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俺は百合勇者の従者にならざるを得ない……  作者: ウニア・キサラギ
10章 勇者《魔王》として
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223 魔の長と勇敢なる者の資格?

 キューラはレムスに最初から騙されていた。

 その事実を突きつけられつつもクリエ達を救おうとした。

 しかし、二人を人質に取られ彼は動けなかった……。

 このままではクリエは死にキューラとヘレンは奴隷になる。

 だが彼らの会話を聞くキューラはある事実に気が付いた……。

 殺すにしろそうじゃないにしろ……人質である二人は彼らにとっても足かせになっている事に……。

 俺の目的はクリエを守る事だ! そのために此処までついて来た。

 なのにこんな所で諦めてたまるか!!


 俺は自分を奮い立たせると、立ち上がり……。


「シャドウブレード……」


 魔法の名を唱える。


「っ!?」


 するとまさか人質のいるこの状況で反撃をされるとは考えていなかったのだろうカミアとロッシュは顔を歪めた。

 直後聞こえたのは金属音。

 それは二人を捉えている奴らどうやら……ゴーレムを倒した証でもあった。

 油断大敵とはこのことだ……。

 そう思いつつ、俺は――。


「グレイブ!!」


 ロッシュへと向け新たに魔法を放つ!! 


「こいつ無詠唱魔法を!?」


 レムスからその情報は聞いていなかったのだろうか?

 やけに驚いているロッシュだったが……魔法が当たる事は無く避けられてしまった。

 だが、今ので相当頭に来たらしい彼は自身の使い魔であるレムス……いや、大烏を睨み。


「何故言わなかった!! この使えん害獣め!!」


 と言い、その拳を放つ――。


「……っ!?」


 レムスは避ける事もせず、ただ殴られてしまい。

 俺は突然起きた目の前の事にただただ驚いただけだった。

 自分の使い魔を殴った?

 思い通りにならないから? いや、いくら使い魔と言っても主人の命令に逆らう事はあるだろう……。

 ライムだってそういう時があるんだ。

 それに彼らは馬鹿ではない、命に逆らう時はきっと主人を守ろうとしての事だろう。

 なのに……殴ったのか?


 俺は大烏の方へと目を向ける。

 するとぴくぴくと痙攣するレムスの姿が見え……。


「レムス!?」


 はっとした俺は慌ててレムスの所へと駆け寄ってしまった。

 我ながら馬鹿な行動だ。

 そう思いつつも、傷ついた大烏へと手を伸ばす。

 すると――。


『――カァ!!』


 警戒するように大きく鳴き声を上げ、なんとか立ち上がる大烏。


「その小娘を傷つけるなよ害獣! 今ここでどっちが上だか教えてやる!!」


 先程の一撃はレムスには相当効果があったのだろう、ふらふらとしている。


「全く、肝心な情報が無いとか貴方の使い魔は使えませんね? 焼いたらどうですか?」

「そうだな、それも考えておいた方が良いかもしれん」


 ………………。

 こいつらは何を言っているのだろうか?

 使い魔が使えない? 焼いたらどうだ? そんなの酷過ぎるじゃないか。

 使い魔はお前に懐いて来てくれたんだぞ? 例え仮初の主人だったとしてもレムスは俺を……。

 ……俺を……俺達を助けてくれた……!!


「レムス……無理すんな? な?」


 こいつは賢い、だから俺達を騙すのは簡単だっただろう……。


「おいおい、そいつは俺の道具だぞ? 分からないのか?」


 そして、ロッシュは俺を小馬鹿にするように笑う。

 確かにそうだ。

 こいつはロッシュの使い魔。

 無理をするなと言った所、それは主人への忠誠だ。

 俺が何を言った所でレムスは変わらない。

 分かってはいる……だけど……。


「短い期間でもレムスは仲間だった……助けてくれたのは事実だ……例えお前の使い魔でお前の命令だとしても……」


 俺は懐からレムスの好物のきのみを取り出し床へと置く……。

 そして、立ち上がると同時にロッシュたちの方へと向き直った。

 すると視界に映ったのは二人の外道とクリエにヘレン……守らなきゃいけない人達だ。


「そんなのは関係ない」

「馬鹿も極めるといっそ清々しいな?」


 なお笑うロッシュに釣られてだろう、少し引きつっていたカミアも笑い始めた。

 だが、そんなのはどうでもいい。

 問題はこのロッシュが本当に強いかどうかだ。

 そして、強いのであれば生半可な魔法は効かない。

 トゥスさん達の援護に期待は出来ない現状では――俺の身体が何処まで持つか、というのが勝敗を分けるのだろう。


「……それでどうする? 先程の魔法には驚いたが、もう二度と同じ手は喰らわんぞ?」

「そ、そうですね、貴女は馬鹿な選択をしたと考えればいいのです、後悔するぐらいに壊してあげますよ」


 笑うロッシュに何を考えているのか恍惚の表情のカミア。

 だが……それを見てもなぜか滑稽としか思えなかった。

 人を食い物にしている……相手を馬鹿にする。

 それは何処でも起こっている事だ。

 だが、目の前の二人はどうだ? 確かにそうしようとしている……が……詰めが甘い。

 人質を取るなら商品なんて言葉は使わない方が良い。

 自分達がその人質を傷つけられないという事をもうすでに言っているのと同じなのだから。

 そして、同時に俺の事を売ろうとしていた事……これも愚かだ。

 つまり、俺は弱く簡単に捕まえられる……それは間違いじゃないが、反撃される事は無いと高をくくっていた。

 戦いにおいて格下の魔物相手に油断をし死ぬ冒険者連中と同じだ。

 そして、こんな奴らは許す事も生かす必要もない。

 人の命をクリエを仲間を傷つけたこいつらだけは――!!


「……精霊の業火よ…………我が拳に宿りて焼き尽くせ……」


 詠唱を唱えると両腕から焔が現れそれは瞬く間に俺の腕を焼く、同時に左目がカァっと熱くなり……右目は見えなくなってきた。

 この魔法が一体なんなのか分からない、だが……一つ言える事は……。


「な、なんだ!? それは!? その魔法は何だ!?」

「さぁな?」


 自身の身を焦がす炎。

 諸刃の剣……。

 言い方はいろいろあるだろう、だけど……。


「二人は返してもらう……レムスにもこれ以上手は出させない……!!」


 これが、この魔法が――!!















 ――――俺の切り札だ!!

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