31「もう二人、加えてほしい人がいるんだけど……」
「ほんと!? アリサちゃん!」
りおんが喜びの声を上げながら、アリサの手を握り締め、ブンブンと振った。
嵐に揺れる木の枝のように体を振り回されながら、アリサは答える。
「……ええ、本当です。白輝家が所有する高原の別荘なんですけどね。湖が近いので泳ぐことも出来ますし、森林の美しい景色を眺めることもできます。保護者は、お母さまにお任せします。皆さん、それでいかがでしょうか?」
「もちろん! お願いするよっ!」
「さっすがアリサさん! バカ兄貴とは比べ物にならないほど有能ね!」
「本当にありがとう。恩に着るよ、アリサ」
りおん、ほみか、僕とそれぞれが、アリサを囲んで礼を述べる。
「……別に、そんな大したことじゃないですけど……」
アリサは白い頬を赤らめ、少し照れた様子で、
「……ではこの件は、私の方からお母さまにお話しておきます。お母さまにも都合がありますし。念のため、皆さんは今週の週末は空けておいてください。スケジュールが決まり次第、私の方からお伝えしますので」
そう言って、アリサは群がる僕らを綺麗にまとめた。かつては『氷の女王』と呼ばれるくらいクールだったアリサが、ここまで積極的にイベントに参加してくれるとは。一番の親友としては、感慨深くなるばかりだった。
「……必要な物については、こちらで出来る限り用意させて頂きますけど。皆さんの方から、何かリクエストはありますか? あったら、早めに言って下さいね」
「……あ、じゃあさ……」
アリサ、りおん、ほみかとみんなが僕に目を向けてきて、ちょっと気まずいけど。僕は発言することにした。
「もう二人、加えてほしい人がいるんだけど……」
「えー。このメンバーだけいいじゃない」
「ちょっとバカ兄貴! それは流石に図々しいってものよ!」
りおん、ほみかから、非難の声が上がる。
まあ確かに、僕が企画したものでもなければ、お金を出すわけでもない。ほみかの言うとおり、図々しいにも程がある。
だけど、僕には頼み込むことしか出来なかった。
「頼むよ、アリサ。あと二人。何としても参加させたい人がいるんだ」
「……女の、人ですか?」
(……女の人ならダメですよ。本当だったら、私と透さんだけで行きたいくらいなのに。ほみかさんやりおんさんはともかく、どこの馬の骨とも分からないような人ならお断りします)
「いやいや、女の人といってもさ」
僕は慌てて弁明する。
「一人はあすかだよ。雪ノ宮あすか。結婚式場にもいたでしょ? 彼女は僕の親戚だし、アリサとも面識ありそうだったし。大丈夫かなと思ったんだけど」
「……ああ、彼女ですか。ええ、何度か社交界でお会いしたことがあります。分かりました。雪ノ宮さんなら、何の問題もありませんよ」
「そっか。ありがとう。よかったよ」
「……あの、それで、もう一人というのは……?」
「ああ、それなんだけどさ」
僕は一拍間を置いて。
ここ数日悩んだ問題の打開策を提案する。
「あすかのクラスメートで、立花綾って子なんだ。彼女、色々と事情があってあすかと仲良くしたいみたいだからさ。何とか、参加させてあげられないかな?」




