167 次の日の朝
野営の準備をレムス達に手伝ってもらい進めたキューラ。
しかしできた食事は食べれるだけマシと言った方が良い様な味の無い食事だった。
クリエの料理とは随分違う、そんな事を考えているとクリエが目覚め……キューラの料理に手を加えてくれるのだった。
結局トゥスさんが目を覚ましたのは朝になってからだった。
「………………」
申し訳なさそうな顔をしている彼女に俺達は何も言う事は出来ない。
俺もクリエも彼女が寝ていないだろう事は分かっていたからだ。
だからこそ黙っていたのだが……。
「何も言わないのかい?」
「そもそも皆無理をしてたんだ。休めた事は良い事だよ……」
そう伝えると彼女は溜息をつく……。
「そうかい……」
そう言いながら彼女は辺りを見回した。
「武器が無い今の状況じゃ魔物に襲われたら抵抗のしようがないよ」
「……」
確かにそうだ……今あるのは食料の入った荷物それに俺の剣。
無事だった理由はオークはあまり好まない物だったのだろう。
それは良かったが、一番困るのは武器だ。
それに防具もいつの間にか外されている……今の俺達はほぼ丸腰でしかない。
「そうだ!」
俺やトゥスさんはともかく、クリエの武器はどうにかなるかもしれない。
そう思い、俺は昨日オークに襲われた事を伝えた。
「確かに、オークの武器でもあるとないのとでは違うね、それならそのオークの集落とやらを探してみよう、奪われた武器があるはずだよ」
ああ……そうか、確かにそうだな……それに俺の武器も結局オークが持っていた訳だし、クリエ達の武器もあそこのどこかにあるはずだ。
「なら、案内する……行こう!」
俺はそう言うと早速立ち上がる。
すると二人も頷き立ち上がると……昨日、オークと戦った場所へと戻るのだった。
しかし、俺の武器を使っていた事から考えると、オーク達は持って行っているなんて事は無いだろうか?
いや、考えても仕方がない。
どっちにしても剣や盾は落ちてるんだ……あるとないのとじゃ訳が違う。
行く事自体は悪い判断では……無いはずだ。
俺達は先程捕まっていた場所へと足を運ぶのだが、その時……。
「キューラちゃん、そう言えば……あの、身体は大丈夫なんですか?」
「ん? ああ……」
不思議と魔力痛は無いな……風邪は気を張っていた所為かいつの間にかだるさを忘れていた。
というか、思い出したら……。
「くらくらしてきた……」
そう呟くとクリエは慌てて俺の傍によると……。
「大丈夫ですか!? 人肌で温めますか!?」
「いや、良いって……大丈夫だから、な?」
俺は焦りながらそう答えを返した。
いや、そう残念そうな顔をするなって……。
俺の身体の事はともかく、捕まっていた場所へと辿り着くと其処には処理をしていないオークの死体が転がっていた。
昨日のままだ。
「これ、キューラがやったのかい?」
トゥスさんは辺りの様子を見回しながら問う。
「ああ……」
にわかには信じがたい……が、運もあって俺はあの場を潜り抜けることが出来た。
戦いの最中と終わった後は特に考えなかったが仕留めたオークの数はかなり多かった……。
「…………」
黙り込んでいるトゥスさんに何を考えているのか聞こうとした時……。
「魔力は? 確か魔力痛だったんだろ?」
と問われ……。
「それが急に無くなったんだ……それで魔法を使えた」
事実を答えると彼女は訝しむような表情を浮かべる。
俺自身何と説明したら良いのか分からないし起きた事は事実だ。
「どういう事なんでしょう?」
「さぁ? 分からない……それはともかく装備を探そう」
クリエの質問にも俺は正直に答え、すぐに二人の装備を見つける事を促す。
辺りはまだ明るい……これならすぐに済むだろう……。
そう思いながら俺達は手分けをし、目的の武器を探す。
だが……。
「無いな……」
俺の剣はオークが持っていた。
だが、クリエの剣もトゥスさんの銃も無い。
そう言えば盾持ちも居なかった。
参ったな……。
「これは、もう街でそろえるしかなさそうですね」
クリエは困ったように笑いつつオークの剣を腰に身に着けた。
粗悪な品と言っても良いそれは恐らく魔物との戦いを2、3回したら折れてしまうだろう。
仕方がない……。
「暫く俺の剣を使ってくれ……」
「でも……」
「俺は魔法があるし剣がお粗末でもなんとかなるさ、それよりもクリエがしっかりした剣を持ってた方が良い」
俺はそう口にし、剣を手渡すとクリエは少し顔を赤らめながら「うへへ」と笑い、今身に着けた剣を外し俺へと渡して来た。
この剣は俺にとっては重いが我慢だ……これでクリエは戦える。
だが……。
「どうしたものかね……」
ため息をつくトゥスさん。
そりゃそうだ、精霊銃はすぐに変えのきく武器じゃない。
ましてや……。
「街に行ったところでトゥスさんの武器は……」
「売ってないね、それにあれはアタシに合わせて作ったもんだからね……仕方がない、また作るとして……」
彼女はそう言うと付近にあった剣を手に取り――。
「無いよりましだ」
とどこか寂しそうに呟くのだった。




