表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕だけに聞こえる彼女達の本音がデレデレすぎてヤバい!  作者: 寝坊助
デレ2~第2の妹登場!? クラスメートのお嬢様もヤバい!~
73/217

20「しょうがないな。わかったよ。じゃあ二人で行こう!」

 そして、やってきました某遊園地。

 僕らの住んでる市内の中では、一番大きな遊園地だ。

 目玉は85メートルを越える観覧車であり、他にも45種類ほどの大型遊具を備えている。更にはキャラクターショーなどのイベント各種、この時期には花火大会も併設して行っているという、イベントが盛り沢山な施設だ。


「……私、遊園地って初めて来ましたけど、大変な盛況とはしゃぎ具合ですね。大人も子供も一緒になって駆け回っています」


(……なんだかお祭りみたいで、心が踊りますね)


 アリサさんが見てるのは、着ぐるみとの触れ合いコーナーだ。文字通り、ねずみやアヒルや犬といった、見慣れたキャラクターのぬいぐるみを、子供達が大はしゃぎでペタペタと触っている。その他にもカップルで来ているらしく、彼女がぬいぐるみに抱きついているのを、彼氏が携帯で撮影するという、微笑ましい光景も見られた。


「……ああいうのって、中に人が入ってるんですよね。この暑い中熱気もあるのに、十キロ近いぬいぐるみを着て、動き回って子供たちに揉みくちゃにされるんですね。私も子供ではないので、あの手のキャラクターには興味もありません。どうしてみんなが群がってるのか、不思議でなりませんね」


(……ほ、本当はとても興味があるんです。私、ああいう可愛いキャラクターが大好きなんです。はぁっはぁっ……。今すぐもふもふしにいきたいです)


 と、アリサさんは酷評しているが、心の中は見事なくらい逆で、着ぐるみを中心とした輪に入りたがっている。いや、せっかく遊園地に来てるんだし羽目外せばいいと思うけどな。というか、遊びたいなら遊びたいって言えばいいのに。


「……それにしても何ですね。大人たちもいい年をして、あんなぬいぐるみに列を作ってまで触りたいんですかね。子供じゃあるまいし、全くもって理解不能です」


(……もふもふしたい、もふりたいです。そんな子供っぽいところ、神奈月さんに見せるわけにはいきません)


「……あのさ、アリサさん」


 流石に見かねた僕は、アリサさんに突っ込みを入れた。


「せっかくなんだから、アリサさんも行ってきなよ。くだらないとか言ってさっきから食い入るように見てるし。本当は好きなんでしょ?」


 そう。

 園内に足を踏み入れてから早十分。距離にして数メートルの場所で僕たちは立ち止まっていたのだった。

 いや、立ち止まっているというより、アリサさんが動いてくれないだけなんだけど。そもそも僕たちは遊ぶために来てるのだから、遊ばなきゃ損じゃないか。


「……なにを言うんですか神奈月さん」


 アリサさんはジト目で僕をにらんで、


「……この私が、あんなぬいぐるみ如きに心惹かれてるはずがないでしょう?」


(……この年にもなってぬいぐるみが好きなんて、神奈月さんにバレたら恥ずかしいんです)


「いや、心惹かれるとか惹かれないとかじゃなくて。こういうテーマパークに来てるんだから、そこでしか味わえない体験をしないというのは、勿体ないんじゃないかって話」


「……それなら、神奈月さんだけで行ってくればいいです。何と言われても、私は行きません」


(……ああ、言ってしまいました。もう終わりです、おしまいです)


「いやいや、そう頑なにならずに」


「……うるさいです。頑なになんてなっていません」


 そういって、そっぽを向いてしまうアリサさん。

 ふーむ。

 すっかりへそを曲げてしまったようだ。

 しかもその内容が、実に子供っぽい。


 といっても、白輝アリサさんはクーデレ病にかかっているので、本人の意思とは無関係にクールな態度を取ってしまうんだけどね。

 

 でもそういうクールというか、冷めた態度の裏側には、年相応の女の子らしい、可愛い側面ももっているのだ。

 ……まあ、僕に対しても表向きはそういう態度は見せないんだけどね。


「しょうがないな。わかったよ。じゃあ二人で行こう!」


「……え? な、なんですか?」


 僕は呆気に取られるアリサさんの腕を取り走り出した。

 そしてぬいぐるみの輪の中にダイブ。アリサさんは一瞬短い悲鳴を上げたが、可愛いキャラクター達に囲まれると、すぐに相好を崩した。

 

 そうなんだ。デートと行っても楽しむために来てるんだから、難しいことはいいっこなし。――といいながら、アリサさんも結構楽しんでるみたいだけどね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ