表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕だけに聞こえる彼女達の本音がデレデレすぎてヤバい!  作者: 寝坊助
デレ4~決着!? 最後に誰が選ばれるのかがヤバい!~
214/217

53「そんなこと、あるわけないだろ」

 ――あれから半年。

 僕は、都内のあるカフェテラスに来ていた。

 白輝アリサ・・・・・さんと。


 時刻は午前11時。

 外のテラス席では初秋の穏やかな空気が流れ、夏の暑さは大分和らいでいた。

 少し冷たい風が新緑の木々を揺らす中、他のお客たちは語り、笑い、美味しい料理に舌鼓を打ったりしている。平穏で、心地よく、幸せな時間のはずだが。


「……私で、本当に良かったんでしょうか」


 ロイヤルミルクティーをソーサーに置きながら、アリサは言った。

 僕が選んだのは、りおんでも、あすかでも、そしてほみかでもない。僕のクラスメートで、そして親友でもあった、この人だった。


「ん? なにが?」


 僕が尋ね返すと、アリサは潤んだ瞳で僕を見ながら、


「……い、いえ。ごめんなさい。別に、透さんとお付き合いすることに、迷いがあるわけじゃないんです」


 アリサは首をふるふると振って、


「……でも。少し考える時があるんです。もし透さんがあの時、私じゃなくて他の誰かを選んでいたら? ……って。いまだに悪夢を見るときがありますし。食事も喉を通らないときもあります」


「え、ホントに?」


「……というのは少し言いすぎですが。時折不安になることがあるのは事実です」


「んん~。そう言われてもねえ。僕の気持ちはあの時語れるだけ語ったし。そんな風にネガティブになられても困るんだけど。ていうかその謙遜けんそんは僕がすべきだと思うよ? 君は絶世の美少女だし、いいとこのお嬢様だし」


「……見た目も身分も関係ありません。気持ちの問題です」


「まあ、その気持ちは分かるけどね。とはいえ、もう僕に共感性症候群の力はないから、ハッキリしたことは言えないんだけど」


 僕がそう言うと、アリサにジトっとした目で見られてしまった。


「……それはこちらも同じですよ」


 ごくごくと、ミルクティーを飲みながらアリサ。


「……クーデレ病じゃなくなったおかげで、思ってることをハッキリ言えるようになりました。まったく、本当に厄介な病気でしたよ。どうしてもっと早く特効薬が作られなかったんでしょうね?」


 そう。あれから僕とアリサ――そしてほみかは、それぞれの病気を治すべく病院で診察を受けて、薬をもらっていたのだった。効き目はバッチリで、半年経った今。ほみかは憑き物が落ちたように素直になったし、アリサも大分明るくなった。


 そして僕も、心の声が聞こえることはなくなった。


「まあ共感性症候群がなくったって、君を不安にさせないよう頑張るよ……今日は特にね」


「……そうしてくれないと困りますよ。透さんを正式に両親に会わせるって決まって、昨日の夜は眠れなかったんですから」


「それは僕だって一緒だ。彼女の両親にご挨拶ってだけでも緊張するのに、君のところは名家の一門だからね」


「……心配しなくてもいいですよ。二人とも、透さんのことは大層気に入ってますから。透さんが大変な粗相そそうをしでかさない限りは」


「脅さないでくれよ。僕とアリサが付き合うってことは、雪ノ宮と白輝家の結びつきも強くなるってことだ。僕の言動ひとつでね。胃に穴が開きそうってもんだよ」


「……そんなの私知らないです。元々、透さんが雪ノ宮の血縁者だと黙ってたのが悪いんじゃないですか。そもそも、結婚式場で私のキスから逃れようとするし、お母さまから迫られたのに責任を取ろうとしないし。全ては、透さんが招いた事態ですよ?」


 返す言葉もなかった。

 特に結婚式のときは、本当に大騒動だった。

 それでも僕とアリサがこうして付き合えているのは、アリサの母――クリスティーナさんの力によるものが大きい。白輝家を引っ張ってきた女性当主なだけに、会場の火消しやスタッフへの指示、来場客への口止めといった根回しを、迅速かつ確実に行ってくれた。


「……私、本当に透さんと釣り合ってるんでしょうか」


 白磁のカップを指でつつきながら、アリサがぼやいた。


「……透さんに無駄な心労ばかり押し付けてる気がします。透さん私のこと、面倒な女だって思ってませんか?」


「そんなこと、あるわけないだろ」


「……でも、私と付き合ってると、透さんもっと気苦労を負うことになりますよ? なにしろ、白輝と雪ノ宮の橋渡しのような役目になってるんですから」


「なあに。そこはもう全力で頑張るし、なるようになれだ。それに、アリサがついててくれれば百人力だしね」


「……私もです。透さんは、私を選んでくれたんですから。ほみかさん、りおんさん、あすかさん――私より魅力的な女性が沢山いるにもかかわらず、です。例えどんなことがあっても、私は透さんから離れません」


 この通り。僕とアリサは以心伝心。

 ま、どんな困難も乗り越えられるでしょ。

 困難というなら、アリサに告白したときが、一番の修羅場だった。何しろ僕は、他の三人を裏切ってしまったのだから。どうしたって、遺恨が残らないはずがない。


 僕は目を細め、座り心地のいいダイニングチェアに深くもたれかかりながら、あの日のことを追憶することにした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 更新お疲れ様です! [一言] とりあえず結果見してましたが、まぁこうなりますよねw ラブロマンスに関するエピソードを一番積んだヒロインが勝った・・・・無難な結果に落ち着いたと思います。(…
2020/07/20 05:00 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ