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実は異世界の神様だったらしい俺。それも邪神で少女神  作者: 山吹弓美
十四:メイヒャーディナルの峠
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249.結局皆は見るのかよ

 ふと、スティがこちらを振り返った。俺か、と思ったけど違うみたいだな。


「そこのウサギたちよ、名は何という」

「ミンミカですー」

「アムレク、といいます」

「ミンミカとアムレクか。よし」


 ああ、獣の王だからこの二人は直接の配下、ってことになるのか。シーラはアルタイラの配下だったしな、ウサギ兄妹のほうが指示もしやすいんだろう。


「ルシーラット、ミンミカ、アムレク。皆をしっかりと守れ。良いな」

『ははっ!』


 あ、シーラも含めて三人がかっこよくかしこまった。この指示の仕方はもしかして、俺が邪神だってのバレないようにするためなのかな……まあ、吸ったらルッタも気づくんだろうけれど。


「コータちゃま、あぶないですからさがりましょ」

「ああ、うん」


 とか考えている間に、ひょいとミンミカに抱っこされてその場を軽く離れる。……危ないか、確かにな。

 そうすると戦闘力のあるシーラ、ミンミカ、アムレクと最悪衝撃波ぶっ放せる俺はともかく、他の連中はまずそうか。


「ファルン、カーライル、ジランド、コングラ。お前ら、とにかく離れとけ」

「あら、いやですわコータ様」


 一応二人から距離を取りつつも、ファルンはにっこり笑って首を振る。いや、危ないから。


「せっかく、バングデスタ様対ルッタ様という、めったに見られない戦が見られるのですよ」

「私は、コータ様のおそばに仕えることが使命と思っております」

「ま、ちょっとくらいなら大丈夫でしょう」

「この状況で逃げられねっす……」


 あああ、マジ逃げなきゃと思ってるのはコングラだけかよ。しかも、雰囲気に飲まれて逃げられない状況になっちまってるし。

 シーラが頑張って防御してくれるしかないかな、いやスティとルッタが周囲に迷惑かけないように戦ってくれればいいんだけど……うん無理だ。日の出の穴とかぶち開けてる連中が相手だし、無理だー。

 せめて、遠くにいる一般の観光客たちにだけは被害が及ばないように、頼むぞお前ら。


「全員、自分より前に出ないように。アムレクとミンミカも、ガードに徹しろ」

「わかったですー」

「りょうかいです」


 剣に手をかけて、だけど抜かずにシーラが命じる。アムレクは姿勢を低く、ミンミカは俺を抱えたまま軽く重心を落とした。

 そうして俺たちの背後に居並ぶ皆の前で。


「我が名はバングデスタ。アルニムア・マーダ様より獣王の名を仰せつかった者」


 スティはさすが獣の王、両手を地についてまさに虎が獲物を狙うような態勢を取る。


「我が名はルッタ。サブラナ・マール様より邪神の徒を廃せよと仰せつかった者」


 ルッタは翼を広げ、剣を両手で構え直す。


『いざ、尋常に……勝負!』


 二人同時に、叫ぶとともに相手に向かって飛びかかった。

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