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僕だけに聞こえる彼女達の本音がデレデレすぎてヤバい!  作者: 寝坊助
デレ4~決着!? 最後に誰が選ばれるのかがヤバい!~
206/217

45「……だから、話しかけないでって言ってるでしょーが!」

「美味しく出来てるわねえ」


 テーブルを囲み鍋をつつきながら。

 つばめさんは自身の料理に舌鼓したつづみを打った。


「これ、『ひきずり鍋』って言うのよ。名古屋に伝わる伝統の鍋で、鶏肉を使ったすき焼きのようなものね。鶏肉を鍋の底で引きずって食べていたとか、もう一度食べたくなるほど引きずられる味とか、そういう意味で名づけられたみたいだけど。本当に延々食べていられるほど美味しいわ。ね、二人共そう思わない?」


「…………」


「…………」


 僕もほみかも、返事をしない。

 二人ともただ黙々と、具材を口にしている。

 それもそうだろう。ほみかと僕に血の繋がりがないと、判明してからまだ一日しか経っていないのである。


「スープも、いいおダシが効いてるわよね。甘辛く煮付けるのがポイントなのよ。鶏の旨味が染み出してどんどん美味しくなってくるから。ね? 透」


「…………」


 尋ねられはしたけども、僕は答えずにカマボコを口にした。つばめさんには悪いけど、今は雑談に興じてる暇はない。僕が無反応だと分かると、つばめさんは寂しげな表情をしながら、今度はほみかに話題を向けた。


「――ね、ほみかちゃん。この鶏肉ね、名古屋コーチンといって、日本三大地鶏に数えられる美味しい食材なのよ。勿論この卵も、名古屋コーチンが産んだもの。どちらも絶妙な味でしょ?」


「…………」


 朗らかに話を振るものの、ほみかも無反応。ただ粛々と鶏肉を口に運んでいるだけだ。僕がほみかにチラチラ視線を向ければ、彼女もまた僕のことを意地でも視界に入れないように目を背ける。この繰り返しだ。


「……ふう。困ったものね」


 つばめさんはお手上げ、といった様子で肩をすくめた。これでつばめさんまで黙ってしまうと、完全な沈黙だけが空間を支配してしまい、いよいよ気まずい雰囲気が流れてしまう。


「ね、ねえっ! ほみかっ」


 そうなる前に、僕はほみかに話しかけた。


「ごめん、本当にごめん――血の繋がりがないことを、秘密にしていたことは悪かった。今さら許してくれとは言わない。でも、家には帰ってきてくれないか? 母さんだって心配してるし、あすかも。りおんやアリサだって――」


「……話かけないで」


 しかし、ほみかの冷ややかな声が、僕の言葉を遮った。

 そして、心底軽蔑し切った刺々しい目つきで僕を睨むと、


「アンタがあたしに嘘ついたの、これで何度目? 今まで大事なことを、一度でもあたしに話してくれたことがあった? アンタはあたしのこと、なーんにも信用してないんでしょ? 

 そりゃそうよね。あたし達、血の繋がりのないただの他人だもん・・・・・・・・


「ほみか……」


 僕は絶句した。

 それは僕が、一番聞きたくなかった言葉だからだ。

 とにかく、今ほみかに何を言っても無駄なことは分かった。例えつばめさんがどんなにフォローを入れたとしても。やはりここは、共感性症候群の力を借りるしかない。


 僕が神経を集中させて、ほみかの心の声に耳を澄ますと……。


(ううう、中々お兄ちゃんと上手く話せないよお)


(あ、このお肉美味しい)


(もうほみかはお兄ちゃんのこと全然怒ってないのに)


(謝りたいのに、仲直りしたいのに、もう、本当にツンデレ病って邪魔! 言いたい言葉が全然出てこない! うわあああああああああああん!!)


 よかった。僕はほみかの心の声を聞いて安堵した。

 ほみかはやはり、デレ期が収まっていたのだ。そして、もう僕のことを怒っていない。それならばと、僕はほみかに向かって、


「あのね、ほみか……」


「……だから、話しかけないでって言ってるでしょーが!」


(はうううううう! またバカなこと言っちゃったあああああ! ゴメンねお兄ちゃん! ごめんねえええええええ)


 内心では僕に謝罪しながらも、表面上ではツンケンとした態度でそっぽを向くほみか。

 ……これは、困ったな。

 何というか、もやもやする。


 僕のことを許してくれてるなら、それで全て解決――と言いたい所だけど、それをほみかの口から言ってもらわないと意味がない。でもデレ期が収まってる以上、ほみかは僕にツンとした態度しか取れないし。


 共感性症候群というのは、こういう時不便だよな。相手の考えてることは全て分かるんだけど、それを活用出来るかは本人の行動にかかってる。しかも、結果としてより相手に嫌われることも珍しくない。


 いや、待てよ? 相手の心を読むだけじゃなくて、こっちから逆に自分の考えてることを伝えられないのか? つまり、念波で。


 出来るはずだ。僕は目を閉じた。


 なぜなら共感性症候群というのは、ほみかの心を知りたい、ほみかと仲良くなりたい、そんな願いから授かった能力だからだ。仮に後で弊害を生もうとも、力を行使し過ぎて倒れようともかまわない。


 僕は全神経を研ぎ澄ませた――

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― 新着の感想 ―
[良い点] 更新お疲れ様です! [一言] ・・・・・こ、これはッ・・・・。 ・・・・もしかしたら本作続編が、異能バトルものになるその布石なんだろうかッ・・・・!!!
2020/06/21 14:19 退会済み
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