表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕だけに聞こえる彼女達の本音がデレデレすぎてヤバい!  作者: 寝坊助
デレ3~主人公、まさかの離縁!? 幼馴染とクラスメートのバトルもヤバい!~
115/217

7「りおん。引き分けでいいね?」

「ん……うん……」


 と、りおんは苦しげに喘ぎ声を漏らした。

 ここは保健室、時刻は夕方五時過ぎ。当然ながら、六時限目の授業は抜け出して、僕とほみかでりおんの看病をしていたのだった。流石にほみかはもう帰らせたけど。


「おっ、りおん。目が覚めたか?」


「ん~? ん~……」


 僕は椅子から身を乗り出して呼びかけるけど、りおんは反応こそすれ、布団から起き上がってはこなかった。


「困ったな。でもまあ、命に別状はなくなったようだし。あとは先生に任せて、僕も帰ろうかな?」


「う……うう……」


「ああ、ここで起きてくれたら。僕がキスしてあげてもいいんだけどなあ」


 僕がそう呟くと、


「ほんと!? 透ちゃん!!」


 りおんは、ビックリするくらいのスピードで覚醒し、ガバッと布団を蹴飛ばし跳ね起きた。さっきまで死の淵を渡り歩いていたっていうのに、この現金さは呆れるというより逆に感心してしまう。


「あれ? 透ちゃん……キスは?」


「その前に。りおん、ここがどこだか分かるかい?」


「ふえ?」

 

 きょろきょろ。

 きょろり。


 りおんは室内を隅々まで見渡すと、最後に視線を僕へと戻した。


「あれえ? ここ、保健室? ……てことは」


 声のトーンが徐々に落ちていった。おそらく、現状を理解したのだろう。アリサさんとの水泳対決の途中で溺れて、意識を失ったってことに。つまり――


「そっか……わたし、溺れたのを透ちゃんに助けてもらって。負けたんだね」


「……それは」


「無理しなくていいよ。あれは、どう考えてもわたしの負け。勝負の前に、わたしも白輝さんみたいにストレッチしとけばよかったね」


「…………」


 落ち込むりおんに、僕はかける言葉が見つからなかった。

 そのとおりだ、と言ってしまえばそれまでだけど、りおんはりおんなりに、真剣に僕のことを思ってアリサさんに勝負を申し込んだんだ。


「ふふ。自分から自信まんまんに勝負を持ちかけたのに、わたしったらバカみたい。白輝さんなら余裕で勝てるって油断して、挙句の果てに透ちゃんにまで迷惑かけるなんて。ほんとサイテーだよね」


「りおん……」


「うん、負けは負けだからね。条件を反故にするのはよくないし。残念だけど、約束どおり透ちゃんには今後一切――」


「ちょっと待って」


 自嘲気味に呟くりおんの言葉を、僕は途中で遮った。だって、明るい言い方とは逆に、りおんは泣きそうな表情をしてたから。

 りおんには、そんな顔をさせたくないから。


「勝負はナシだ。引き分けだよ」


「……えっ?」


「もう一回言うよ。この勝負は引き分けだ」


「えっと、でも、わたしは、その」


「途中で終わったんだから、イーブン。何か文句ある?」


「も……文句とかじゃなくて!」


「言っておくけど、これはアリサさんも了承してるんだ。勝負は、次に持ち越しだってね。相手も受け入れてる上に、僕を審判に指名したのは君だよ? 審判の言うことに逆らうのかい?」


「う……うう」


「りおん。引き分けでいいね?」


「う、うん。分かったよ! ありがとう、透ちゃん」


 霧が晴れたようにパアッと輝く笑顔で、僕に礼を述べるりおん。

 まあ、僕もどこをどう考えてもアリサさんの勝ちだとは思うけど。これだけボロボロになるまで戦ったんだから、引き分けにしたっていいだろう。

 

 それに、この眩しい笑顔を見れなくなるのは、ちょっと困るからね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ