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僕だけに聞こえる彼女達の本音がデレデレすぎてヤバい!  作者: 寝坊助
デレ3~主人公、まさかの離縁!? 幼馴染とクラスメートのバトルもヤバい!~
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43「神奈月さん。私のことはいいから、彼女達を追って」

 僕は高速で着替えを終えると、脱衣所を後にした。

 入ってきた時にはなかった甘い匂いが室内には漂っていて、あちこちには魅力的な布地が置かれていたが。それらにはなるべく目を向けずに。


 これからどうしようか、というのは考えるまでもないことだった。ダイニングルームには、まだクリスティーナさんとあすかと立花さんがいるはずだ。彼女らに僕が風呂から上がったことを伝え、続いてお風呂に入るように言えばいい。あすかは特に、何故か僕とはお風呂に入りたくないようだし。


 そんなことを考えながら歩いていた時だった。


「なんだ?」


 突然、ガシャアアアアアァァァン! というガラスが割れるような大きな音が聞こえてきた。音がした方向は、今僕が向かおうとしてる部屋だ。


「まさか……泥棒!?」


 僕は走った。こんな山奥で泥棒なんて……とも思ったが、ありえないことではない。僕以外は全員女性だ。こんな逃げ道もろくにない場所で襲われたら、ひとたまりもない。


 僕は大急ぎで駆け込むと、ダイニングルームの扉を開けた。


「な……なんだ、これ?」


 現場の惨状を目にし、僕は声を漏らした。


 さっきまでは綺麗に置かれていたテーブルや椅子は、嵐の後みたいに散乱していた。棚は倒れ、ソファはひっくり返り、食器のいくつかは割れてそこらに飛び散っている。そんな室内の中央で倒れているのは――。


「クリスティーナさん!」


 僕はすぐさま駆け寄ると、彼女の体を抱き起こした。


「しっかりしてください、クリスティーナさん!」


 僕はクリスティーナさんの肩を揺さぶりながら、安否を確認した。しばらく声をかけ続けると、彼女は小さな呻き声と共に目を開けた。


「か、神奈月さん……?」


「よかった……目を覚ましてくれて……」


 僕は心から安堵した。と同時に激しく混乱した。


「……一体、何があったんですか?」


 僕はあらためて室内を見渡した。

 家具はほとんどメチャクチャに荒れていて、明らかに誰かが暴れたような形跡がある。それに、あすかと立花さんがいなくなっているのだ。


「あ……あ……あすか、さんが……」


「落ち着いてください。あすかがどうしたんですか?」


 僕は出来るだけゆっくりと、穏やかな声色で語りかけた。それが功を奏したのか、クリスティーナさんは幾分か冷静になって話してくれた。


「あすかさんと立花さんが二人でお話をしていて……。急にあすかさんが人が変わったようになって……。立花さんを襲って、そこの窓から……!」


 クリスティーナさんは恐怖に声を引きつらせながら、部屋の奥にあるテラス戸を指差した。僕はそこを見た。掃き出しになって、外に行き来できる大きな窓だ。かなり頑丈そうなガラスだが、真ん中が叩き割られていた。

 

 例え何か道具を持っていたとしても、かなり強い力が必要だろう。そこで僕はハッとした。もしかしたら、ことりが――。


 僕の脳裏に警報が鳴り響いた。ことりは間違いなく、立花さんを狙っている。追わなければ。しかし、僕は動けなかった。流石にこの状態のクリスティーナさんを置き去りにするのは……。


「神奈月さん。私のことはいいから、彼女達を追って」


 しかしクリスティーナさんは、僕の考えを見通したかのように言った。


「クリスティーナさん……でも――」


「私は大丈夫ですから、早く行ってください。そして、彼女(・・)を助けてあげてください」


「……!」


 僕はもう返事をしなかった。

 かわりに、猛然と窓の外へと飛び出した。

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