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261 偽勇者の解放

 トロール退治の作戦を立てるキューラ。

 腕の立つ男性が必要だ。

 しかし、町にそんな男性は少ないらしい。

 キューラは偽勇者に手を貸してもらうことを考えるが、はたして……。

 作戦を立てた俺達は早速ではあるが勇者……じゃなかった。

 あの男が捕まっている牢へと足を踏み入れる。

 彼は俺達に気が付くとこっちを睨み。


「な、なんの用だ!! 僕は僕は絶対に奇跡なんて使ってやらないぞ!!」


 叫ぶ。

 悲鳴のような声……そう思えた。


「女だ! 処女を寄越せよ! それもとびっきりのそれだったら考えてやってもいい!!」


 そして、最低だな……。

 何がこいつをここまで狂わせたのか分かるとはいえ、狂い方が尋常じゃない。

 まるで性欲そのままを人にしたような奴だ。


「勇者殿、やはり……こいつを外に出すのは危険だ」

「なら、お前の大事な騎士を犠牲にするか? それ駄目だろ?」


 俺の言葉にノルンは反論できないのだろう。

 ぐぅっと唸り声をあげる。


「それは……あの子……あの者が犠牲になるのだけは絶対に駄目だ」


 そして、そう言い切るとどこか顔が赤い気がしたが、恐らく灯の所為だろう。


「勇者? お前が勇者? ふざけてる! 何だよ、なんなんだよこの世界は! 勝手に勇者だの世界を救えだの、嫌だって言ったらあいつらを殺した。それでも嫌だと言ったら今度は処刑だのなんだの!」


 まぁ、言わん事は分かる。

 だが……。


「例え、その運命を背負っても人のために戦おうとした奴が居るから……この世界は保ってる」

「だからなんだ! 僕も勇者だからそうしろってか!!」


 俺は思わずため息が出た。

 何を言っているんだ?


「俺はお前を勇者だとは思っていない、お前とクリエが同じな訳が無い、二度と俺の目の前で自分が勇者なんて名乗るな!!」


 こいつは勇者ではない。

 ただの屑だ……確かにノルンの言う通り野放しにするのは危険だ。

 だが、それはトロールも同じ事。

 しかも、トロールでは相手が相手である以上俺も手が出せない……。

  こいつにも正直このまま牢で一生を過ごしてほしいが……仕方がない。


「良いか? ここに来たのはお前にやってもらう事があるからだ……それが済めばお前は牢から出してやる、自由だ」


 そう言うと勇者は俺へと近づいて来た。


「本当か!」


 おいおい、一応敵相手に何を喜んでいるのか……勿論すぐに出すと言う訳ではない。

 そうなればあの子達の様な犠牲が出る。

 その位は頭にあるし、条件が揃えばと言う話だ。


「ああ、ただし本当に出れるのはお前が奇跡を使えなくなってからだ」

「ん? キューラどういう訳だ?」


 カインが首を傾げて尋ねてきた。

 当然の事だ……ノルンも怪訝な顔をしている。

 そう、この場でそれを知るのは俺だけだ。


「お前にはトロール討伐の手伝いをしてもらう、それが終わり次第この牢に一回戻ってもらう」

「話がさっきと違うぞ!!」


 まぁ、そう言われても仕方がないな。


「まぁ、待て俺達は仲間の一人チェルとトゥスを探す」


 俺の言葉にイライラとしている彼には悪いが話を続ける。


「二人が見つかり次第お前を銃で撃ち抜いてもらう、弾丸は精霊石だ」

「自由と言っておきながら処刑か!!」


 最悪そうなる……と言うのは伏せておく。

 俺はゆっくりと首を横に振り。


「精霊石には人間の魔力を搔き乱すと言う作用がある。特に勇者はその影響を受けやすい。つまり、お前は魔法や奇跡を二度と使えなくなる、万が一の時に備えて凄腕の神官であるチェルを控えさせて命の保証はしてやる」


 俺はそこまで口にし、深呼吸をした後最後の言葉を告げる。


「その後はお前の好きにしろ」

「……ほ、本当か? 本当に奇跡が無くなるのか!?」


 俺の言葉に対し、以外にもこいつは喰いついて来た。

 それだけ奇跡が憎いのだろうが……。


「ああ、以前の勇者は運悪く受けた精霊石の銃弾で奇跡を失った」


 俺は頷く、すると彼は牢の格子を握り叫ぶようにこっちを睨むようにした。


「嘘だったらその時は――」

「嘘じゃない」


 再びそう言うと彼は大きく息を吸い……。


「やる、やってやる! 俺は勇者じゃなくていいんだな!?」

「そうか、じゃぁ頼むぞ」


 俺がそう言うと控えていた兵士は牢の鍵を開ける。

 偽勇者はゆっくりと扉から出てきた。

 そして……。


「ようやくだ、ようやく……僕はまともな異世界生活が……」

「今なんて言った?」


 異世界? だとかなんとか小さな声が聞こえた様な?

 そう思っていると彼は慌てたように……。


「なんでもない、そもそもお前に分かるはずがないだろ?」

「……そうか」

 

 まぁ仮にこいつが転生者だとしても俺には関係ないか。

 俺の目的のためにまずはこの街を守ってもらおう。


「それで僕の武器は?」

「それは後で渡す……取りあえず作戦を今から伝える」


 俺は勇者にトロール討伐の作戦を告げる。

 かなり不安ではあるが……カインが見張ってくれるんだ、何かあっても大丈夫だろう。

 説明を終えると彼は頷き……。


「分かった、僕はトロールをやればいいんだな」


 どうやら作戦は上手く伝わったようだ。

 後はトロールを倒すだけ……上手く行く事を願ってやるしかないか……。

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