表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕だけに聞こえる彼女達の本音がデレデレすぎてヤバい!  作者: 寝坊助
デレ2~第2の妹登場!? クラスメートのお嬢様もヤバい!~
66/217

13「終わりだね、お姉ちゃん」

「死ね!」


 ことりは疾風のごとく駆けると、りおんに向けて短刀を振り下ろした。

 それを、りおんは包丁で応戦する。

 キイン! という音がして、そのまましばし鍔迫り合い。


「なんの!」


 りおんはことりの短刀を薙ぎ払った。バランスを崩し倒れかけたことりに、ためらいなくりおんは包丁で斬りかかる。

 僕はあっと声を上げた。いくら異常をきたしてるとはいえ、自分の妹が目の前で刺されそうになっているのだ。


 しかしことりは、体勢が崩れた状態から素早く立ち上がると、りおんの包丁を下から受け止めた。

 その反射神経は、とても常人のものとは思えなかった。


 おそらく本気だ。ことりは本気で、僕やりおんを殺すつもりだ。

 実の兄を殺す。大罪だ。しかし、彼女には何のためらいはない。

 僕が恐怖に背中を震わせた時。


「はぁっ!」


 ことりは、りおんの包丁を下から切り上げると、そのまま左手で短刀を突きにいった。

 

「うっ!」


 まるで稲妻のような突きだった。かろうじて刃先で受け止めたりおんだったが、衝撃は受けきれずに壁際まで吹っ飛ばされた。その際に頭を打ち付けたようだ。りおんは包丁を握り締めたまま、ぐったりと動かなくなった。


 りおんが気を失ったのを確認すると、ことりはゆっくりと、りおんに向かって歩を進めた。


「終わりだね、お姉ちゃん」


 邪悪な笑みを浮かべながら、ことりはりおんに短刀を上から突き刺そうとした。

 あわてて僕が止めようとした時。

 気絶していたと思われたりおんがカッと目を見開き、雷光のような速さで持っていた包丁をことりに投げつけた。


「うっ……!」


 包丁は、刺さってはいなかった。

 着物の帯をかすめただけで、ことりは無傷のようだった。

 これで、勝敗は完全に決した。


 りおんは手負いの上武器をなくし、片やことりは、上から短刀を振り下ろすだけ。壁際に追い詰められてることで、逃げ場もない。


「くっ、ダメだったみたい。透ちゃん、ごめんね……」


 そう言うと、りおんはガクッと頭を下げた。

 どうやら、今度こそ本当に気を失ったらしい。


「じゃあ、今度こそ本当にお別れだね」


 ことりは、りおんとの間合いを詰めた。

 もうりおんには、立ち上がる力も残っていないようだった。

 ことりが短刀を振りかぶっても、起き上がろうとさえしなかった。


 僕は反射的に立ち上がった。


「やめろ!」


 その言葉が合図になったかのように、ことりは勢いよく短刀を振り下ろした。

 僕は止めようと手を伸ばしたが、到底ことりの手には届きそうもなかった。

 もはやこれまでか。

 諦めかけていた僕の手が、ことりの着物の帯をつかんだ。


「えっ」


 ことりの動きが止まった。

 次の瞬間には、僕はことりの帯を勢いよく引っ張った。

 

「きゃぁ!」


 ことりは叫び声を上げると同時に、くるくると回転した。

 僕は無我夢中で、着物の帯を引っ張った。りおんの包丁で切れ目が入っていた帯は途中で切れ、ことりは顔から床にドサッと倒れた。その瞬間、手から短刀が滑り落ちる。


 もう起き上がってこないか。

 僕の期待をあざ笑うかのように、しばらくすると、ことりは立ち上がった。


「ぁ……」


 ふと、彼女が小さい声を漏らした。

 さもありなん。ことりは裸だったからだ。切れ目が入った帯を僕が引っ張ったせいで、着物が脱げてしまったらしい。

 白く輝く肌が、むき出しになっている。ことりは顔を耳たぶまで真っ赤にし、奥歯をカチカチと鳴らしていた。


 小ぶりではあるが形のいい胸。程よくくびれた色っぽい腰。そしてその下には……。

 全て見えた。

 下までじっくり見た後上を見上げると、ことりと目が合った。

 彼女は、脂汗をかきながら呆然としていた。猛暑日にサウナスーツを着てランニングしたとしても、こういう顔にはなるまい。


「ぃ、ぃ、ぃ……」


「い?」


 不明瞭な彼女の言葉を、僕が聞き返すと、


「ぃやぁ~~~~~~~~!!」


 叫び声を上げて、ことりはバッタリと倒れた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ