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僕だけに聞こえる彼女達の本音がデレデレすぎてヤバい!  作者: 寝坊助
デレ3~主人公、まさかの離縁!? 幼馴染とクラスメートのバトルもヤバい!~
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17「もう雪ノ宮さんとは関わらない方がいいですよ」

「暴力……事件?」


 僕は、思わず聞き返していた。


「あの、あすかが?」


「はい。これはあくまで噂なんですけど。でもほとんど間違いないそうです」


 立花さんは身を乗り出し、声を潜め、いかにも内緒話をしますよといった風に説明を続けた。


「私も、最初この話を聞いた時は到底信じられなかったんです。雪ノ宮さんってミステリアスですけど凄く聡明なイメージがあったから」


「でも実際に、何らかの事件が起こったんだよね。そして、その事件を君は知っている」


「えっと……」


 立花さんは周りをキョロキョロと見渡した。

 そして、誰もいないことを確認すると、


「その前に、この話は内密にお願いできますか? 特に私から聞いたとは、絶対雪ノ宮さんには話さないでほしいんですけど」


「うん、約束するよ」


「じゃあ話します。あれは、半年ほど前のことでした。雪ノ宮さんはクラスメートの男女数人を、トイレに連れ込んで暴行を加えたらしいんです。以前から、雪ノ宮さんには悪い噂があったんです。その……普段は大人しくて真面目な人なんですけど、急に人が変わったようになるって。そして、自分が気に入らない生徒を見つけては、裏で苛めてるって。そんな噂が」


 ことりだ。僕は即座に立花さんの話を理解した。彼女があすかに入れ替わって悪さをしているのだ。僕もことりには散々酷い目に合わされてきたけど、まさか学校でもそんなことをしてるとは。あすかに「気にすることはない」と、自分でもよく言えたもんだ。


「そんなような悪い噂があったものですから。暴行を受けたグループっていうのは、雪ノ宮さんの陰口を言ってたらしいんですね。それが、雪ノ宮さんには気に入らなかったのかもしれません。トイレにそのグループを呼び出して、制裁を加えたようなんです。あとから先生が発見した時には、全員床に倒れていました。腕を脱臼した生徒もいたんです。そして、倒れてる生徒達の真ん中に無傷の雪ノ宮さんがボーッと立って、ニタニタと笑っていたそうです」


 立花さんは体の震えを抑えるように、両腕で自らの体を抱いた。


「その生徒達は、口を揃えて『足を滑らせて床に転んだ』と証言しているようです。勿論そんなはずないことは分かってるんですけど、本人たちが何も言わない以上は、何も追求は出来ません。でも、ほら。彼女の家、雪ノ宮じゃないですか? 家の権力と財力で騒動をもみ消したって噂されてるんです」


「そういうことか……」


 僕は立花さんの言葉に頷いた。確かに雪ノ宮といえば、この町を代表する名家だ。雪ノ宮の名前を出せば、警察すら黙らせられる、というのは言いすぎだが。学校内の揉め事くらいだったら、簡単に処理することが出来るだろう。


「ちなみに腕を脱臼した生徒は復学してますけど、今でも雪ノ宮さんとは目も合わせられないそうです」


「まあ、そうだろうね」


 僕は脱臼というものを経験したことはないが、骨折と脱臼だったら、脱臼の方が遥かに痛いらしい。何しろ、あまりの痛みに気絶する人もいるそうだから。


「それ以来、雪ノ宮さんの周りには、誰も近づかなくなったんです。陰口さえ叩かなくなりました。関わったら何をされるか分からないですからね。雪ノ宮さんがクラスで孤立しているのには、そういう理由があるんです」


 孤立、か。知らなかった。今あすかがそんな大変な状況にいたなんて。 

 確かに、僕から見てもあすかは陰りがあるというか、どこか寂しげな印象がある。しかし学校に行けば仲間はずれのような目にあっているのだから、それも当然といえば当然だったのだ。


――家や学校にいると、誰もがわたくしに対して遠慮をしたり、持ち上げようとしてきます。しかし、ここなら誰もわたくしのことなど気に留めようともしません。


 先程あすかに言われた言葉が、脳裏をよぎる。

 

「……あの、大丈夫ですか?」


 立花さんが、気遣わしげな目線を送ってきた。


「うん、大丈夫」


 本当は大丈夫ではなかったが、


「それよりもさ」


 僕は話を進めることにした。


「君はそのことを伝えて、僕に何が言いたいの?」


「そうですよね……いきなりこんなこと言われても、ビックリしちゃいますよね」


 立花さんは真剣な表情で僕を見据えた。


「私から言いたいことは、たった一つです。悪いことは言いませんから、もう雪ノ宮さんとは関わらない方がいいですよ」

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