195 アンデッド
兵士が何かを探している。
その情報をトゥスから得たキューラ達。
そして、その隠し場所からはキューラが出てきたと訴える老人。
呪いだという老人だったが、キューラにはそうは思えなかった。
そうこう考えている内にキューラ達は魔物に囲まれているのだった。
元は兵士とは言え、今はもうアンデッド……。
そんな彼らを助ける為にも戦わなければらない。
それは頭では分かっていた。
だが……。
「何で……何でアンデッドなんかに」
気になる事は平和なこの街の中で彼らはどうやってアンデッドになった?
「キューラ!! 考え事は後だ!!」
「っ!! 分かってる!!」
だが、それもトゥスさんの怒号で現実へと引き戻された俺は目の前に来たアンデッドを剣で切り払う。
とは言ったものの、流石は兵士。
俺の剣なんてものともせずに避けていく……。
「キューラちゃん! 危ないです!!」
気が付かない内に迫っていた刃。
それに逸早く気が付いてくれたクリエによって助けられ、俺は感謝しつつも情けないという感情が浮かび上がる。
得意分野は魔法だといくら言っても使えない状況だってある。
ましてや、今は二人も護っている状況だ。
いや、もしかしたらどこかに隠れてやり過ごそうとしている人も居るかもしれないこの状況で魔法はむやみに使えない。
ただでさえ、今回のアンデッド達に魔法を一発で当てれる! という自信がわかないからだ。
「――くそ!!」
だから、剣を振るうも俺の剣じゃ意味がない。
何度も剣を振るっている内に腕は段々と重くなり……息が切れてくる。
体力が無い。
そう何度か注意された事もあった様な気もするが……今反省しても遅い。
そもそも、旅で少しはマシになってると思ったんだが……変わってないのか?
「はぁ……はぁ……」
トゥスさんとクリエが数を減らしていく一方……俺はまだ一人も倒せていなかった。
かすりもしない……これは魔法使いである俺と兵士だったアンデッドの力の差? クソ……。
これじゃただの足手まといじゃないか……。
魔法さえ、使えれば……。
「キューラ! さっさと魔法を唱えな!!」
「だけど!!」
奴らを倒すには広範囲に届く魔法しかない。
そうなれば……。
「大丈夫だ……こいつらが出てから随分と時間が経ってる。いくらなんでもそろそろ逃げているよ」
「…………」
それは分からない事だろ? そう言いたかったが……。
このままでは埒が明かないのも事実だ。
「クソ……」
魔法を唱える? いやでも……。
「キューラちゃん!!」
俺はクリエの声にハッとする。
何を迷ってるんだ……俺は彼女を守るって約束したじゃないか!
人が居そうだから広範囲に魔法が撃てない……それは分かってる。
だが、此処で諦めて――!!
「――!!」
たまるか!!
「シャドウ……ブレード!!」
そうだ、広範囲に刃を出すのではなく、奴ら一人一人の陰から魔法を出せば!!
そう考え、生み出した魔法は流石に全部とは言わずともアンデッド達を捉え、貫く――!
「どうだ!!」
全部が全部陰から出た訳じゃなかったが……上手い事、やれた……これでもし、人が居たとしても被害が出る事は少なくなるはずだ。
「……お、驚いたね……」
「凄い……魔法ってこんな事も出来ましたっけ?」
二人は驚きの声を上げたが……きっとあの男ならもっと上手い魔法の使い方をするだろう。
それこそ、一体も逃さず魔物を貫くこともできるかもしれない。
だが、あいつならと言う前に俺にも多少は出来た事には喜ばないとな。
「……っ!」
しかし、魔物達はまだ残っている。
その手に持つ剣が俺へと向けられたが……銃声の音に遅れそれは地へと落ち……。
続くクリエの猛攻でその場は何とか凌げた。
「それで……」
トゥスさんは身を縮こませている老人の方へと寄ると……。
「何でアンデッドが溢れている? あれは未練のある死人が成り果てる姿だ」
「そ、その小娘だ! その小娘の所為だ!!」
そう言って指をさす先は俺だ。
「悪いがあれはアタシらの仲間でね……この街に着いたばかりなのにあれの所為になる訳ないだろう?」
あれ呼ばわりなのか……まぁ、悪気とかは一切ないのは分かってる。
しかし、魔法陣に関係のある事には間違いがないだろう……。
まさか……とは思うが、もしかして、本を探していた連中はいつまで経っても成果を上げられない兵達に苛立ちを覚え、毒かなにかで処刑でもしたのか?
「アンデッドは何時から暴れ始めたんですか?」
クリエが問うと老人は目を見開き……。
「おお、勇者様、お願いです……あの小娘を……あの魔女を殺してください!!」
始めてそこに勇者が居る事に気が付いたのか、そう懇願し……困惑するクリエの横で溜息をついたトゥスさんは……。
「駄目だね、一旦宿に戻るとしよう」
と、提案し、俺はそれに頷くとクリエの手を引き……。
「戻ろう」
っと一言だけ告げ、引っ張る。
老人はまだ魔女だとかなんだとか叫んではいたが、その場から動こうとはせず。
なんだか、その様子が不気味な物に見えた。




