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266.森の仲間にお話を

 フレイナをゴチになったり、城の中を掃除したり情報集めたり、で十日ほど経過した。

 その間に、ホームグラウンド故に動きやすいスティや同じ獣人であるミンミカ、そしてアムレクがこの近辺を走り回って調査してきてくれた。ウサギ兄妹、寒さにはそれなりに強いみたいだしな。


「さて」


 で、戻ってきてくれた三人には謁見の間じゃなくて、会議室としてしつらえてもらった大部屋に来てもらう。

 要は身内の報告と、あとその内容に関して会議というかそういうことだからな。謁見の間、ってのは外から来たお客人とか、そういう相手と会うところだろうし。


「報告、お願いできるかな」

「はいっ」


 もぐもぐと温野菜サラダ食ってるアムレクは置いといて、ミンミカが元気に手を上げた。


「おしろのちかくに、おおかみさんたちのしゅうらくがあったです。みんなでおはなし、しにいったです」

「しゅうらくのちょうろうさまから、いちどコータちゃまのおかおをはいけんしたいのできてください、っていってました」


 ミンミカの後に、ちゃんと口の中身飲み込んだアムレクが続く。てか、俺に狼獣人の集落に来てくれ、ってことか。

 俺はいいんだけど、横にいたシーラがむかっとしたのが気配で分かる。いや、そこで怒るなよな。


「コータ様直々のお出ましを、と?」

「そりゃそうだろ」


 俺だって、その狼さんとこの偉いさんだったらそう言うよ。当たり前じゃねえか、と突っ込む前にスティが理由を述べてくれた。


「俺のように直接封印を解いていただけたならともかく、見も知らぬ獣人がいきなりやってきてアルニムア・マーダ様が復活なされました、とかいきなり言われて信用するか?」

「……しませんね。失礼いたしました」


 ですよねー。シーラも理解できたようで、きちんと頭を下げる。

 しかし、俺が直接行ったところでちゃんとアルニムア・マーダって分かるのかね。シーラや四天王たちは、きっちり分かってるみたいだけど。


「あとは鹿やリスなどの草食系獣人とも、アムレクたちに頼んで当たりはつけておいた。ただ、険しい山道故コータ様は、移動の際には鳥人の力をお借りしたほうが良いと思われる」

「そうなるなあ」


 スティは結構しっかりしてるのが助かる。草食系だと、虎の自分が行ったらそりゃ怖がられるよなあ。そういうこともあって、ウサギ兄妹に頼んでくれたようだ。さすがだな……と思うけど、この兄妹ちゃんと話できたのか?

 ま、通じてるならいいか。後は、俺の『足』というか『翼』か。


「城の留守はルッタに頼みたいからシーラ、お願いできるか?」

「はっ、おまかせを」


 四天王であるルッタは、この城にいてもらって何かあったときに頑張ってもらうのがいいだろう。だから、移動にはシーラを指名する。旅の最初から一緒にいてくれてるし、何というか胸慣れてるし。


「カーライルとファルンは事務の方、頼む。いくら邪神の一派でも、ほいほい略奪とかしちゃ味方が減る一方だからな」

「お金が物を言う時代ですからねえ」

「お仕事もきちんと割り振らないといけませんものね。お任せくださいませ」


 この人間二人には、戦闘能力よりもそっちのほうで頑張ってもらっている。戦うなら、四天王とかシーラの方が強いわけだからな。

 カーライルは神官、ファルンは僧侶でどちらもあんまり戦慣れしてるわけでもないしさ。

 だから、頼むぞ。

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