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196 魔法陣の本

 街の中に突然現れたアンデッド。

 キューラ達はその対処をする。

 しかし、何故一体街の中にアンデッドが溢れているのだろうか?

 宿へと戻った俺達はようやく一息を付いた。

 とはいえ、気になる事はある。


「それで、あの爺が言ってた事は本当なのかい?」

「トゥスさん?」


 腕を組み何処かイライラした様子のトゥスさんにクリエはおずおずと言った様子で名前を呼ぶ。

 質問の意味は俺には分かった。


「ああ……不思議な本屋に行った。そこで……この本を見つけた」


 俺は本を取り出し、トゥスさんに手渡す。

 彼女はそれをゆっくりと読み始め……。


「……魔法陣? 聞いた事無い魔法だね」

「ああ……」


 トゥスさんは興味深げに本へと目を通し……。


「これは……精霊石の道具を大きく変える物だよ……それこそ本当に魔法の効果がある道具さえ作れる!」

「……そ、それって、キューラちゃん……凄い物を見つけたって事ですか?」


 クリエの言葉にトゥスさんは頷き。


「凄いなんてもんじゃない、これさえ覚えれば例えば火を吹く剣や矢が刺さった所から凍る弓、色々作れるよ」

「そ、そんなに凄い物なのか? でも魔法陣自体を書けなきゃ……」


 流石にそんな効果のある道具を作るには大掛かりな魔法陣になると思うんだが……。

 そう思っていた俺は本を受け取り少し読んでみるが、やはり、どう考えても難しそうだ。


「最初は大砲とかそれよりも大きな道具からじゃないと作れないだろうって言われてたよ、でもこれは違う! こんな研究が進んでたなんて聞いた事もない。キューラ良い物を見つけたじゃないかい」


 笑みを浮かべたトゥスさんは俺の肩をバンバンと叩く。

 だがすぐに真剣な顔を浮かべると……。


「ただ、これにはアンデッドに関するものは書いてないね。思念を残し伝える術は書いてあるけど、それはあくまで別物だ」

「そうなの? でも……」


 イリスも本に興味があるのか、俺の横で覗き込みながら疑問を浮かべた。

 あの老人は確かに俺の所為だと言っていた。

 しかし、この本にはアンデッドに関することは書いていない。


「かと言って放って置く訳にはいかないんだろう?」


 トゥスさん……呆れたように言っているけど、戻って来なかったのはあれが理由なのは間違いない。

 きっと彼女も放って置く事は出来なかったんだ。

 尚更何とかしないとな……そう思いつつも――。


「まずは情報ですね……」

「そうだな、明日酒場にでも行ってみよう、酒場なら何かしらの情報があるかもしれない」


 俺の言葉にトゥスさんは笑みを浮かべ頷き、嫌な予感がした俺は念を押しておくことにした。


「酒を飲むのは構わないが、酔っぱらうまでは飲むなよ?」

「当たり前だ……」


 ま、まぁトゥスさんは酒に強いみたいだし大丈夫だとは思うけど……。


「お、お酒?」


 イリスは驚いた顔をしてトゥスさんの方へと向き、やはりエルフとしては珍しい人なのかもしれないなって思えてきたな。


「アンタも飲むかい?」


 トゥスさん……イリスを巻き込むな。

 と言うかイリスはぶんぶんと首を振っているし、思いっきり嫌がってるじゃないか……。

 そして俺の背に隠れるのは一体……。


「つれない子だね……五杯や六杯死にやしないのにさ」

「いや、お酒って嗜好品ですし……絶対飲まなければという物でもないのでは?」


 クリエは冷静に突っ込んでいるが、俺は一杯や二杯じゃないのかよ!? と言いたい所だ。


「……とにかく酒場にはいろんな人が来る、金さえあれば情報は買えるだろう……トゥスさん協力を頼む」

「ああ、任せておきな」


 俺の言葉に笑みを浮かべて頷くトゥスさん……それに対し、クリエ達は首を傾げている。

 どうやら言葉の意味が分からない様だ。


「相手は酒を飲んでるんだ……さっきのトゥスさんの言葉と同じで酒を飲まない奴をつれない奴だと思ったら情報をくれないかもしれない、なら一緒に酒を飲んでもらう誰かが居た方が良い」


 俺がそう言うと二人は感心した様に「おお~」と声を上げ始めた。

 揃って言う二人はなんだか微笑ましい何かがあるな。


「ついでに安酒一杯奢ってやれば相手は上機嫌だよ、ま……この手の情報収集は慣れてる任せておきな」

「頼りにしてる」


 こういった時に酒に強い仲間が居ると助かるな。

 そう思いつつ俺はトゥスさんに笑みを向ける。

 すると彼女は最早見慣れた悪人染みた笑みを浮かべた……。


「なんだか、キューラちゃんが悪い道に行かないか心配になってきました」

「なんでそうなるのか、俺は疑問なんだが?」


 クリエは一体なにを言い始めているのだろうか? そう思いつつ彼女の方へと向くと……今度はイリスが眉を吊り上げ……。


「お酒は駄目! ちょっとなら薬になるけど……」

「いや、まぁ……俺は飲まないぞ?」


 正確には例え飲むとしても酒として飲む事は無いっと言った方が良いだろうか?

 神大陸では水はまだ飲める方だ。

 だが、魔大陸ではそうはいかない。

 あっちの水はこっちよりも質が悪く飲むと必ず腹を下す。

 だから、少しアルコールが入っているものを子供大人も飲むと学校で教わったからな。

 どうせ魔大陸には行くのだから、それは飲む羽目になるだろう……と思ってたんだが……。


「ライムが居るからな」


 俺達にはライムが居る。

 つまり、飲み水には全く困らないって事だ……それこそ泥水だって真水に変えてくれるんだ。

 本当、頼りになる子だな、ライムは……。

 そう思って頭? を撫でてやるとライムは何処か誇らしげ? と言った方が良いのだろうか? 一回強くぶるりと身体を揺らした。

 多分任せておけって言ってるんだろう。


「ああ、その時は頼んだぞ」


 ライムにそう言ってやるとクリエは笑みを浮かべ、イリスは瞼をぱちぱちとさせた。

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