311 対策
突然変異でまずい水を作るスライム。
居るとは断言できないが、考えられない事もないし、もしそんなのが居たら駆除をしないといけない。
かと言ってスライムが水の中に居たら見つけるのは困難だ。
「もし、水をまずくするスライムが居るとしたら……どうやって見つけた物か……」
俺が困っているとカインは首を傾げ……。
「林檎でも川に流したらどうだ?」
「は……?」
何故林檎? と思う俺に対し彼は――。
「スライムは林檎が好物なんだろ? なら、匂いが無い水の所まで行って林檎を流す、消えた所がスライムのいる場所だ」
いや、まぁ……好物と言えば好物だが。
「あのな、いくらなんでもすぐに消える訳じゃないぞ? スライムは徐々に溶かして食べるんだ」
そりゃ、分かりやすいように歯型でもつけば良いんだが、それは無理だしな。
だが、確かに林檎は使えるかもしれない……。
釣りの要領でスライムをおびき寄せるとかはどうだろうか?
いや、駄目だ……糸程度だったいくらスライムでも……。
「ねぇ? 水の色は綺麗なんだから色が染まる様にしたらどうかな?」
「色?」
俺は首を傾げるとチェルは頷く……。
「動物とかに害があったら大変だから、毒の無い草とか果物とかで色を付けるの、そうすればスライムが居るとしたら綺麗になるんじゃないかな?」
そうか! 確かにそうだ。
水の色は綺麗なまま。
「でも、色を綺麗出来るのか?」
「これだけ透明なんだよ? いるんだとしたら、それぐらいは出来るんじゃないかな?」
そう、だな……確かにほかに良い案もないし彼女の案は使えるかもしれない。
俺は頷き、すぐにバルへと目を向けた。
「できそうか?」
「食料は流石に使えませんが、薬師などに頼んで薬草などで色を付ける事は可能のはずです」
彼の言う通りだな、食材は使えないがそれでも出来そうだ。
そんな事を考えているとチェルは言葉を付け足した。
「あ、食べ物を使うなら流石に食べる所じゃなくて皮とかだよ? それでも色は出るはずだし、どこかの地域ではそうやって服の色を作ってるって聞いた事があるよ」
ああ、そう言えばそんな方法があったな。
俺も遠い昔にやった覚えがある。
ナスの皮とかを使って色を作るんだよな。
「尚更できそうだな、なら帰って準備をしよう」
俺はそう言うと兵士達に期間の命令を告げた。
すると彼らはくるりと後ろを向く。
俺達は彼らの前へと移動をし、スクルドへと向けて歩き始めたのだった。
しかし、まさか水の確保を……出来ればスライムもと思っていたが、こんな事になるとは思わなかった。
だが、今のうちに気が付けて良かったかもしれない。
食料はまだある。
水もまだ間に合う、現状だからこそ落ち着いて対処が出来る。
もし、そうじゃなかったらと思うとぞっとした。
「ですが、水は結局どうするのですか?」
「あ、ああ……現状ではスライムは何処か別の所で連れて来るしかないな」
そっちの方も調べないといけない。
だが、聖女よりは簡単だろう……何故ならスライムだ。
もし、襲われたというのなら情報をしっかりと流し被害に遭わないようにするだろうからな。
街へと戻った俺達はすぐに薬師に色を付ける薬の作成を頼んだ。
材料はチェルが知っているとの事で彼女に任せることにした。
それはそれで良いとして……問題は山積みだ。
結局、食料も水も解決とは言えない。
聖女の情報もまだ入ってきていない。
焦っては駄目だ……とは思うものの……。
「やっぱり自分の足で動くのも必要だな」
と俺は呟いた。
そうじゃなきゃ今回も河があんなにまずい水だとは気が付かなかった。
「あのまま水を引いていたら、作物が出来ても美味しいとは思えないな」
俺は部屋の中で引きつった笑みを浮かべる。
すると、部屋へと誰かが入って来た。
「ん?」
側近? であるフリンならノックをしてくるはずだ。
ファリスやクリエならノックはないだろうが……。
「誰だ?」
俺は来客者に対し振り向きながら答える。
そこに居たのは……。
「誰だ?」
俺の知らない人物だった。
恐らくは性別は男だろう、だろうと言ったのはフードを被っていて顔が見えないからだ。
身体の線も消えている。
もしかしたらトゥスさんか? とも思ったが、彼女なら何かしら言ってくるはずだ。
無言のままそこに立っている訳がない。
「…………」
彼は俺の質問には一切答える事無く、懐に手を入れると銀色に光る物を取り出した。
ナイフだ! そう気が付くまでに時間はいらなかった。
俺は慌ててその場から飛びのき、後ろへと下がる。
「暗殺者って訳か……街のやつか?」
俺はもう一度問う。
この街の中には俺の事を良く思わない人は居るだろう。
例えば俺さえいなければノルンは死ななかったとかの理由でだ……。
当然暗殺をしようと考える奴もいておかしくない。
俺はそう思ってはいたが……。
まさか、こんなに早く襲われるとは思わなかったな。




