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194 街の中の生ける死体

 トゥスは何処に行ったのだろうか?

 彼女を探すキューラ達は旧市場へと向かう。

 そこはキューラが本を手に入れた場所だった。

 人気の少ないその場所で座り込む老人に尋ねる彼らだったが……。

 彼は何かを恐れていた……そして、彼は突如兵士に引っ張られていく……キューラは兵士を止めるのだが、話を聞かず。

 何かがおかしいそう感じたキューラは兵士の兜を取ると……彼はアンデッドだった。

 どういう事だ?

 何故、街にアンデッドが? そもそも何で兵士の格好を?

 俺が疑問に思っているとその場に銃声が鳴り響く……。

 すると目の前に居たアンデッドは崩れる様に倒れ……。


「……キューラちゃん!? 大丈夫ですか!?」


 音に驚いたクリエが俺を抱き寄せて庇うようにした。

 勿論、怪我なんかはしていない。


「何で銃声が!?」


 だが、クリエの銃と言う言葉に俺ははっとし……。


「ってきゃあ!?」


 俺を庇ってくれたクリエを逆に庇う様に覆いかぶさった。

 もう遅いかもしれない、だが……それでも彼女を守らない訳にはいかない。

 一発ですでに彼女の身体はボロボロにされているんだ。

 もう一発、銃弾を撃ち込まれれば今度こそ……死ぬかもしれない。

 そう思い浮かべてしまうともう……動かずにはいられなかった。


「遅いね……もし、命を狙われてたらすぐに動かないと役に立たないよ……キューラ」


 だが、その場に響いた重い声は聞き覚えのあるものだった。

 そう……彼女は……。


「トゥスさん!?」

「銃は……直ってる?」


 俺は彼女の名を呼び、イリスは直っている中に驚きの声を上げた。

 そして――。


「うへ、うへへへ、うへへへへへへへへ……」


 命の危機だったかもしれないというのにうちの勇者様は何故か顔を赤らめながら、笑みを浮かべていた。


「銃の一個や二個、簡単に直せるさ……知識と道具さえあればね……でも、静かだからってここらを選んだんだけどね……どうやら、静かな理由があったみたいだね」

「理由?」


 何の事だろうか?

 そう思い浮かべた後、すぐに浮かんだのはあの老人の事だ。

 まさか、彼の魔法陣の影響か? でも、あれは――悪質な物ではないはずだ。

 いや、まだ絶対とは決まった訳じゃない、だけど……そう、信じたい。


「ああ、生身の兵士が血眼になって何かを探してるらしい……天才の術とか言ってたから魔法かなにかだろう」

「て、天才の術? ですか?」


 ようやく戻って来たクリエは……いや、だらしない顔をしたままのクリエはトゥスさんに尋ねる。

 するとトゥスさんは呆れた様に笑いながら……。


「ああ、殺したとは言ってたが、どうやっても見つからないし……殺した場所も分からないらしい……」


 ……おいおい、って事は俺が持ってるあれを欲してるって事か?

 でも……。


「それなら、何でアンデッドが出て来てるんだ?」


 そこが疑問だ。

 俺は質問をすると……。


「さぁね、全く意味が分からないね」

「あ、あの人は……家に呪いをかけたんだ……わ、わわわわしは知ってるぞ……!」


 首をひねるトゥスさん、彼女に分からないんじゃっと思った矢先答えたのは……襲われていた老人だった。


「そ、その呪いの家に入ったのはお前だ! お前があの家から出てきた!!」


 そう言って指を向けた先……それは……。


「「「キューラちゃん?(キューラ?)」」」


 三人が声をそろえて俺の名を呼ぶ。

 呪いの家……つまり、あの本屋って事だろうな。


「…………それについては後で説明をするよ」


 俺は仲間達にそう告げた後――老人の方へと向き。


「問題は……ここに居るアンデッド達をどうにかしないといけないって事だ」


 そう言ったもののどうしたものか……。


「いや、その呪いの家ってのにアンデッド化の秘密があるんじゃないかい?」


 トゥスさんの言葉に俺は首を横に振る。


「違うんですか?」


 クリエも同じ事を考えていたみたいだ。

 だが、違う。


「話がややこしくなるから詳しい事は後で、ただアンデッドには関係のない事だ」


 あそこにあったのはゴーストの老人の秘密。

 そして、魔法陣の本だけだ。


「そうかい、なら……まずは……」


 そう言って引き金を引いたトゥスさんに俺達は驚くが……どうやら物陰にアンデッドが居た様だ。


「……まだ居るのかよ」


 思わずそう口にした俺はそれを見て疑問を浮かべた。

 何故かまた兵士の格好をしているのだ。


「……ん?」


 クリエも不思議に思ったのか首を傾げている。

 なぜ、街の中……それも大して危険ではない場所でアンデッドが出ている? あの魔法陣が関係あるならともかく、あそこにあったのはゴーストになり思念を残すという物だった。

 アンデッドになってしまえばいずれ目的さえも忘れてしまう可能性だってあるからその対策だったんだろう。

 じゃぁ、このアンデッド達はなんだ? 何故こんな所に生まれた?

 ゲームじゃあるまいし何かの薬……と言う訳ではないだろう。


「キューラ! クリエお嬢ちゃん! ぼさっとしてる暇ないよ!!」


 考えている中、トゥスさんの声が聞こえ、俺は慌てて剣を構える。

 クリエもまた武具店で借りていた武器を構え、俺達は老人とイリスを庇う様に立った。

 いつの間にか……アンデッドに囲まれていたみたいだ。

 街の中で魔物と乱闘とは……思わなかった。

 だけど……。


「やるしかないか……」


 俺はそう呟き剣を握る拳に力を込めた。

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