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111 クリードに連絡を

 キューラ達が残る。

 それを条件に村長はようやく首を縦に振った。

 後はクリードの王カヴァリとの交渉が上手くいくことを願うだけだ。

 それには勿論連絡が必要なのだが……。

 さて、村長の許可も出た事だし、クリードの王に連絡をしなければならない。

 そこでこの世界の連絡手段についてだ。

 魔法を使って水に人の姿を映し、ビデオ通話の様に……なんて出来る訳がない。

 精霊石を使った道具で電話の様になんて事も出来ない。

 そう、つまりこの世界での連絡手段は人に頼むか鳥を使うか直接向かうかのどれかだ。

 しかし、困ったことに人に頼むには少し距離がある。

 その上信用できる人物でないと駄目だ……現状そんな人はいない。

 また、距離が離れているという事は俺達が向かうって事も出来ない、途中ゾルグに寄る事にもなるし、街に寄れば当然貴族たちが何かを言ってくるはずだ。

 少なくとも領主は絶対に……。

 消去法で行くと残った方法は鳥なんだが……問題はこれにもあった。


「クリードに行ける鳥が居ない?」

「ああ、その通りだ」


 そう、クリードに向かえる鳥が居ないらしい。

 鳥を使った手紙だが、魔法を使って飛ばしている訳ではない。

 町や村には必ず鳥小屋というものがあり、そこに戻ってくる帰巣本能。

 これを使って手紙を届ける訳だ。

 だから確実に届けられるかというとそうではない。

 とは言え、それしか方法が無いのだから使うしかないと思っていたんだが……。

 鳥が居ないだって? そんな馬鹿なと思っていたところ、更なる事実が俺を襲った。


「そもそもこの村には鳥小屋は無い」

「「「はい!?」」」


 俺達三人はほぼ同時に同じ様なイントネーションでその声を発する。

 鳥小屋が無い?


「待て待て、じゃどうやって商人と交流をしていたんだい!?」


 トゥスさんの言う通りだ。

 まさかとは思うが……。


「噂を聞き来た時に直接だ」

「それしかないよな!? ってマジか……」


 おいおい……と思ったが、よくよく考えれば当然だ。

 この世界で貴族と縁を切るなら新たな村を作るしかない。

 その上家族や仲間ごと追い出されているのだから鳥を使って連絡をする相手も居ない。

 アメルーがある以上商人は仕入れに来るし、話は其処で出来る。

 確かに鳥要らずの村だ。


 しかし、今回ばかりは困ったことになった。


「別の街か村に行ってクリードに飛ばすしかなさそうですね」

「それが一番早いか……」


 俺はクリエの案に首を縦に振りつつ彼女へと頼む。


「クリエ、次の街は何処にあってどの位で着けそうだ?」


 すると彼女は地図を広げ、白魚の様な指でそれをなぞる。


「えっと……約3日程北に進んだ所に村が後は魔物が居て危険な谷を進むことになりますが1日で付ける街がありますよ」


 3日かけて安全な道か、それとも危険だが1日か……。

 鳥を飛ばすことを考えても街の方が良い。

 そう思うのが当然だろう……。


「その谷に居る魔物って俺達でも対抗できそうか?」

「……は、はい恐らくは……街の方に行くんですか?」


 クリエは首を傾げつつ訊ねてきた。

 本来なら簡単に首を縦に振っていたところだ。

 だが、俺は……。


「因みにその谷には商人は向かったりするのか?」


 今度は村長に尋ねてみる。

 すると彼は頷き……。


「ああ、護衛を雇っている商人はよくそちらへと向かっている」


 なるほど、危険とはいえ護衛さえいれば通れるのか……っていう事はそれなりの往来があるはずだってことはこの村の生命線になるかもしれない。

 村に降ろすより、街に降ろした方が商人も交渉しやすいだろうしな。

 そうなると俺が王貴族だったらまずその谷を塞ぐ……。

 周りから徐々に削っていき、最終的に交渉させる。

 そういう手だって使える訳だ……なら……道がふさがれてない今行く方が良いだろうか? と思いたいがそれも駄目だ。

 恐らくだが、その道は見張られている。

 何処をどうすれば道を防げるか、きっと調べているはずだ。

 なら……。


「安全な道を進もう」


 これも実際にはどうかと思う、見張られている可能性は十分あるし、出くわす可能性だってある。

 だが、それでもこっちを選んだ理由。


「早い方が良いんじゃないかい?」

「魔物が少ないならそこまで人を配備する必要はない、もし今そうしているのなら何らかの噂が飛び交ってるはずだ。そうした噂はあるのか?」


 俺はトゥスさんの質問にそう答えつつも再び村長に聞いて見る。


「いや、今のところないな……一応道は此方でも見張らせている。だが、商人からも村民からもそう言った情報は来ていない」

「なら、時間がかかっても村の方に行ってみよう」

「はい! 分かりました」


 クリエは俺の案に賛成らしく可愛らしい笑みを浮かべつつ返事を返してくれたが……勇者はクリエなんだがなぁ……。

 何故俺が指示をしているのだろうか? まぁ依頼を受けたのは俺だけど……本当にこれで良いのか?


「うへへ……キリっとしてるキューラちゃんもまた可愛いです」

「…………」


 うん、本人はとても満足そうだ……主に別の理由で……。

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