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僕だけに聞こえる彼女達の本音がデレデレすぎてヤバい!  作者: 寝坊助
デレ1~妹と幼馴染のバトルがヤバい!~
41/217

41「わかったよ、お供するよ。きびだんご代わりに一品もらうけどね?」

「――さん。 ――さん」


 声が聞こえる。誰かを呼ぶ声が。

 が、耳には入ってくるけど頭の中には入ってこなかった。


「――さん? 神奈月さん?」


「え?」


 肩を揺さぶられて気がついた。

 顔を上げると、心配そうにアリサさんが覗きこんでいた。

 僕は周りを見渡した。他の生徒達は弁当を食べたりしている。どうやらもう昼休みになってるらしい。


「ああ、アリサさん、ごめん。何か用?」


「……何か用? じゃないですよ。さっきから何度も言ってるじゃないですか。一緒にお昼食べませんか? ……って」


(……神奈月さん、やっぱり具合でも悪いんでしょうか? 心配です)


 アリサさんは弁当箱を持ちながら、不機嫌そうに言う。

 その発言を聞いて、僕は椅子から転げ落ちそうになった。


「っ! アリサさんの方から僕をお昼に誘うなんて……。珍しいこともあるもんだね」


 慌てて椅子の端っこを掴みながら、体勢を立て直す。

 そんな僕の姿を見て、アリサさんは冷ややかな笑みを浮かべた。


「……それ、皮肉のつもりですか? やっぱり誘うのやめにします」


(……あうう、神奈月さんひどいです。こうなったら、絶対に私とお昼食べてもらいます)


「あー、ごめん。急なことだからビックリしてさ。せっかく誘ってもらえたんだから、ご一緒させてもらうよ」


「……嫌味なんて言ってないで、最初から素直にそう言えばいいんですよ」


(……よかった。もし断られたら、私泣いちゃってたかもしれません)


 口を尖らせながら、アリサさんはぼやいた。

 僕は苦笑しながらカバンから弁当箱を出すと、机の上に置いた。

 すると、アリサさんが、


「……よかったら、また裏庭で食べませんか?」


「――裏庭で? 別にいいけど、天気悪いよ?」


 そう、あいにく外の天気は曇り空。暗雲立ち込め、いつ雨が降り出してもおかしくない悪天候だった。あまり外で食事する気分にはなれない。そう思っていたら、アリサさんが思いつめたような表情で言った。


「……別に雨が降ってるわけでもないですし。教室で食べても、どうせジメジメしてるんですから同じことですよ。貴方は余計なこと言わずに、桃太郎についてくる犬のごとく、早急に私とお供すればいいんです」


(……大事なお話があるんです。人には聞かれたくない話です。ですから、来てくれませんか?)


 心の声が聞こえてきた。すがりつくような口調で。

 こういう時の彼女は、心を痛めていることが多い。

 だから僕は、椅子から立ち上がった。そして、アリサさんに向かって、


「わかったよ、お供するよ。きびだんご代わりに一品もらうけどね?」


「……!」


(……♡)


 僕がそう言うと、アリサさんは雨雲が晴れたように笑顔になった。

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