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俺は百合勇者の従者にならざるを得ない……  作者: ウニア・キサラギ
10章 勇者《魔王》として
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229 絶望への道

 キューラの策それは巨大化したライムに乗り込みそのまま街を出ると言うものだった。

 しかし、相手にも魔族や混血が居る。

 簡単にとはいかないだろう……。

 何処からかキューラ達を援護するトゥスも居たが、ついに魔法はライムを貫くのだった。

 それでもライムは4人を乗せ懸命に前へ前へと進むのだった。

「くそ……!!」


 ライムは進むたびに少なからず傷を受けて行く……。

 このままではライムが死んでしまう。

 そう思っても俺には何も出来なかった。

 何処からかトゥスさんの援護は来ていたはずだ。

 だが、彼女の武器の関係上……その援護にも限りがある。


「もう、銃弾は飛んで来てないですね……」


 クリエは何処か諦めた表情で笑い。


「キューラちゃん、私を置いて行ってください……」

「はぁ!? 何を言ってるんだよ!!」


 いきなり思いもよらない言葉を告げてきた彼女に対し、俺は怒鳴り声をあげてしまった。

 すると驚いたのだろう怯えた瞳で見られてしまい。

 俺は彼女に声を荒げた事を反省した。


「わ、悪い……」

「悪いって貴女ね……急に怒鳴られたら誰だってびっくりします!」


 ヘレンに叱られたがその通りだ。

 イリスは黙り込み……その場には重々しい空気が流れる。


「私がここに残ればあの人達はそこまで執拗に追って来ないと思うんです」

「………………」


 俺が口を閉ざしたからだろうか?

 クリエは淡々と喋り始め……。


「だから、私さえ……」

「…………だ」


 この子は何を言っているのだろうか?


「ええっと……キューラちゃん?」


 俺達が捕まってどの位の日にちが経っているのか分からない。

 もしかしたら、もうすでに何日も立っているのかもしれない。

 だが、そんな事はどうでもいいんだ。


「駄目に決まってるだろ!」


 今度は怒鳴らないように気を付けながら彼女に告げる。

 そうだ、そんなのは駄目だ。

 俺は彼女を守る為に戦っている。

 それなのに彼女を見捨てて自分達が生き延びる? そんなのは意味がないんだ。


「俺は、俺が決めた事に背くつもりはない」

「でも、この状況じゃ……」


 今度は言い合いになりそうな雰囲気の中――。


「っ!?」


 イリスの息をのむ声が聞こえ、俺は一旦口を閉ざして彼女の方へと向く。


「どうした?」

「あ…………あ、あれ……」


 彼女の視線の向こう、そこには……。


「嘘だろ……こんなの!!」


 絶望と言う名が相応しい魔法が俺達へと向かっていた。




 氷の上位魔法。

 話していた所為で魔法の名を聞いていないから恐らくと言った所だが、あの大きさ間違いないだろう。

 いや、そうじゃなくても混血や魔族が操る魔法は詠唱で強化できる。

 時としてそれは上位に匹敵する魔法を生みだすことだってできるんだ。

 何故、その事を考えていなかったのか?

 俺は……馬鹿だ……。


「ひっ!?」


 ヘレンの小さな悲鳴も聞こえた。

 そう、俺達にはもうこの場から逃げる術なんてない。

 残っているのは死という事実だけだ。


「ごめん……皆、ごめん……クリエ……」


 諦めるしかない。

 ただそれだけが現実……俺はそう思い謝罪の言葉を口にした。

 誰一人、反応をせず。

 誰もがその魔法へ注意を奪われていた。

 俺はそんな中、せめて誰が魔法を撃ったのか……無駄な抵抗をしようと見る。

 だから気が付けたのだろう、だから……分かったのだろう。

 こちらへと向かって来る影に……。

 その影は三つあった。

 全身を顔すら隠すように布で包んだ彼らは走ってくる。

 辛うじて分かったのは一人が小さな魔族……そして、どこかで見た様な瞳だって事だ。


「………………」


 いや、待てよ? あの瞳どこかで見た?

 一体どこで? いや、もう……どうでも良いか……どうせここで終わりだ。

 姿からしてあれは暗殺者だろうしな。

 俺達にどうこうできる問題じゃ……。


「……?」


 まて、おかしい暗殺者? あれだけデカい魔法を放って暗殺者まで放つのか?

 いや、そもそもあんな魔法を受けたら……助からないのは分かり切っている。

 そんな場所にわざわざ人を送るか? 愚策だ。

 寧ろ何も考えていないと言った方が良い。


「…………ファリス?」


 俺は知っている魔族の名を呼ぶ。

 だが、そんなはずはない……仮にファリスだとしてどうやってここまで来た?

 何故俺の危機を知っている?

 トゥスさんにしたっておかしい。

 なんであの時離れ離れだった俺達がここに居る事を知っているんだ? もうレムスは居ないというのに……。

 それにあの二人は誰だ?


 その疑問は……すぐに解決する。

 影の中、一番背の高い奴が鞘から剣を滑らせると振り返り、魔法へと向き合う。

 二人は此方へと向かってきてはいたが、魔族は長身よりも遅れて振り返った。

 そして……長身が剣を振るい――。


「な、なななんな――!?」


 ヘレンが混乱しているように声を放ち。


「――――っ」


 イリスは信じられない物を見ているような瞳だった。

 事実俺も信じられない。

 いや、現実にそんな事をする奴が居るとは思わなかったそう言った方が良いだろう。

 長身は経った剣一本で魔法を切ったのだ。


「――――豪華と化せ……フレイム!!」


 そして、それに合わせるように詠唱をしていた魔族は炎の魔法を使い氷を溶かしていく……。

 あの声間違いない……彼女はファリスだ!

 でも、どうやって……!? なんで、ここに居るんだ?

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