっさと隊列組んで進んでくれるってのはほんと助かる。

 俺は守られるべき存在、なんて自分で言うのもアレだけど実際そうなので、こういうときは真ん中なんだよね。道を知っているスティが先に行って、シーラは後ろを確認する役目。バックアタックされたらシーラが最前線、ということになるな。

 で、砦の中をサクサク進んだ。やっぱり衛兵だか居残りだか暴れただろ、というレベルで荒れている。シーラも暴れたけど、あの時以上に壁とか天井とか穴開いてるし。

 そのうち、何となく暗くなってきてることがわかった。奥に入って行ってるのか、空気も湿ってきてる。

 やがてたどり着いたのは、何の変哲もない壁。うん、どう見ても壁だぞ、これ。だけどスティは、こちらを振り返って言った。


「こちらから入れます。ルシーラット?」

「後方、問題ありません」


 シーラの声にスティは頷いて、再び壁に目を向けた。そうして壁の真ん中に掌……というか、彼女の場合は肉球を当てる。


「アルニムア・マーダ様のお力を信ずる者にのみ、道は開かれる」


 なんつーベタなコマンドだ、と俺が心の中で突っ込む暇もなく壁がぎし、ときしんだ。もしかして今ので、ロック解除したわけか。

 スティは手を当てたまま軽く力を入れて、きしんだ壁を少し押し込む。それから、右側にスライドさせた。

 引き戸になった壁の向こうにはまあ当然というか、これまで歩いてきたのと同じくらいのサイズの通路が現れる。ただし、ここまで木材メインだったのが壁の向こうは石積みだ。あと、空気がジメジメ……マジで地下だ。


「では、ここより地下砦となります。湿度が高く足元が滑りますので、お気をつけくださいませ」

「うん。ありがとう」


 きっちり注意してくれたスティ、もう思いっきり俺の保護者と化してる気がする。しかし、外見ロリっ子な俺が上司である以上、保護者になるのは仕方ないかな。

 ともかく、俺も気をつけよう。防寒用にはいてきたブーツって子供用なこともあって、そんなにかかと高くないけど。

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