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176.教会ならばやることは

 コングラに案内される、という形で俺とファルン、それにカーライルはボートランの教会までやってきた。まあ、襲撃なんてないだろうけれどその場合、シーラじゃなくても何とかなるだろうという結構甘い読みでこのメンツ。

 てか、街中でほいほい襲撃とかされたら、それはそれで領主とかマール教に問題押し付けられるけどな。


「はい、ファルン殿ですね。メイメイデイより連絡は来ております。既にメイヒャーディナル教会までは伝わっておりますので、この先の行程もご安心ください」

「ありがとうございます」


 結局、襲撃なんて物騒なことは全くなく、ファルンは教会でここの僧侶と会話を交わしている。ほんと、この連絡網ってすごいよな、と毎回思う。

 僧侶たちはマール教の本部である神都サブラナとも連絡網があるし、ファルンみたいに修行の旅をしている僧侶についての情報を伝えるために教会間の連絡も結構密だ。実際、こうやってファルンの名前は伝わってるしな。

 その連絡網を利用して、俺たちは少しでも情報を得たいと思ってる。ただまあ、マール教の情報網だからな。

 マーダ教の情報なんて、そう流れてくるわけもないさ。教育部隊とかの情報じゃなけりゃ……だから、サングリアスから情報が来ればとってもありがたい。うん。


「同行牛車はジランド殿、ですね。彼なら客人からもよく信頼されていますし、仕事を安定してこなされます」

「ここまでの短い時間で、それは確信しましたわ。よい方に当たったと、一同感謝しております」

「おー、そりゃありがたいこって」

「コングラ殿、あなたももうちょっとしっかり経験を積めば独立できるというお話ですわよ」

「うわ、マジすか」


 僧侶さん、コングラの顔分かってるんだ。本当に顔なじみなんだなあ、とそこらを確認できてちょっとホッとしてる。

 いや、こいつが本当に俺の信者かどうかなんて、確認の仕方知らないし。


「さて」


 一通り話が終わったところで、カーライルが教会の入口を振り返る。誰もいないそちらにするりと歩み寄り、さり気なく扉を閉めた。そのまま、警戒をしてくれることになっている。


「コータ様」

「おう」


 ファルンに呼ばれて、普通に僧侶さんの方に進んでいこう。普通に歩いても、外見上あどけない幼女がとてとてと歩いてる、みたいな感じに見えるんじゃないかな。ロリっ子外見バンザイ。


「あら。いかがなさいました?」

「失礼」


 もちろん、僧侶さんもこちらの中身なんて透視できないようでにっこり、と普通に笑いかけてくれる。その肩を、ファルンが軽く押して姿勢を崩した。


「きゃっ」

「いただきまーす」

「んっ!?」


 一応教会の中、とはいえ扉一枚で外とつながってるんで、速攻で唇を重ねさせてもらう。まったく、色気もへったくれもないぜ、と思いながら軽く気を吸う。あ、程々の甘み、これはなかなか。


「んんん……ふー、うう……」


 吸ったら吹くのは当たり前、俺の気を流し込んでやるとあっさり僧侶さんはおとなしくなる。ついでにもうちょっと吸わせろ、みたいに自分から吸ってきたので追加で吹き込む。

 一番耐性あったの、多分グレコロンだよなあ……ああいうやつには、なるべく会いたくないな、うん。


「ごちそうさまでした」

「ありがと、ごらいまひた」


 そして、ボートランの教会はあっさり俺の支配下に入った。

 いや、一人抑えておけば情報はどうにかなるしな。後は例によって、バレたら忘れろ系の命令をしておく、と。

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