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25 サマーパーティーの断罪

ここまでお読み下さりありがとうございます。完結までお付き合いください。

学院長から交流会の総評が始まり、国王陛下が最優秀の研究グループの代表者を呼んだ。

ローラの再従姉妹のアメニアが満面の笑顔で賞状を両手で貰い挨拶をするとみんなに見せるよう賞状を上に上げ見せた。

優秀なテーマとしてセオドリアが呼ばれた。更なる活躍を期待していると王妃様にも声をかけられ、恐縮していた兄様の様子に掌が痛くなるまで強く拍手をした。


穏やかに褒賞の授賞式は終わり、国王陛下と王妃様は扉を後にした。

学院の教師が司会を務め、来賓の紹介をし、シャーリスが見ていた人物は隣国の宰相だった。紹介も途切れ、ローラと二人でシャーリスのいる方向に身体を動かす。教師は注意事項を淡々と読み上げ、楽しむようにと締め括る。


いっせいにホール内は動き出す。シャーリスまでの距離も近くになりあちらからも私とローラに気づいた。シャーリスは眉尻を下げ申し訳なさそうにしていたが、私もローラも気にしないでシャーリスに向かって突っ込む。

「返事ぐらいくださいな」

と戯けて言うと

「ごめんなさい」

とかえってくる。

シャーリスが笑ってくれたのでなんでもいい、そんな気持ちを言葉にして伝えたかった。


賑やかなホールと対照的に、ゆっくりと先程まで国王陛下達がいた壇上に登る二人の王女。大きめな声で第二王子と側近達を呼ぶ。

その声に視線が集まる。


声高く、突然に王女殿下が断罪をし始めた。

「シャーリス様、私達に謝って下さい。王宮や学院での嫌がらせ私達とても悲しかったです」

涙を堪えて悲しいという表現をアピールしていた。


横を見ると強い視線で真っ直ぐ王女殿下達を見るシャーリスがいた。

「私は王女殿下達にお会いした事はありません。王女殿下達が我が国に来る少し前から王宮には行っておりません。また学院の方にも殿下達が編入される前からお休みをさせていただいておりました。何か誤解があるようですね。早急に調べた方がよろしいのではないでしょうか?」

しっかりとした返答は、この茶番をより滑稽にする。王女様達は何がしたいのか、決められた台詞でもあるかのように何度も

「でも意地悪された、嫌味を言われた、物が無くなった」

と隣国の若い宰相をチラチラ見ながら繰り返す。

助け舟も出さないその態度に王女様は癇癪をおこして、扇子を投げる。その行動も一国の王女には見えず憐れな令嬢にしか見えない。


「王女殿下達の行動や言動は弟のアルファード達側近で全て見張らせていただきました。去年の魅了の薬物の入手先は貴方が懇意にしている商会ですね、仕入者と作成者を押さえました」

ローレンスは、視線を隣国の宰相に向け強い口調で問う。

「この国を支配したいのですか?」


若い宰相は、ゆっくりと無表情な顔で会場中を見回す。

「これはゲームなんだよ。この国の第一王子、第二王子が揃う時期のサマーパーティーでの断罪、ざまぁ、ハッピーエンドだろうが、バッドエンドだろうが関係ない。何も無いなら作ればいい、選択肢を増やして選ばせればいい。コレットという娘もその家族も商品を示しただけだ。こちらにいる王女殿下にも物語を話しただけだ。選んでいるのはキャラクターのお前らだ。

ゲームが終わってあちらに戻れれば…、

帰りたいんだよっ日本に」


「何を言っているんだ。お前は。唆して選んだのは他の者の勝手だと。ふざけるな」

激昂するローレンス殿下に、呼応するかのように

「バッドエンドか上等だ。ハハハッ」

乾いた笑いが響く。

「そうか、私もキャラクターだったんだ。悪役宰相か、ハハハッハハハ」


一人の笑い声。笑い止まれば、音は無い。


鎮まり返った会場に近衛騎士達の金属のぶつかる音がする。この会場にいる中でこの人の話した単語が全て理解出来る者はいないだろう。

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