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258 協力者?

 貴族ノルンに招かれたキューラたちは食事の席に着く。

 どうやら彼は勇者……神の子に対しての考え方がキューラたちよりらしい。

 彼の協力を得る事が出来そうだ。

 食事は冷めても美味しい物だった。

 いや、歓迎されている事が良く分かるぐらいにだ。


 食事が終わるとノルンはその場に残る事を告げてきた。

 どうやらこれからのことで話がある様だ。


「さて、キューラ殿……先ほども言ったようにこの街を暫く拠点として使って構わない、君はこの街救った遠慮はするな」


 それは先程聞いた事だ。

 拠点として使って構わない、とは言われているが出ていくなとは言われていない。

 縛り付ける気は無い、そういう意味だろう。

 最初に油断させておいて後から……なんて事は無いだろう。

 もしそのつもりなら、勇者と対峙したその瞬間に俺達は罪人にされてしまうはずだからだ。

 まぁ、そもそも俺達は罪人にされているんだけどな。


「だけど、俺達は……」


 仲間を探さなければならない。

 俺は一人で戦ってきた訳ではない。

 クリエが無事だと言うのが分かればなおさらだ……彼女を守る為にも俺は仲間を探さなきゃいけないんだ。


「今は仲間が奴らの所為で散り散りになっているのだろう? 我が兵を使え、奴らの事だそう遠くへは運んでないはずだ」

「なんで、そう……言い切れる?」


 ファリスは警戒するように彼を睨み尋ねる。

 するとノルンは残っていたワインを煽り……。


「奴らはずる賢く、多少の力は持つ……だが、その程度だ……君達の仲間を攫ったとしても自分の安全な場所村へとすぐに戻れる程度の所にしかいかん」

「だから、なんで……」


 ファリスは溜息をつきながらそう訴える。


「あの村は奴らにとって居心地のいい場所だ、勇者を信じる者を奴隷へと落とし、独自の法で縛り付ける……他の街に行けば彼らはその権力を失う、それが恐ろしいのだ」


 ああ、なるほどな……。

 そう言えば水を汲むだけで五月蠅かったな。

 つまり――。


「その権力を存分に保てる街でないと安心できないって訳か」


 俺の言葉に頷くノルン。

 なるほど、なんともまぁ情けない。


「じゃ、じゃぁ! チェルも近くに居るって事か!!」


 カインは机を叩き立ち上がる。

 するとノルンは別段起こった様子もなく、寧ろ興味が出たかのように笑みを浮かべると……。


「そのチェルって子は君の大事な子なのか?」


 と尋ねてきた。


「いや、ただの幼馴染だ! だけどアイツ一人じゃ魔物を倒すのは苦労する!」


 いや、うん……言ってることは間違いない。

 だけどチェルはきっとカインの事を好きだよなぁ……躊躇なく口移しで食事を取らせてたしなぁ……。


「それにしても、チェルと逸れてたのか……てっきり安全な場所に避難をさせてるんだと思ってたぞ」

「ああ、気が付いたら変な女と一緒だった、チェルの事もだんまりだったし、なんだか気持ち悪いからな、適当な街に置いて来た」


 おい……俺は思わず出かかった言葉を飲み込んだ……あの村の住人だと言う事は彼は知らなかっただろう。

 そもそもあの村を知らないはずだ。

 だから、一応は恩人であるはずの女性に対してその仕打ちは無いんじゃないか?

 ま、まぁ街に置いて来たならまだいい方か、外で見捨てられたら、いくらなんでも酷過ぎる。

 俺とファリスは同じ事を思ったのだろう、表情が互いに引きつり……。


「キューラお姉ちゃん、この人……最っ低」


 などと言い始めた。

 うん、そうだな、俺もそう思う……。

 いや、まぁ……カインの事だチェルが居ないと言う事に彼女の身を案じたに違いない。

 その上で助けてくれたなら置いて行っても大丈夫だろう。

 なんて事を考えたはずだ。

 いくらなんでも考え無しに置いて行くと言う事は……。


「そう言われてもな、なんか気持ち悪かったぞ!」


 あったようだ……。

 まぁ、彼が嫌悪感を感じたと言うのはそれだけ危険な人物だったのかもしれない。

 とは思うが……うん、ファリスは完全に引いてるな。

 悪いが俺もそう思う……ってあれ?

 嫌悪感と言えば、カインはファリスが大丈夫なのか?


「なぁ、カイン」


 俺が感じた疑問、それは単純だ。

 カインは友人を殺されている……だが、彼の記憶以外にはそれは残っていない。

 顔すらも思い出せない友人……恐らくは魔王の呪いによるものだ。

 そして、その呪いは俺も実際に味わっている。


「どうした?」

「あ、いや……とにかくチェルを助けないとな」

「ああ!」


 ファリスに見覚えが無いか? そう思って口まで出かかった言葉を飲み込む。

 もし、見覚えがあるなんて言われ、呪いをかけた人物だった時にはどうすれば良いのか分からなかった。

 俺はファリスは別人を割り切る事にした。

 だけど、彼もそうだとは限らない。


「大丈夫、キューラお姉ちゃんの所だけだった」


 ファリスは耳元でそんな事を呟く。

 なるほどな……だが、もし先輩達と合流することがあったら気を付けてやらないとな。

 そう思いつつ、俺はノルンの方へと向く。


「仲間の情報は頼む……俺達も出来る限りでは行動する」

「ああ、任せて置け」


 とにかく今は仲間達を見つけないとな。

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