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僕だけに聞こえる彼女達の本音がデレデレすぎてヤバい!  作者: 寝坊助
デレ4~決着!? 最後に誰が選ばれるのかがヤバい!~
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エピローグ

「……そうですね。確かに、そうです」


 回想終わり。

 真上に上った太陽が心地よい陽射しを降り注ぐ頃。

 僕が半年前の出来事を懐かしみながら話した後の、アリサからの言葉であった。


「……私がこうして透さんとお付き合いしてる影で、色々な人たちを傷つけてしまいました。特にほみかさんには。ですからどんな困難があっても、二人で乗り越えていかなくちゃならないんですよね」


「まあ、そこまで堅苦しく考えなくてもいいんだけどね」


 僕は肩をすくめた。

 クーデレ病が治ったといっても、性格が目に見えて明るくなったわけではない。

 アリサはやっぱり物事を極端に考えすぎる。


「確かに、ほみか達には悪いと思ってるよ。でも、正々堂々と告白したという自負もある。要するに僕たちは周りのことを気にせずに、自分なりのペースでやっていけばいいのさ」


「……ええ、そうですね」


 アリサは薄く笑って、ミルクティーを飲み干した。

 僕も、食べかけのスコーンを食べ終える。

 のんびりはしていられない。これから、アリサのご両親へ挨拶に行くのだから。


 アリサの言うことにも一理ある。さっき僕はほみかのことを『憑き物が落ちた』と表現したけど、そうなるにはかなり時間がかかった。落ち着くまでの時間が。


 成長痛ってやつかな。

 それは大人になるための通過儀礼。

 でもほみかに対してそこまで痛い思いをさせたのだから、僕にはアリサを裏切ってはいけない責任がある――もちろん、さっきも言ったように自分なりのペースでね。


「じゃあ、そろそろ行こうか。アリサ」


 僕が席を立ちあがりそう言うと、アリサは慌てて僕の腕をつかんで、


「……待ってください透さん」


「ん? なに?」


「……その前に、最後の確認をしておきたいんです。私が、透さんに本当に相応しい女なのかを――」


「だから、そんなこと全然気にしなくていいって。むしろ僕の方が――」


「……いいから聞いてください。さっきも言ったように、これは私の気持ちの問題です。こんな不安定な気持ちのまま、透さんを両親に会わせるわけにはいきません。だからわざわざ、この場所まで来てもらったのですから」


「わ、分かったよ……」


 僕は立ちかけた席に座り直した。

 話と言っても、あまり意味はないんだけどなあ。

 だってアリサが何を言おうと、僕がアリサを好きなことに変わりはないし、別れるなんてことはあり得ない。僕の決意は変わらないのだから。


 まあアリサが満足するなら、それはそれでいいんだけどね。


 僕が姿勢を正しアリサを真っすぐに見つめると、


「……透さん」


 アリサもまた覚悟を決めた瞳で、


「……もう一度聞きます。透さん。本当に私なんかでいいんですか?」


 と訊いた。僕は大きく頷く。


「ああ、もちろんだ」


「……私はアルビノです。視力も弱いし、日差しをまともに受けることが出来ません。よって、様々なご迷惑をおかけすると思います。それでもいいですか?」


「覚悟はできてるよ」


「……お料理は下手ですし、お掃除も苦手ですけど」


「別に気にしないよ」


「……それと、クーデレ病が治ったとはいえ、引っ込み思案なことに変わりはありません。愛想もそれほどありませんし、不快な思いをさせるかもしれません」


「大丈夫。僕の方から合わせるよ」


「……そうですか。じゃあ、今すぐ私と結婚してくれますね?」


「ああ。今すぐ――って、え?」


 ……。

 …………。

 ………………。


 しばらく無言の空間が続いた。

 アリサはドヤ顔で僕を見つめている。

 僕は痺れを切らして言った。


「ええと……結婚ていうのは? 僕、何も聞いてないんだけど」


「……言葉の通りです。今からお父さまとお母さまに会って、式の日取りなどを相談したいと思います。それとも、私と結婚するのはお嫌なんですか?」


「いや、全然嫌じゃないけど……話が急すぎるというか……」


「……なら、何も問題ありませんね。年内に子供も作りましょう」


「いやいや! 話が急すぎるって! しかも僕たちまだ高校生だよ? 付き合ってまだ半年だし……流石に結婚とか子作りっていうのは、早すぎない!?」


「……え、でも私のこと愛してるって」


「うん、いずれ結婚はしたいよ。でも、それとこれとは話が……」


「……あと、お母さまは白輝家の事業と経営権を、全て透さんに相続させたいと言っております。透さんには会社運営も任せるつもりらしいので、そのつもりで」


「また一気に話が飛んだな! 僕の心の準備とかは!?」


「……そんなこと知りません。あと、白輝名義の邸宅、およびその邸宅が建つ土地、ならびに邸宅内の家具、調度、蔵書なども相続していただきたいと思います」


「は? ……それってつまり、白輝の財産を全て僕にくれるってことなの?」


「……はい」


「マジで?」


「……デジマです」


 うっそだろう。

 さっき何があっても乗り越えられる(キリッ)とか言ってたはずなのに。さっそく脳がスタン状態だよ。結婚はいいとして、年内に子作り? 会社経営の他に、屋敷と土地の相続? 鳩がマシンガン食らったような衝撃だよ――って。


 そこまで考えて僕は、ある疑問が浮かんだ。


「ちょっと待って。今の話、どこからどこまでが本当なの?」


 僕が問いかけると、アリサは悪戯っぽく微笑んだ。


「……さあ。ご自分で考えたらいかがですか?」


「いやいやいやいや。だって、普通に考えたらおかしくない? おかしいよね? おかしいって言ってよ!」


「……何がそんなにおかしいのか、理解に苦しむんですけど」


「あんな大きいお屋敷を中身や土地ごとくれるって言われてもさ! 相続税とか毎年の固定資産税とかどうするのさ! それに会社経営なんて初耳だし! それに妊娠しちゃったら、学校辞めなくちゃいけなくなるだろ!」


「……うるさい人ですね。理屈をごちゃごちゃと。愛の前には、小賢しい法律など無意味なんですよ? 先ほど、何があっても私を守るって言ったじゃないですか。あれは、嘘だったんですか?」


「い、いや……。確かに、確かにそう言ったけど!」


 そうは言ったけど、仰天に次ぐ仰天。

 オラわくわくしてきたぞ、とは流石にならない。

 もう胃薬を、全錠まとめて飲み干したいぐらいの衝撃だよ。

 っていうか、これ全部本当の話なの? アリサは『デジマです』とか冗談ぽく言ってるし。あんな馬鹿デカい屋敷をポンと譲り渡すなんて、あり得るのだろうか。


「そうだよね! 嘘だと言ってよ! アリサ!」


「……うふふ♡ さあ、どうでしょうね?」


「あああもう、もう――」


 僕はうなだれながら両手で頭をかき乱しながら叫んだ。共感性症候群もないし、そもそもアリサって表情に乏しいから、嘘か本当か分かりづらいんだよなあ。


「――でもま、いっか」


 急にガバッと頭を上げて、僕はひとりごちた。


「……透さん? ……って、え?」


 心配そうに僕の顔を覗き込むアリサを引き寄せて、キスしてやった。

 もっと詳しく言うと、僕の唇でアリサの唇をふさいだ。

 周りの客たちがざわついたようだけど、そんなこと知るもんか。


 だってほら、こんなに唇が柔らかいんだよ?

 暖かいし柔らかいしプルンとしてるし、ほんのり甘い。

 こんな唇を堪能できるなら、世界中の人の前でだって、キスしてやるさ。


「……いきなり、なんですか……」


 たっぷり数分ほど重ねた唇を離して。

 白い頬を桜のように染めながら、アリサは言った。

 僕も言ってやる。


「アリサが悪い。僕を困らせるようなこと言うから」


「……ぷいっ」


 頬をフグみたいに膨らませながら、アリサはそっぽを向く。可愛い。


「でもやっぱり正面から見たいな。こっち向いてくれない?」


「……い・や・で・す」


 そう言いながらも、アリサは僕の手に掌を重ねてくる。

 そしてそのまま、僕の手をぎゅっと握りしめた。


「君は言ってることとやってることが全然違うねえ」


「……手の置く場所に困っていただけです。他意はありません」


「分かった。オーケー。それでいい。ついでに、顔をよく見せてくれないかな?」


「……どうしてですか?」


「僕が見たいから」


「……なぜですか?」


「真っ赤になって恥ずかしがってるアリサの顔を、もっとよく見たいから。ついでに隙あらば、またキスできないかなと思っているから」


「……~~~~っ!!」


 そんな感じで。

 僕とアリサはしばらくイチャついた。抜けるような青空の元、ガーデンパラソルの下、お客さんや店員さん達に見守られながら。


 もちろんキスも何回もした。

 ついでに、いっぱい抱きしめた。白く美しく、スレンダーな体。柔らかい胸。ほっそりとした腰。透き通るように白い髪から漂う甘い香り。

 全てが愛おしい。アリサを形作る何もかもが。

 

 だから何が起きたとしても逃げない。戦う。


 そうだ。仮にアリサの話が全部嘘だったとしても、本当だったとしても、これから先どんなデレデレでヤバい事件に巻き込まれたとしても、問題はない。なぜならば、


 ――時間は、たっぷりあるのだから。

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― 新着の感想 ―
[一言] 完結おめでとうございます 2年間お疲れさまでした
[良い点] 完結お疲れ様でした! [一言] 最終的に透君が自分を見つめなおした上で迷いながらもちゃんと誰か一人を選び前を向いて終わる・・・・・いいエンドだったと思います。 肝心な所でヘタれた恋華や押…
2020/07/26 08:24 退会済み
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