最終回/断薬完結編
○☆☆☆☆☆○☆☆☆●
ついに本格的に薬物を減らす決意に至った。
もうこれ以上、ラリって家族や瑠奈に迷惑をかけるのは自分でも嫌だったからだ。
『次はどうやって減らすのさ? いままでのやり方じゃぜったいに失敗するよ?』
それは理解している。
とりあえず、まずはブロンとトニンだ。どちらもODすると麻薬の弱いバージョンの多幸を得られる。ブロンなら弱い弱すぎる覚醒作用も同時に摂取できる。
当時はたしかにこれにハマっていたが、日に日にブロンのODで吐き気がすることになり、ついには吐いて、挙げ句の果てには錠剤の瓶のじゃらじゃら音を聴くだけで吐き気を催すようになってしまった。
たしかにトニン+プロメタジンは実験と称して前回試してしまったが、これ以降は試さないように決めている。トニンは吐き気が薄くジヒドロコデインの多幸がガツンとくる。
おそらくブロンのメチルエフェドリンとカフェインが多幸の邪魔をしていたせいだろう。
等量のジヒドロコデインをブロンとトニン液でそれぞれ比較したことがあるが、やはり同じ量のジヒドロコデインでも、新トニンせき止め液のほうが吐き気も薄いしマッタリ感がまるで違っていた。
話が逸れたが、そのおかげでブロンODは完全にやめたし、やめてから一年近くは断薬を続けていた。トニンも金無し人間にとっては贅沢品なので前回の実験以降は一切買っていない。
瑠奈からは『偉い!』と言われたため、モチベーションも上がったのだろう。
次の断薬の対象は、デパス、サイレース、マイスリーだ。
これに関しては毎回ODしない決意をしてもいつの間にかODしていて、おそらく一番厄介なのはデパスだろう。
5錠飲めば記憶がなくなってしまう。
飲んだあとのことだけではなく、どうしてODしたかの記憶すら消している。
そのため、ODする原因が掴めなかった。
瑠奈に託しても幽体である瑠奈に止められるわけもなく……。
薬を1日分ごとにパケに入れても、三日後にパケごとどこかへ失せていた。
全部飲まないように机、棚、鞄などさまざまな場所に入れて対策しても、ラリってる最中でも隠した薬の場所を見つけ出し、結局すべてODや多量摂取をしてしまった。
これは万事休すかーーそう思っていた。
ーーだが、しかし!
これならぜったいにODしない方法を閃いたのだ!(いや、もっと早く気づけよと思うが……)
1日分をパケごとに分けるのまでは前述と一緒。ただし今回は父親のちからを借りた。
普段は車に薬を隠してもらい、毎日朝に本日分のみ渡してくれる。
無理やり取りに行くこともできない。
なんせ車の鍵を父は隠しているからだ。
『こんな簡単な方法を思い浮かばなかったの?』
ああ、数多なる薬物のせいで正常な判断が頭に浮かびにくくなっているからだ。
さて、これにて一旦すべての薬物の乱用・ODをするこはなくなり、断薬の妙に長かった最終章断薬編件最終回はこれにて幕を閉じることになった。
最後になるが、本作を読んでいればわかるとおり、薬は大抵地獄を最終的に味わうはめになる。
さすがに本作を読んで薬物やODをしたいという方は少ないと思うが、それでも一応注意しておきたい。
ODや薬物に手を出したら最初はよくても後々地獄を見るハメになる。
それは違法もODも変わらない。
これから試そうとしている方はやめるようにおすすめする。
既に依存症になってしまっているひとは、なるべく減薬からの断薬に向けて頑張ってほしい。
また、拙作やTwitter(@lunae_aura)などで砂風の名前を見かけたときは、ぜひとも仲良くしてください。
それでは!
また会ういつの日か!
皆さんの断薬も応援しています!
余談ですが、留置場編は相変わらず思い出せないので、思い出せたら続きを執筆します。
期待しないで待っているとうれしいです!




