211 服屋へと……再び。
ヘレンに手を貸す事に決めたキューラ達。
だが、ゴーレムになってしまっては意味が無い。
だからこそ、彼らは魔法陣があるかどうかを判断するため胸元の空いた服を着ることを提案するのだった。
だが、それにも問題があり、キューラは不安を感じるのだった。
……俺達は話し合いを終えて牢の中を掃除した。
相手はゴーレムを作った本人だ。
土が残っていればそこで何が起きたか想像するのは容易いだろう……。
次に対策として……。
「それで、お父様、お母様……この方達を客人として迎え入れたいのです」
ヘレンの協力を得て、俺達は屋敷へと寝泊まりが出来るようにしてもらおうとしていた。
理由は勿論、彼女の安全の確保。
姉であるカミアに怪しまれてしまうが、それも時間の問題だ。
ゴーレムが一体帰ってきていない事は既にばれている。
だが、牢で何が起きたかはまだ大丈夫だろう……問題は昨日の夜。
俺が駆けつけた所を他のゴーレムが見ていて報告されていたら……。
今度は実力行使でこの子達を殺しに来るかもしれないからだ。
「ええ、そう……まさか勇者様が客人として……」
笑みを浮かべる彼女の母はゴーレムではない。
何故わかるか? それは簡単だ、胸元の空いた服を着ていてくれたからすぐに確認することが出来た。
因みに父親の方はただ黙ってこちらを見て……横になっている。
「…………」
俺達と目が合うと何も言わずにヘレンの方へと向き直る。
「…………ありがとうございます」
ヘレンはそれだけを口にし、俺達の方へと振り返ると……。
「それでは少し出掛けましょう、ロッシュ……ここの警備は任せました」
「分かったお嬢任せておきな」
爺さんを置いて行く事には驚いたが、俺は表情に出ない様にしていた。
恐らくはヘレンは自身を守る為に爺さんを近くに置いていた。
だが、本当に殺されかけた以上、両親も危ないと思ったのだろう……。
それに彼女には俺達が付いている。
爺さんには及ばないが、それでも立派な護衛としては役に立つと思われたのかもしれない。
まぁ……あくまで予想だが……。
「何をしているんです?」
「あ、ああ……」
俺は慌てて返事をしクリエ達と共にヘレンを追いかける。
暫く歩いた所で彼女は……。
「お父様はもっとお元気な方でした、ですが最近になって暴れ……周りの者を傷つけるようになってしまったのです。もしかしたら……」
「…………」
ゴーレムかもしれない。
そんな不安が彼女の中にあるのだろう、だが確かめない以上それは分からない事だ。
「なんでもありません、行きましょう」
そう言う彼女の顔は悲しさでも苦しみでもなく……憤りが見えた。
俺はそれを見てこの子は危ういのではないか? と考える。
「あの……剣は恨みや憎しみで振る物ではないですよ?」
そんな事をクリエは彼女に伝えた。
だが、ヘレンはそれには何も答えず……歩みを進めるのだった。
さて、俺達は服屋に着いた。
そこは普段着や鎧の下に着る物、下着と色々取り扱っている訳だが……。
「うへ、うへへへ、うへへへへへへへ」
なんともまぁ……嬉しそうな女性が服屋の中を見て回っている。
「わ、笑い方はきもっ……ではなく、個性的ですが、勇者様は服がお好きなんですね」
いや、今明らかに気持ち悪いって言いかけてただろ?
分からなくもないが、イリスも怯えきって何故か俺の背に隠れてしまっているし……あれは本当に勇者なのだろうか?
百合サキュバスとでもいった方が良いのでは? いや、う~ん? 襲われたりはしないから違うのか?
「キューラちゃん! キューラちゃん! これなんていかがですか」
「下着だろソレ……却下だ却下」
そして彼女の中では最優先が俺なのか早速持ってきたのは俺の服らしいが、明らかに下着だ。
以前このやり取りをしたような気もするが……服のセンスは悪くないし、その内まともな物を持ってくるだろう……。
「じゃぁこれです!」
「ああ、布地が増えたな……でもそれ下に何か着るんだろ?」
新たに持ってきた服らしきものを見て俺はそう告げるとクリエは表情を変え明後日の方向を見る。
やっぱりそうか……。
「な、何故でしょうか? 以前ロッシュに服を選んでもらった時と同じ気がします」
「へぇ~って……」
何やってるんだあの爺……エロ爺だったのか?
「キューラちゃんキューラちゃん!」
「あーはいはいって、透けてるだろうソレ!! 絶対に下に何かを着るやつだろ!? 何処でそれだけ見つけてくるんだお前は!?」
俺が彼女の持ってきた物に対し、耐え切れず突込みを入れると……クリエは再び「うへへ」と笑い。
「ちょっとだけ、ちょっとだけ……大丈夫ですちょっとだけ着るだけですから」
うわぁ……目が怪しい。
「絶対に着ないからな……まともな服を持ってきてくれ」
そう言うと彼女はしゅんとし、再び服選びへと戻っていく……。
「自分で探した方がよくないですか?」
「わ、私もそう思う……」
二人はもっともな意見を言って来るが、女の服ってのは良く分からないしな。
「同感だね、このままじゃ変な服を着せらせそうだ……」
そう口にしたトゥスさんは自分で探し始めようとする。
まぁ……特にこだわってはいないし、クリエも俺の服だけを選べれば満足かもしれないな。
「分かった、じゃぁ買い物が終わったら一回は顔を合わせよう。いいな?」
俺はそれだけを口にし、クリエが去って行った方へと歩き始めた。




