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11 冒険者学校へ

 キューラは挨拶を済ませていない事を理由に学校へと戻ろうとした。

 そこでなら部外者は泊まることが出来ない、故にクリエと同じ部屋になる必要が無いからだったのだが……。

 クリエはにっこりと微笑みキューラと共に……いや、キューラを学校へと連行していくのだった。

「久しぶりのベッドです!」


 そう喜んでいるのはクリエだ……。

 その場所は勿論、俺の部屋……ではなく、新たに充てられた俺達の部屋。

 ミアラ先輩達がもし俺が選ばれなかった時の為にあらかじめ話をしておいてくれたお蔭でこの部屋を使えるようになったようだ。

 だが、問題なのはこの学校は教師以外は二人一部屋が普通だ。

 しかし、俺は元々男、勿論女性と同じ部屋に充てられることは無い……それは当然だと思うし、何も問題は無い。

 だが……。


「何でクリエがこの部屋に居るんだ?」


 そう、問題はクリエが何故かこの部屋に居る……いや、正しくはこの部屋に泊まる事になったのが問題だ。

 なぜそうなったのか? 答えは簡単だ……勇者の特権、目の前の女性は事もあろうにそれを使い、俺と同じ部屋になった訳であり……。

 そうされては学校の人は例え校長や理事長ですら反論できないと来たもんだ……酷過ぎる。

 俺の自由と人権はどうなった!?


「さてと……」

「ひっ!?」


 俺が心の中で叫び声を上げるとクリエは此方へとより、自身の鎧を脱ぎ始める。

 感情が男のままで思わずその大きな胸に目が行ってしまうのが悔しいが……それでも恐怖を感じ小さな悲鳴を上げると彼女は頬を膨らませ……。


「け、警戒されてますけど、襲い掛かったりはしませんよ! 一応」

「一応ってなんだ、一応って」


 全然安心できないが、どうやっても現状は避けれない。

 そんな事を考えていると――。


「その聞きたい事があるのですが」

「な、なんだ? 胸とかの大きさは分からないぞ?」

「ち、違います! それは今度じっくり――――」


 おい、今なんて言いやがったこの勇者……俺が睨みを利かせると虚空を見つめたクリエは咳ばらいをし……。


「その、魔王の手下と言うのが気になるんです……」

「あ? ああ……」


 また急に真面目になったな……。


「見た目は幼女……ただ魔王の手下って名乗ってて……」

「…………」


 こいつ……今絶対幼女と聞いて顔を変えたな? いや、話を続けよう……。


「変な鎌で俺達の存在を消してたみたいなんだ」

「そうですか……でもおかしいですね」

「おかしい? 何がだ?」


 確かに急に狙って来るのはおかしいとは思う、だが魔大陸の魔王が変わったと言うのならそれも納得だ。

 だというのに――。


「魔大陸の王が変わったと言うのは聞いた覚えが無いんです……現魔王は神大陸との交流もありますし、もし何かあればすぐに噂になるはずです」


 そう……なのか? 俺はこっちに生まれた時から今の状態だったからよく知らなかったが、勇者のクリエがそう言うんだ。

 全く違うってことは無いよな?


「だとしたら魔王を名乗る者が別にいるって事か?」

「うーん、それもどうなんでしょうか? 此方と違ってあちらは王は一人だけ……それなのに王を勝手に名乗るなんて無礼にもほどがありますし……」


 要するに相手が本当の魔王なのか名乗っているだけなのか分からないって事か……。


「疑問ですが、旅を進めていく内に分かるでしょう……それよりも、明日には旅立つのですから皆さんに挨拶に行った方が良いですよね?」

「え……そうだな、そうするよ」


 確かに今考えても仕方が無い事だ。

 それよりもクリエの言う通り、今日中に挨拶は済ませておきたい。

 そう思って立ち上がると何故かクリエも立ち上がり……。


「ついてくる気か?」


 不安を感じ、自身の身を抱きながら問うと彼女は頷き――。


「これから心身を共にするんです、行かない訳にはいかないですよ」

「……そう、だな」


 別に間違ってはいない……でも心身を共の所には突っ込みたい衝動に駆られるが、言ってること自体に変なことは無いよな?

 そう思いつつ、俺達は部屋を後にし……。


「まずはターグ……俺の友人の所に行こう」

「はい、わかりました」


 綺麗な声でそう言うクリエは普通にしてる分にはやっぱり見惚れるぐらいの美人さんだ。

 出来ればこのままで接してくれたら嬉しいんだが……。









 元俺の部屋へと着いた俺は扉を叩く、するとすぐに元ルームメイトである少年は部屋の中から出て来て――。


「その方は勇者様か! キューラ良かったな無事に選ばれたんだな」

「ああってなんで勇者が女性だって知ってるんだ?」


 こいつはあの場に居なかったし、とすると誰かに聞いたのか?

 俺のささやかな疑問にターグは軽く笑うと――。


「何となくそう思った!」

「いや、そのドヤ顔はなんだ?」


 なんで自信満々なんだよ……。


「ド、ドヤ?」


 俺の言葉にピンとこなかったのだろう首を傾げたターグだったが……。

 まぁ、こいつの勘は当たってる。


「この人は勇者のクリエ……クリエこっちが俺の友人で同室だったターグだ」

「初めまして、そのキューラは良い奴なんで宜しくお願いします」

「…………」


 何か引っかかるが一応は丁寧な挨拶をクリエにしたターグ……しかし、クリエは何処かうつろな表情で黙り込んだままだ。


「クリエ?」

「勇者様?」


 俺達はそれぞれ彼女を呼ぶと――。


「ひっ!?」


 彼女はぐりっと首を動かし顔を俺に向けて来て両肩に手を置くと――。


「なんで男の人と同じ部屋だったんですか!? ら、乱暴とかされてないのですか!? 大丈夫なのなんですよね!? 辛かったことはなかったのですか!?」

「いや、待て待て待て待て!?」


 何を勘違いしてるんだクリエの奴は!?


「俺は元々男だ! 顔や背の高さ、声は変わってないが確かに男だった! だから男と同じ部屋だったんだよ!!」

「同じ部屋に充てられた当初は女のフリをされて俺の方が迷惑だったけどな」


 いや、あれは正直すまなかった……というかあそこまで簡単に騙されるとは思わなかったんだ。

 いくらなんでもラノベの様に男女共同生活なんて学校がそんな部屋割りにする訳が無いだろう……。


「そ、そうですか……そうでした、キューラちゃんは男の子だったんでした……」


 ふぅ、どうやらクリエも落ち着いてくれたみたいだな。


「でも、なんか納得いきません……私の可愛いキューラちゃんが」

「わ、私のって……キューラお前……勇者様に何を!?」

「何もしてない! 寧ろ俺の方が危ういんだよ!!」


 クリエの発言に反応したターグにそう答えた俺は深く溜息をつき――俺の言葉が嘘ではないと思ったのだろうターグは引きつった笑みを浮かべた。


「他の人の所にも行って来る……」

「な、なら俺もついて行くよ」


 ああ、友よ……今日この時ほどお前が頼りになる奴だとは思わなかったぞ……。

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