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66 トゥスの元へ

 やっとまともな服を着たキューラ。

 彼は服に耐火の加工が出来ないか店員に問う、すると値段次第では出来るとの事だ。

 キューラは少しでも安くしてもらう為トゥスに精霊石を作ってもらう事にしたのだが?

 城へと戻った俺達は早速ではあるが、トゥスさんの元にお願いに向かった。


「お願い聞いてもらえるでしょうか?」

「聞いてもらいたいもんだけどな……」


 トゥスさんは良い人だ。

 本当に必要な物であれば首を縦に振ってくれるはずだ。

 しかし、今現在使えない物であるのは分かりきっている。

 でも、ちゃんと説明をすれば彼女も分かってくれるはずだ!
















「駄目に決まってるだろ?」

「「………………はい?」」


 俺とクリエは同時の同じ言葉を発した。

 トゥスさんの部屋に着いて、すぐに話を切り出したのは良い。

 そして、彼女はちゃんと話を最後まで聞いてくれた。


「え、っと……だから、いずれは使えるようにする。その時の為に今からそう言った防具をだな」

「必要あるのかい? 第一あんな魔法使いこなせるのは一人ぐらいだよ!」


 一人? その一人が誰なのかは分からない。

 いや、もしかしてあの魔族の事か? だとしたら……実際にあいつに会えれば……

 無理か……今、実際に生きているのかも分からないんだ。


「その一人って一体誰なんですか?」

「…………」


 クリエの何気ない質問にトゥスさんは黙り込む。

 そして、その瞳を俺へと向けてきた。

 勿論俺ってわけではないだろう……使えないと注意されてたんだしな。


「魔王の息子……お嬢ちゃんが何処からか覚えてきたそれはソイツしか使えなかったものさ」


 魔王の……息子?

 確か、魔王との戦いの時に神大陸に居る女性に惚れて勇者に寝返ったって言う人だ。


「でも、その魔法をキューラちゃんは使ったんですよね? じゃぁキューラちゃんはその子孫って事ですか?」

「いや、そんな話聞いた事無い。子供は居たはずだが今は何処に居るのかも分からないさ」


 もし、そうだったら、何らかの話があってもおかしくはない。

 俺が混血である以上、魔族と関わりが無いと言う事はないが……それが魔王の息子その人だとは限らないはずだ。


「あの魔法魔法自体は魔族なら発動させることは出来る……だが、過去何人もそれを使おうとして失敗し焼け死んだ。だからその魔法は禁術となり、魔法自体が忘れ去られた」

「忘れさられた……?」


 禁術になって忘れ去られたってどいうことだ? じゃぁ、あの夢の人物は……魔王の息子だって言うのか?

 そうじゃないとあいつが言った使いこなせてみせろと言う言葉が……

 いや、自分には使いこなせなかったから使いこなせてみせろとでも言ったのだろうか? それとも使いこなせないと思われている?

 だけど、アイツは俺に力をくれたのは間違いない。


「その禁術をどうやってお嬢ちゃんが知ったのかは……確か、幻が見えたとか言ってたっけ?」

「あ、ああ……」


 ん? でもそうするとおかしいと思うんだが……


「なぁ、トゥスさんは何でそれを知ってるんだ?」

「そうです! 禁術なのは分かりましたけど、それはいまでは誰も知ることの無い魔法なんですよね?」


 クリエの言葉に黙り込んだ彼女は煙草を咥える。


「フレイム」


 恐らく火を求めるだろう、そう思い俺は火をつけてあげると彼女は満足そうな顔を浮かべ、ゆっくりと紫煙を吐いた。


「今、禁術を知っているのはアタシだけだ。今まで……つい先日まではそう思っていた……」

「何でそれを知っているんだって聞いたんだが……」

「別にいいだろ? アタシが使える訳じゃないんだ。只お嬢ちゃんがその力を求めるのは正しい」


 ん? 正しい……って?


「それは魔王の息子アウク・フィアランスが次の勇者を守る為に作り出した魔法だ。そして、その魔法は最も多くの同族の命を奪った。男の身でありながら古代魔法の天才と呼ばれたアウク自身しか使いこなせなかった魔法だ」


 使いこなす、か……

 やっぱり、あいつは……って次の勇者? それにアウク・フィアランスって!


「家の学校の創設者が魔王の息子だってのか!? そんな話聞いた事も――」

「そりゃそうだろ? フィアランスは人間の家名だ」


 チェルの家の事だよな? じゃぁ、フィアランスって名乗っている理由でもあるのか?


「名前はともかく、一般的には勇者……今代はクリエお嬢ちゃんが命を落とす番だ。だが、アウクは親友だった勇者の最後を見て納得がいかなかった……だからこそ、力を求めた」


 なんだ? なんかトゥスさんの語り方が気になる。


「奴は仲間を今一度集め、誓いを立てた、子が子孫が勇者を守る4本の槍となる為の力を得ようと、そして集められた3人はその誓いに賛同した」


 彼女(トゥスさん)は勇者の仲間だった者の子孫、王はそう言っていた。

 だが――何かが引っ掛かる。


「一人はドワーフの錬金術師、だがその力が役に立たぬことを恥じ、誰にも負けない武器を作る事を誓った。一人は人間、古代魔法よりも攻撃手段としては劣る神聖魔法、そのもっとも正しい使い道として子孫に治癒を極めさせた」


 ドワーフは分からないが、恐らく神聖魔法使いはチェルの先祖ってことか……


「一人はエルフ、その弓の腕は狙った獲物を逃さない程だったが、魔王に対し何も出来なかった。彼は――新たな手段を求め」

「それが銃って事か……」


 俺が割って入ると彼女は頷き――


「そして、勇者が現れる旅、彼らの命を刈り取ろうとするものを暗殺して回った……恐らく一番狂ったのはエルフだろうね」

「そんな……」


 クリエは悲しそうな顔を浮かべたが仕方がないだろう……時代が違えば彼女の為に他の誰かが狂っていたのかもしれない。

 それは俺かもしれないしな。


「そして最後にさっき言った通り魔族はその魔法を作り、失敗した……志を共にする者を……何人も何人もその魔法を得ようとし焼け死んだんだ」

「…………」


 何故だろうか? 彼女の言葉には重みがある。

 まるでそれを見て来たんじゃないか? と言ったようなそんな感じがした。


「良いかい? その力は確かに使いこなせればどんな魔法よりも強い、だが……その身を滅ぼす。確かに今までその魔法を得ようとした者とお嬢ちゃんは違う、だけど無理だ。手を出さない方が良い」


 俺と過去の日とは違う……はっきり言うんだな。

 ああ、そうか……これはやっぱり聞いた話じゃなくてトゥスさんは――


「それを実際に見たのか……」

「……………………ああ、見て来た。失敗するたびに同胞が死ぬたびにアウクは自身を責めていた。そして奴は墓の前で自殺した」


 そうか、じゃぁ夢に出てきたあの墓はその人達の……そしてあの人は……

 アウク・フィアランスなのか……

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