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328 村へと

 俺達は村へと向け急ぐ。

 馬車も無く、徒歩での旅だ。

 どうやってもあと一日はかかるだろう。

 それに急ぐと言っても早足や走っていく訳にはいかない。

 体力の浪費に繋がってしまうからだ。


 冒険者はいざという時の体力は残しておく……。

 その為、いくら急ぐ旅でも走って次の町村へなんて事はしないだろう。

 そりゃ、確かに近づいた時は思わず走ってしまう事はあるが……。


「それで、後どの位だ?」


 俺はカインにそう言われ地図を取り出す。

 方位を合わ、近くに流れている大きな川を目印にした。


「……このままの速度なら、明日には着く」


 俺はそう言いつつ内心は焦っていた。

 あのゴブリン達は大丈夫だろうか?

 スクルドを襲っていたりしないだろうか?

 どんどんと膨らむ不安。

 だが、それをどうこうする事は出来ない。

 武器さえあれば皆戦えるだろうが……。


「はぁ……」


 そんな俺の様子を見て大きく溜息をついたのはトゥスさんだ。

 冷静になれと言いたいのだろう、半眼で睨まれてしまった。


「…………」


 俺は大きく深呼吸をし、地図をしまう。

 するとファリスは俺の服の裾を握って来た。

 同時にクリエもだ……。


「二人共、どうしたんだ?」


 クリエは多分ファリスの真似をしているのかもしれない。

 だが、ファリスは?

 そう言えばファリスはゴブリン達と暮らしていた。

 彼女を守る為、ゴブリン達は食料を獲って来ていたりしたんだよな。


「あいつらとは違う、ゴブリンじゃない」


 俺の考えを見透かしたようにファリスはそう言った。


「ゴブリンじゃない?」


 彼女は頷き答える。


「ゴブリンは大人しい毒も使わない、安全で人が来ると逃げていく……だけど、仲間を大切に思う」


 それは俺が知ってるゴブリンだ。

 だけど、あいつらは確かにゴブリンだ……少し見た目が違ったような気もしたが……。


「あいつらは見捨てた」


 見捨てた? まさか仲間を見捨てたとでもいうのだろうか?

 だとしたら、一気にゴブリンだという線は薄くなる。

 ゴブリンは仲間思いだ。

 見捨てる何事はしない……。


「でも、実際襲われたじゃないかい、見た目だってゴブリンの様だった」

「………………」


 トゥスさんの言葉にファリスは黙り込む。

 そして、悲しそうな表情を浮かべた。

 彼女自身、あの魔物の見た目がゴブリンだと思っているのだろう。

 それにしても、一体なんなんだ?


「……まぁ、あれは普通じゃないってのは分かるよ」


 トゥスさんは溜息をつきながらそう言った。

 でも確かに、ゴブリンではないだろう何故ならファリスは襲われていなかった。

 ゴブリンが女の子を襲うならファリスも例外じゃなかったはずだ。

 そう思ったが、聞くのは良くないと思い黙っていると……。


「ゴブリンは人を襲わない」

「……そ、そうだよな」


 俺の視線に気が付いただからだろうか? それとも俺が考えている事を分かってしまったからだろうか?

 彼女は少し睨んできた……絶対意味が分かってるよな……。

 とにかく、俺達が今回相手にするのは変なゴブリンだ。

 このままでは人が危ないって事は変わりがない。

 ならどうするか?

 方法は一つしかないよな……。


「急ぐぞ!」


 とにかく俺達は村へと急ぐ。

 そして……武器を集めるか依頼を出すかのどちらかだ。







 それからなるべく急ぎ、俺達は村へと着いた。

 そこで見た光景は……。


「男ばっかりだな?」


 そう、そこには男性ばかりが目立つ村だった。


「ようこそ! どうした?」


 嫌な予感がする。

 そう思って、俺は立ち止まった。


「なぁ……」


 隣に居たトゥスさんに声をかけると、彼女は俺が言いたい内容を察したのだろう。


「恐らく隠してるか、襲われたかのどちらかだろうね、奴らの笑顔も胡散臭い」

「だよ、な……」


 ようこそと言った男を見て俺は呟いた。

 笑顔が怪しいのだ。

 何処か引きつっているというか張り付いているというか、とにかく見ていて不快感を感じるぐらいには嘘くさい。


「どうぞどうぞ! 良くいらっしゃった」


 ああ、いやな予感しかしない。

 恐らくは俺達も慰み物としてゴブリンに捧げるとかそんな所だろう。

 なら、先手を打つか……。


「この近くにゴブリンの巣があった。敵意を持っていて危険だ。街に依頼を出せる場所か退治用の武器が欲しい、それと村長は居るか? 現状を聞きたいんだ」


 俺がそう言うと彼はその表情をあからさまに変える。


「依頼はともかく、退治するって……お、お嬢ちゃん達がかい!?」


 そう言って俺達を見回したった一人の男であるカインへと目を向ける。


「いや、危険すぎる!」

「何が危険だい? 今まで何かしようと企んでいたんだろう?」


 トゥスさんが言わなくてもいいことをおっしゃられているが、彼はその所為で固まってしまった。

 全く、余計な事を……。

 俺は溜息をついて彼女を見る。

 しかし、彼女は知らんぷりだ……。


「とにかく村長の所へ案内を頼む」


 再び大きなため息をついた俺は村人へそう頼むのだった。

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― 新着の感想 ―
[一言] あからさまに怪しい村(゜ω゜)
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