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僕だけに聞こえる彼女達の本音がデレデレすぎてヤバい!  作者: 寝坊助
デレ3~主人公、まさかの離縁!? 幼馴染とクラスメートのバトルもヤバい!~
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35「じゃあさ、僕と一緒にキャンプに行かない?」

 アリサが帰ったあとも、僕はまだ喫茶店にいた。

 あすかと立花さんにキャンプの件を伝えるためだ。

 僕はまずあすかから連絡することにした。

 スホマを取り出した。ディスプレイ表示された「雪ノ宮あすか」に発信をかける。するとあすかは、1コール目で電話に出た。


「もしも……「申し訳ございません、お兄様!」」


 あすかは電話に出ると開口一番そう謝罪した。おそらく、受話器の向こうでは頭をブンブン下げていることだろう。


――申し訳ありません、お兄様。わたくし、お兄様とお話している途中でまた頭がぼんやりして……また気を失ってしまったようなのです。何か、ご迷惑をおかけしておりませんでしたでしょうか?


「ああ、うん。別に何も」


 実際はことりに殺されそうになったのだが。それはことりがやったことだし、別に大した怪我にはなっていない。あすかを責めるのは筋違いというものだろう。


――そ、そうですか。よかった……。


「え? 何が?」


――てっきり、お兄様がわたくしに対してお怒りなのではないかと思いまして……。


「何で? あすかは何もしてないじゃないか」


――いえ。お兄様に対して、暴言を吐いてしまいました。


「暴言?」


――お兄様に対して、わたくし如きが『意地悪』などと失言をしてしまいました。


「ああ、そんなことか」


――そんなことではございません! わたくしにとってお兄様は、神にも等しい存在でございます! それを、わたくしのような塵芥が……。


「僕はそんな上等な人間じゃないよ。それに、そんなに自分を卑下しないで」


――そんなことはありません。お兄様はとても素晴らしいお方にございます。


 あすかは強く食い下がった。その必死な口調に僕は若干怯みながらも、


「ねえ、あすか。僕はね、嬉しかったんだよ。僕に対してあすかが、あそこまで感情をストレートにぶつけてくれたことにね。だから、気にすることはないよ」


――それは……本当でございますか?


「ああ、本当さ。僕があすかに、これまで嘘をついたことがあるかい?」


――い、いいえ……! お兄様は嘘などつきませぬ……。


 電話越しに、あすかは狼狽しきった声を出す。共感性症候群は機械を通すと発動しないため、心の声は聞こえてこないが……。

 おそらくあすかは、今心の中で自分のことを深く責めているはずだ。僕のことを殺そうとしてることりとは、全く正反対に。


 あすかとことり……もしかして、二人の関係性というのは。


――あの、お兄様? 如何されましたか?


 心配そうに尋ねるあすかの声に、思わず僕はハッとなる。


「あー、ごめん。それよりもさ、あすか。来週の土曜日って空いてる?」


――お兄様の御用とあれば、一日どころか毎日でも空けておきます。


「いや、一日でいいんだよ」


――それであれば、空いておりますが……。


「じゃあさ、僕と一緒にキャンプに行かない?」


――は? お兄様、と、キャ、キャンプでごごございますか……?


 あすかは信じられない、というような声を発した。というか、キャンプに行こうと誘っただけで、何でそんな驚かれるのか分からないが。とにかくあすかはネガティブすぎる。キャンプに行って自然や人や動物と触れ合うことによって、もう少し明るくなるのではないか。そう思っての申し出だった。


 そして理由はもう一つ。

 あのとき、確かにことりはこう言った。「立花綾には気をつけろ」と。僕には、何のことだかサッパリ分からない。だけどあすかと会わせてみれば、その謎が解けるかもしれない。


「実はね、あすか。こういうことなんだよ」


 僕はあすかに、今日の昼休みの出来事を話した。


――なるほど。そういうことでございましたか。しかし、何故立花さんが?


「彼女、あすかと仲良くしたいみたいだけど。あすかは嫌?」


――嫌ではありませんけれども、わたくしは別に……。お兄様さえおられるなら、それだけで十分でございます。


「それだよ、それ。あすかのその『お兄様さえいれば』っていう考え。そういうのを僕は治したいのさ」


――と、言いますと?


「要するに、僕だけじゃなくて友達と一緒に、もっと広い世界を見てほしいってことさ」


――それが、お兄様のお気持ちでございますか?


「そう。立花さんだけじゃなくて、ほみかとも、りおんとも、アリサとも。僕はあすかに、みんなと仲良くしてほしいんだ」


――そういうことでございますか。しかし、わたくしは……。


「ダメ?」


――い、いいえ。駄目ではありません。お心遣い、感謝いたします。


「ううん。細かいスケジュールが決まったら、また連絡するね。じゃあ――」


――かしこまりました。本日はお誘い頂き、誠にありがとうございました。来週の土曜日を、楽しみにお待ちしております。


 あすかが堅苦しく挨拶すると、僕は通話を終えた。


「さて、と。次は……」


 僕は一息つくと、ラインアプリを起動させた。

 設定画面を表示し、友達リストを開く。


 メッセージを送るのはもちろん、立花綾だ。

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