表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺は百合勇者の従者にならざるを得ない……  作者: ウニア・キサラギ
10章 勇者《魔王》として
241/490

231 奪取と脱出

 キューラ達の前に現れた3人。

 それはファリスを始めとし、カインとチェルまでもそこに居た。

 そして、彼らは何とレムスが導いてくれたとの事だ。

 キューラはこの状況を打破すべく集まった仲間達に頼むのだった……。

「キューラお姉様の言う事だから……聞いてあげる」


 ファリスはそう言うと年相応とは到底言えないような妖艶な笑みを浮かべた。

 そんな様子を見ていたカインは顔を引きつらせ……。


「スライムの奴といい、その子といい……キューラって変な奴に好かれるな」


 おいおい、そんな事言うなよ……若干落ち込んでくる。

 というか、ファリスが今の言葉を聞いて笑みを消し、怒っているのが分かる。

 だが、俺と目が合うと……。


「えへへ……」


 再び笑顔になった。

 今度は年相応だ……そんな事を考えていると横から痛いほどの視線を感じた俺は恐る恐る彼女の方へと向く。


「ク、クリエさん?」


 彼女もまた俺と目が合うと笑みを浮かべるが、どこか怖い物だ。


「ど、どうした?」

「なんでもありませんよ? ただキューラちゃんは色んな人に好かれるんですね」


 彼女は俺が男だと知ってる数少ない人だ。

 だが、それはファリスも同じだ。


「きっときっとお姉様がもどったら……ふふ、ふふふふ……」


 ま、まだ戻ったら何て口にしてるって事はファリスはまともって事だろうか?

 いや、騙されるな……ファリスは確かに心強い味方だ。

 だが、この少女は所謂ヤンデレと言う奴だろう……。

 だって元々は魔王の配下で嫁にしてもらう為に平気で人を殺して来たんだからな。

 今は俺の方についてくれたからそんな事はしないとは思うが……。


「話してる暇あるのかい!?」


 トゥスさんはそう言うと俺をライムから引き抜き、担ぎ始める。


「これがあんたの……魔王としての最初の犯行だ。しっかり盗んでやりな、世界の希望をさ……」


 小さな声……だが、彼女はニヤリと笑みを浮かべるとそれ以上は何も言わない。

 最初の犯行……。

 だが、彼らは知っているはずだもう勇者が勇者の資格が無い事を……。

 しかし、世界の住人達は違う。

 ここで俺達が死んでも生き残ってもこの世界に生きる人々は希望を失う。

 かと言って易々とクリエを死なせるつもりはない。


「ああ、そうだな……今は動けない、でも最初は肝心だな。なら――!!」


 魔王らしく、奪ってやろうじゃないか、希望という名を物を……!!

 だが、俺はこの世界が好きだ……だからこそ――。


「行くぞ、俺が魔王を討伐して魔王になる旅の為に――勇者はクリエは貰って行く――!!」


 だからこそ、先程したお願いは取り下げなくてはいけないな。


「皆手を貸せ……神大陸に刃を向ける為の手を――!!」


 俺は――守るんだ! 俺達のこの手で! 世界の犠牲になって来た勇者たちの為にも……クリエを――絶対にっ!


「――クリエを守るんだ!!」


 言葉は口に出す。

 それが肝心だ……心の中でいくら願っても叶いはしない。

 だが、有言実行という言葉がある様に言葉に出せば違う……それを聞く者も居る。

 言葉に出すというのはどんな言葉でも重みを持つという事だ。

 だからこそ、俺が――俺自身が揺らがない為にも口にしなきゃいけない。


 決心はついた。

 例え、今は足手まといでも……俺には守る物がある。

 情けない、そう悲観する事は無い。

 俺には仲間がいる……彼らの力も借りれた……脱出は決して絵に描いた餅ではなく、現実味を帯びてきた。

 皆が居れば……。


「ここから逃げるぞ!!」


 俺がそう叫ぶと仲間達は一斉に駆け始めたっとは言ってもライムの速度に合わせなきゃいけない、そこまで急げるわけではなかった。

 横を通り過ぎ俺達の進行方向へと向かっていくのはファリスだ。

 対し、カインは後ろへと着き、後方を守ってくれている。

 チェルは二人を気にしつつも俺達の傍から離れない。

 トゥスさんは俺を背負っているせいで両手がふさがっているが……先ほど銃声が聞こえなくなったことから考えると恐らくもう弾が無いんだろう。


「これなら――」


 いける!!

 そう思いはした、だが同時に警戒もした。

 こういった時に思わぬ障害が入り、脱出が失敗に終わる……なんて事は良くある話だ。

 だからこそ、俺は油断できないと思ったんだ。

 今のこの身体じゃ何もできない……だが、それはあくまで戦うことが出来ないという事だ。

 状況の判断、情報収集……役に立つ手段はいくらでもある。

 俺が冷静に、俺がクリエだけじゃく皆も護らないといけない。

 それが――魔王……いや、王と名乗ると言ったものの責務だろう。

 奴らが恐れるのは勇者という希望が無くなる事だけでは無いはずだ。

 そう、同時の恐れるのは此処で勇者を取り逃がし、勇者を殺せない事も恐れている。

 何故なら、勇者は一人だけ生まれてきた。

 どんな時代にもあの村で神の子と呼ばれた物は一人しかいない。

 もし二人以上いたならそれは伝承としても残っていたはずだ、だがその話は聞いた事が無い! それなら次の勇者を生み出すにはクリエが邪魔になるのではないか? 確証が無いが……その可能性だってある。


 だからこそ――もしもの時に備えて俺なら……。


 ――どこかに伏兵を置く!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ