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僕だけに聞こえる彼女達の本音がデレデレすぎてヤバい!  作者: 寝坊助
デレ2~第2の妹登場!? クラスメートのお嬢様もヤバい!~
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16「愛しております……お兄様。心から」

「……何だって?」


 僕は思わず聞き返した。

 雪ノ宮ことりというのは、あすかの実姉だったのだ。

 しかも、もう死んでいるという。

 当のあすかは、不安げな表情で僕を見上げている。

 襟が少しはだけて、鎖骨が見える。白い肌は雪のように透き通っていた。

 さっき見た裸身を思い出して、僕は顔が熱くなるのを感じた。


「お兄様……どうして、そのようなことをお聞きになるのですか?」


「……ごめん。ちょっと気になったものだから。ちなみに、どんな人だった? お姉さんって」


「……お姉さま、のことですか」


「うん。もし言いたくないことだったら、無理には聞かないけど」


 僕がそう尋ねると、あすかは首を横に振った。


「お姉さまのことを申し上げるのは、心苦しく思います。なにせ、手がつけられないほど粗暴なお方でしたから。昔はそうではなかったのですけどね。思春期を迎える頃からわたくしを避けるようになり、果てには暴力を振るわれたり、雑言を浴びせられるようになりました。お亡くなりになるまで。――きっとそれも、わたくしに至らぬ点があったからだと、今でも自責の念にかられております」


「そっか……そうなのか」


「はい……重たい話になってしまい、申し訳ありません」


 またもや頭を下げるあすかに、僕は「まあまあ」と説き伏せる。しかし、これで「ことり」という人間の正体は分かった。僕が見たことりの印象とも一致する。

 そのことりの魂が、死してなおあすかに取り憑いている? それとも、実姉を失ったことに耐え切れず、あすかが一人二役を演じているだけなのか。


「……お兄様。先ほどから、お姉さまのことばかり聞いていらっしゃいます」


(お兄様、わたくしのことなど、どうでもいいのでしょうか。それは、お姉さまに比べればわたくしなど搾りカスのようなものですけど)


 見ると、あすかが不機嫌そうに目を細めていた。


「ち、違う……勘違いしないで。自分の家族のことだから、気になるってだけ」


 僕はそう弁解するが、あすかは信じてくれていないようだった。

 とにかく、あすかのこの性格も問題だ。実際、短刀を持ってきてるのはことりではなく、あすかなのだ。ことりは信じられないくらい攻撃的だが、あすかもまたネガティブすぎるという欠点を抱えているようだ。


「そうですか。申し訳ありません、お兄様を疑うようなことを言って」


「いや、いいんだよ。ところで、今日はもうこれぐらいでお開きにしない? 母さんもほみかも帰ってくるころだし。鉢合わせると、説明に困るしさ。紹介するのは、また今度ということで」


 僕がそう言うと、あすかは悲しそうに目を伏せた。


「そう……ですね。お兄様のご家族にもご挨拶したいのですけど、その方達にとっては、わたくしは他人ですものね」


(わたくしなど、お兄様にとっては邪魔者でしかないのですね。わたくしとお兄様は、血のつながりこそあれ、他人同然の生活をしてきました。生みの親より育ての親となっても無理はありません。わたくしなど他人なのですから、追い出されても仕方ないですね。やはり死ぬしか……)


「だ……だから、違うって! 僕はあすかのこと、他人だなんて思ってないよ!」


 僕は叫んだ。

 また彼女の思考が、危険な方向に行ってしまったからだ。


「そ、そうですか? わかりました。――お兄様のご家族にお会いするのは、またの機会にしましょう。それと……お兄様にも、一度我が家にご足労いただきたいのですけれど」


「僕が……雪ノ宮の家に……?」


「もちろん、お返事は今すぐでなくとも結構です。わたくしも母も、お兄様を苦しめるために出てきたのではないこと。それだけは信じていただきとうございます」


「ああ……それは、分かってるよ」


「では、わたくしはこれで。その前に……褒美を頂きたく存じます」


「え……? 褒美?」


「わたくしに対する愛という、褒美です」


 そう言うと、あすかは僕の前に一歩踏み出した。


「愛しております……お兄様。心から」


「――!?」


 次の瞬間、僕はあすかにキスをされた。

 しっとりと柔らかい唇が、僕の唇につけられる。

 舌が絡められ、あすかの唾液を流し込まれる。

 ぴちゃぴちゃと、歯茎の裏まで舐められる。

 あまりの激しさから、僕は目を閉じていた。

 妖艶で……あでやかで……そして、魅惑的。


「うっ……! ちょっと、待って!」


 僕はあすかから距離を取った。

 あすかは少し寂しそうな笑みを浮かべて、


「お兄様……」


「な、なに……?」


「愛しております……。兄としてではなく、一人の男性として」


 あすかの目は、暗く淀んでいた。


「ですから……必ず、お兄様はわたくしの元に来てもらいます」


「あすか……?」


「……今日の所は、これでお暇します。お邪魔しました」


 あすかは深々と頭を下げると、部屋を出て行った。その後姿を見ながら、僕はかつてないほどの疲労を感じていた。


 あすかが帰った後、僕は一通のメールを受信した。

 携帯の画面を見て内容を確認する。

 差出人はアリサさんで、本文はこうだった。


 ――もしよかったら、明日デートしませんか?

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