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272 孤児院を守るために

 孤児院へとたどり着いたキューラたち。

 チェルとの再会を喜ぶ暇もなく、盗賊たちがそこへと襲撃をしてきた。

 キューラはファリスたちの手を借りず一人で戦いを始めてしまうのだが……。

 上手く隙を作りもう一人、倒しただが、もう体力が限界だ。

 息が切れてるのがばれないようにという風に出来たら幸いだが、そんな器用な事は出来ない。

 事実盗賊は俺が疲れている事に気が付いて、笑みを浮かべた。

 まずいな……。

 俺には一人で無双が出来ない……なんて事にはならないさ。


「今だあのガキをとっ捕まえろ!! あれだけの力で一人で戦い始めたってことは他に頼りになるやつが居ねぇ!!」


 やるなら今だと指示を出す盗賊……そう、これが狙いでもある。

 一つ目は俺を強力な敵と見せる事。

 二つ目は俺が居なければ大丈夫だと思わせる事……。


「ファリス!!」


 そして、それが大きな間違いであると気が付いた時にはもう遅い。


「――あははは!!」


 鎌を構えた少女は俺へと向かって来た盗賊を切り伏せる。

 殺すなとは言ってるから、胴体を真っ二つなんて事は無いが……腕が軽く吹き飛んだぞ?

 腕が切断された男は白目をむいてぶくぶくと泡を吹きながら倒れている。

 大丈夫だろうか? 不安には思うが盗賊を構ってやるほど俺は優しくない。

 今優先するのはチェルたちの安全だ。


「こ、このガキいった――ギャァァァアアアア!?」


 っと思ったんだが……。


「う、うわぁ……」


 ファリスは笑みを浮かべ笑い声を発しながら盗賊を倒していく……。 

 もしまだ敵だったら……なんて事を考えると寒気がするが、幸い今は仲間だ。

 俺はただ、敵が倒れていくのを眺めている。

 俺が苦労して倒した3人なんて嘘の様に倒れ……どんどんと数を減らしていく盗賊。

 やがて、盗賊が本当にヤバいのがファリスだと気が付いたが……その時はもう遅かった。


「あはっ!」


 天使のような可愛らしい笑みの中に身をひそめた悪魔はしっかりと俺達の敵を見据えている。


「あ、あああ!? なん、なにが……」


 誰もが可愛いと思うだろう少女が実は俺よりも強い、なんて誰が思うだろうか?

 そして、そんな少女に一つの盗賊団が壊滅に追いやられるなんて想像できるだろうか?

 いや、出来ない……だが、彼らは俺が強いと判断した時に俺よりも強い奴が居ると考えるべきだった。

 いや、考えたのかもしれない、だがそれは恐らくカインの事だろう……。

 それとも考えられなかったのかもしれないな。

 何故なら俺が兵の動きを制した……つまり、この一行の中で俺が頭だと思ったはずだ。

 だが、力が無くとも脳があり、信用……信頼を勝ち取れれば頭になる事は出来る。

 彼らはそんな簡単な事も見落としてしまい。

 負けたのだ。

 そして、俺達は……。


「や、止めてくれ……死にたくない、頼む死にたくない」

「殺さない、それが約束だから……キューラお姉ちゃんとの約束は……守らなきゃ……」


 ファリスの活躍により、この場を……孤児院を守ることが出来た。

 だが……なんというか……うん、子供には見せたくない場面だな。


「ひ!? ひぃぃぃ!!」


 仲間達を置いて行き盗賊はその場から去って行く……何度も転びながら走る、その後ろ姿は酷く滑稽だ。

 しかし……これで目的は果たした。


「ありがとうな、ファリス」


 俺は彼女の頭をなでてやると先ほどまでの表情は何処に行ったのか、気持ちよさそうに目を細めている。

 なんというか……本当に仲間で良かったな。

 もし、あの敵意が再び俺に向けられていたら……多分、動けない。

 そんな事を考えつつ、俺はチェル達の元へと向かう。

 すると彼女は呆けた顔をしており……カインは何をしているかと思えば、固まっている彼女を前におろおろとしていた。


「何してんだ」

「いや、急にチェルが固まってな!」


 いや、そりゃそうだろうよ……子供があんなことを――。


「キュ……」


 そこまで頭に浮かんだところで俺はまずいと思った。

 何故なら俺はその子供に戦う様に告げたからだ。

 魔物であるライムやレムスならきっとチェルもなんとも思わないだろう。

 だが、いくら強いと言ってもファリスは子供。


「キューラちゃん!?」

「っ」


 怒られる、そう思い思わず身を縮こませてしまうと……。


「何で危険な事をするの!! 1人で戦うなんて! 最初からファリスちゃんと!!」

「ええ……」


 俺はファリスの事で怒られると思ったのに……そう言えばチェルは助けに来てくれる時にファリスを知ってたのか。

 なら、彼女が強い事は分かっていたはずだ。

 とは言っても、俺が怒られるのは変わらないようで……。


「カイン君も! 何でキューラちゃん一人を戦わせるの!?」

「いや、だってキューラが……」

「言い訳はしない!」

「はい」


 どうやらカインもチェルには敵わない様だ。

 彼女の怒鳴り声に反応し、身を縮こませた。

 そして、二人共大人しく怒られることになり……。


「大人が怒られてる」

「チェルお姉ちゃんを怒らせたー!」


 子供達に指をさされる結果になった。

 しかし、子供よ……俺は一応まだ子供で通ると思うぞ?

 いや、精神的な年齢で言うのなら違うけどな……。

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