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僕だけに聞こえる彼女達の本音がデレデレすぎてヤバい!  作者: 寝坊助
デレ1~妹と幼馴染のバトルがヤバい!~
44/217

44「……じゃあ、証拠を見せればいいんだね?」

(嘘でしょ? 嘘ついてるんでしょ? お兄ちゃん。やだなー、エイプリルフールはもう過ぎちゃったよ?)


 僕の告白に対して、ほみかが一番先に考えたのはそれだった。


「いや、嘘じゃないよ。エイプリルフールの冗談でもない。僕は本当に、人の心が読めるんだ」


 だから、先手を打っておいた。ほみかはビクッと肩を震わせて僕を見た。


(ど、どうして今ほみかが考えてること分かったの? あ、あてずっぽうじゃないよね? お、お兄ちゃん、ひょっとして……本当に……)


 ほみかは、震える指を唇に添えた。その姿に、僕は心を痛めながらも続けた。


「そうだよ。あてずっぽうじゃない。これが、僕の能力だよ」


 僕がそう言うと、ほみかは腰に手を置いて、蔑むような視線を向けた。


「ふっ、ふーんだ。バッカバカしい。何よ能力って。この中二病が。そ、そんなことあるわけないじゃん」


(あるわけない……よね? お兄ちゃん、そうだって言って!)


 そのまま、僕の顔をのぞきこむ。


「ほらほら~、何とか言ったらどーなのよ。あー、分かった。変な漫画にでも影響されたんでしょー。駄目よ? 漫画の読みすぎは」


「いや……そうじゃない」


「バーカ。超能力なんて現実にあるわけないじゃん。あたしのことからかって、そんなに楽しい? 本当、性格悪いわバカ兄貴は」


「……じゃあ、証拠を見せればいいんだね?」


「……え?」


 僕がそう言うと、ほみかはキョトンとして、僕の顔をまじまじと見つめた。


「今から、ほみかの考えてることを当ててあげるよ。あてずっぽうなんかじゃ当てられないようなことをね。そうしたら、信じてくれるんだろう?」


「い、いいわよ!? やってやろうじゃない!」


「あ、先に言っとくけど、頭の中カラッポにしようとか、そういうのは無しだからね? ちゃんと考えて答えるように」


「わ……わかったわよ。何でも聞きなさいよ」


(ひーん。ヤバいヤバい! ヤバすぎる! ほみかの考えてること、お兄ちゃんに全部バレてたなんて! そんなことあっちゃダメだよおおおおおお!)


 ほみかは、キッと鋭い視線を僕に向けた。


「そうだね……じゃあ」


 僕は考えてみた。あまり難しい話題だと脳内でイメージしにくい。

 なので、ここは。


「頭の中で、数字を思い浮かべてみて。四桁以上がいいな」


「す、数字……四桁以上ね……」


 すると、ほみかの心の声が聞こえてきた。


(4377……4377……4377……)


「わかったよ」


「へ、へぇ~。じゃあ、当ててみなさいよ。あたしがどんな数字を思い浮かべたのか!」


(当たんないよね。こんなデタラメな数字。当たりっこないよね!?)


 ほみかが不安そうに聞いた。

 ここで外してみせたら、どんなに心がホッとするだろうか。

 しかし僕は、無慈悲に言い放った。


「頭の中で思い浮かべた数字は4377だ。合ってるでしょ?」


「う……そ……」


 僕がそう言うと、ほみかは愕然とした表情を見せた。


「だから言ったでしょ。言っておくけど、これは手品でも何でもない。全部本当のことなんだ」


「ちがうよ……うそだよ……」


 すぐさま、心の声が聞こえてきた。


(……じゃあ、全部バレてたってこと? お兄ちゃんのYシャツ勝手に借りて匂いかいでたことも、朝起こしにいくついでに寝顔を隠し撮りしてたことも、お兄ちゃんのこと考えてトイレで○○○してることも。全部、全部バレてたってこと……?)


「そうだよ……。ほみかが僕のことをどうしようもなく好きなことも。全部、知ってたんだ」


 僕は、顔をそむけた。

 もう、ほみかの顔を見ていられなかったからだ。


 ――どうして、こんな能力を得てしまったんだろう。


 それは僕が願ったことだった。ほみかが何を考えているのか知りたい。そう思っていたのは、他ならぬ僕だった。

 しかし結果的に、こうしてほみかを傷つけることになってしまった……。


「う……う……」


 ふと顔を上げると、ほみかは目に涙を浮かべていた。


「ほ、ほみか。違うんだ。聞いてくれ。ね? ちゃんと話し合えば……」


 僕は、ほみかに手を伸ばそうと――


「い、い……いやぁ!!」


 ほみかは僕の手を払いのけると、リビングから走り去っていった。

 呆然としてしまって、追いかける暇もなかった。

 やがて、ガチャリという音がして、ドアを乱暴に開ける音がした。


 僕は、ハッと我に返った。


「ほみか、待ってくれ! 話を聞いてくれ!」


 玄関にはもう、ほみかの姿はなかった。

 ドアを開けて顔を出すと、ほみかは大通りに向かって走っていた。


「ほみか!」


 僕はほみかを追いかけ、日が暮れた街へと飛び出した。

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