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僕だけに聞こえる彼女達の本音がデレデレすぎてヤバい!  作者: 寝坊助
デレ3~主人公、まさかの離縁!? 幼馴染とクラスメートのバトルもヤバい!~
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45「ぉ兄様とも、これでぉ別れ」

「ぁたしが優しぃ? 本気で言ってるの? ぉ兄様」


 僕の言葉を聞いて、ことりの反応がこうだった。

 まあ、そうだろうな。

 僕自身、自分でたどり着いた結論には驚きを隠せなかった。


「ああ、そうだ」

 

 僕は、呆れたように聞き返すことりに答えた。


「最初にあれっと思ったのは、君が出てくるタイミングだ。考えてみれば単純だったんだけど、ことりはいつも、あすかが泣きそうな時に出てくるんだ。そのことを思い出して気づいたんだ。ひょっとしてことりはあすかを傷つけるためじゃなくて、守るために出てきたんじゃないかってね。それと、君は殺そうと思えば、いつでも僕を殺せた。なのにそれをしなかったのは、本当は僕を殺す気がなかったってことだ」


「……」


 ことりは何の返事もしなかった。

 しかし無機質に思われた瞳の奥には、わずかだが感情の揺らぎがあるように見えた。


「…………」


 そのまま無言は続く。

 雲が流れ、月を覆い隠そうかという時。

 やっとことりは、口を開いた。


「……ぁたしは、あすかのクラスメートをトイレに連れ込んで暴行したんだよ? それに、立花綾にも。それなのに、ぁたしが優しぃって言うの?」


「そのことなんだけどさ」


 僕は顔を引き締め、真剣な表情でことりに目を向けた。


「嘘をつくなよ。ことり……あすかは、クラスメート達をトイレに連れ込んだんじゃない。連れ込まれた(・・・・・・)んだ。つまり、あすかは特定の人たちから苛めにあっていた。クラスメート達が、揃って君を訴えようとしなかったのは当然なんだ。何しろ、これは正当防衛なんだから。そして、その苛めを働いた集団を影で操ってる存在がいた。それが……」


「そう、立花綾。ぉ兄様、よく調べたじゃなぃ」


 正解、とことりは表情を緩めながら言った。考えてみれば、純粋なことりの笑顔を見るのはこれが初めてか。今までは嘲笑ぐらいしか見たことなかったし。


「やるじゃなぃ。正直、ぉ兄様を見直したわ」


「ありがとう。といっても、調べたのは探偵さんで、アリサとクリスティーナさんが協力してくれたから分かったことなんだけど」


「そぉ」


 そう言うと。ことりはスーッと息を吸いながら、体を伸ばして。

 フーッと息を吐きながら、僕を見た。


「ぉ兄様の言うとぉりよ。ぁの時、あすかはぁぃつらにトイレに呼び出されたの。その時点でぁたしはあすかと交代していた。ぁぃつらは、日ごろから優等生なあすかのことが気に入らなかったみたぃ。あすかをトイレに連れ込むと、やつらは土下座するように命令してきたわ。断れば服を剥ぎ取るって……。だからぁたしは、ぁぃつらに制裁を加えてやったの。腕を脱臼したやつは、綾から直接指令を受けてた、いわば表のリーダーってわけ」


「……そういうことか」


 そこまでは、アリサがくれた情報にはなかった。

 僕が頷いていると、ことりは問いかけてきた。


「ぉ兄様。ぁたしにも教えて? どぉしてぉ兄様は、ぁたしがあすかを守ろうとしてるって思ったの? ぁたしが出てきたタイミングなんて、全部偶然かもしれなぃじゃなぃ?」


「ああ、それか」


 僕は答える前に、ポケットに手を突っ込み、中から封筒を取り出して、


「つばめさんから聞いたよ。ことりが生前あすかを苛めてた理由。それは病気を移さないためと、自分の死後あすかに悲しい思いをさせないためだって」


「中、見せなぃでよ」


「何でさ。一緒に見ようよ。君が死ぬ直前まで――いや、正確に言うと今に至るまで、ずっと大事にしてきたものだ。君に返すのが筋ってもんだ」


 ……僕は封筒の中に手を入れると。

 中から二枚の紙を取り出した。

 一枚目は、B5サイズのノート用紙だ。そこには震える字でこう書かれてあった。「お母様。あすかをよろしくお願いいたします」と。そしてもう一枚は写真だった。幼い頃の、ことりとあすか。二人仲良く並んで家の庭でピースをしている。ことりが死ぬ寸前まで大切に持っていたものだった。


「……ぉ母様ったら。誰にも見せないでって、ぁれほど言ったのに……」


 少し苦しそうに、体を震わせながら、ことりは言った。


「もぉ、時間がなぃみたぃ」


「時間がない?」


「ぉ兄様とも、これでぉ別れ」


「ことり?」


「でもね、これでぃぃの。ぁたしは既に死んでるんだから。ぃぃ節目。あすかにとっても、このほうがぃぃの」


「おい、何を言ってるんだ?」


「ぁたし、もぉあすかの体から消ぇるの」


 少しどころじゃなかった。

 顔も、肩も、体全体が。

 まるで落雷に打たれた後のように、ピクピクと痙攣している。


「ぉ兄様の言うとぉりよ。ぁたしは、あすかを守るためだけの存在。もしかしたら、ぁたしはことりではなぃのかもしれなぃ。あすかが恐怖やストレスから身を守るために、自ら作り出した人格なのかもしれなぃ。でも、そんなことはどうでもぃぃ。あすかはもう、ぁたしなんか必要なぃから。ぁたしはもぉ、あすかにとって邪魔者」


「そんな……」


「聞ぃて。最近のあすかは、本当に明るくなった。ぉ兄様と会う前は、毎日がつらそぅに、つまらなそぅにしてぃた。ぁたしがぃなぃと、感情のコントロールも出来なかったけど、今ではもぉ、一人でも十分やってぃける。それにあすかの周りには、たくさんぃぃ人がいる。優しくしてくれる人が。ぁたしみたいな亡霊がぃなくたって、あすかは大丈夫なの。だ、だ、だからっ――」


「ことり! しっかりしろ!」


「だから、ね――」


 僕がことりに駆け寄ると。

 ことりは震える手で短刀を持ち直し。


「こ、ことり……?」


「ぉ兄様。神奈月の家を捨てて、雪ノ宮の家に戻って。あすかのそばにぃてあげて。じゃなぃと、ぉ兄様を殺すわ」


 そう言うと、ことりは僕の左胸に短刀を押し当てた。

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