表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕だけに聞こえる彼女達の本音がデレデレすぎてヤバい!  作者: 寝坊助
デレ1~妹と幼馴染のバトルがヤバい!~
47/217

47『だいじょうぶだよ。いまたすけるからね、ねこちゃん』

 僕が登っていっても、子猫は身じろぎ一つしなかった。やんちゃではあるが、人懐っこい猫なのかもしれない。


『ねー! いけそー?』


『うん、いけそう! ちょっと待って』


 僕は木の下で話しかけるほみかに相槌を打った。実際は自信なんてこれっぽっちもなかったのだが、ほみかにいい格好を見せたい気持ちが強く勝っていた。

 たぶん、この時警察を呼んでおけば、もっとスムーズに救出されていただろう。このときは、そこまで頭が回らなかった。自分達が見つけたのだ。自分達の力で解決すべきだと思ったのだ。


 そうこうしてる内に、子猫がしがみついてる木の幹までたどり着いた。

 僕は、文字通り猫なで声で話しかけた。


『だいじょうぶだよ。いまたすけるからね、ねこちゃん』


『ニャア~』


 子猫は、甲高い声で鳴いた。僕は刺激しないように、そーっと手を伸ばした。

 そして、子猫の体を抱きかかえる。

 後は下まで降りるだけだ。それだけのはずだった。

 僕は右手で子猫を抱え、出来る限りゆっくりと、幹を掴みながら足を絡ませ、ズルズルと下に降りていった。


 そのとき、ふいに子猫が、僕の腕から飛び出した。


『あっ』

 

『きゃあ!』


 ほみかの叫び声が聞こえた。しまった。つい手から離してしまった。僕の脳裏に、地面に激突してグチャッと潰れた猫の映像がよぎる。僕はおそるおそる下を見ると……。


『ニャア』


 なんと、子猫は無事地面に立っていた。

 どうやら上手く体をひねって、足から着地したらしい。


『やったやった! ねこちゃんたすかった!』


 見ると、ほみかは大喜びで、子猫を抱きしめていた。

 子猫の顔にほっぺたをつけてスリスリしている。猫にも怪我はなかったようで、くすぐったそうに頭をこすりつけていた。


『ふう……よかった』


 僕は、ほっと一息ついた。

 これで、問題はほとんどなくなった。僕は大きな木を持ち抱えるようにして密着しながら、少しずつ下がっていった。相当古い樹木らしく、ところどころ傷んだり腐ったりしている。地上まであと数メートルほどはある。僕は慎重に体を動かした。


 その時だった。


『あっ!』


 僕が掴んでいた木の幹が折れたのは。 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ