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ヴィオラ庭園での出来事

本編147話目の別視点。

お花たちから見たヴィオラとサーシスです♪


そして裏に表に頑張ったロータスとリアさんの休日。戦士の休息?w

 今日は良いお天気で日差しが暖かく、吹き抜ける風も心地いい。こんな上天気の日は、きっと奥様が私たちの元に来て下さいます。だから今日は心して綺麗な花を咲かせましょう!

 と、私たちが張り切っているところに、期待を裏切らず奥様が現れました。ウフフ、ほらね! あら、でも今日は旦那様もご一緒のようです。


「本当にごめん! ごめんなさい! ヴィオラがかわいすぎるから、他のやつに見せたくないし見られたくなくてつい」

「それ、いっつも言ってますよ」

「でも本当なんだから仕方がない」

「いやいや」


 あら、奥様と旦那様、喧嘩でもなさってるのかしら? というか、旦那様が必死に奥様に謝ってるんですね。


「私が他の人を見るって、疑ってらっしゃるんでしょう?」


 拗ねたように言う奥様がとってもかわいい!! しかも、かわいらしくぷっくりと頬を膨らませてそっぽなんてむいちゃって! ほらほら、そんなかわいらしい仕草をするから、旦那様がデレデレしてるじゃないですか。その顔、奥様から見えてないからよかったですね。


「そんなわけないでしょう! ただの僕のエゴです。疑うわけないでしょう! ごめん、本当にごめん!!」


 旦那様が奥様に謝りたおしていますが、


「……私が、サーシス様以外の人に興味持つわけないじゃないですか」


 ちょっと拗ねたように、でも真っ赤になりながら、小声でそんなこと言って!

 奥様、アナタそれは旦那様を萌え殺す気ですね? え? そんな計算できないって? そうですね。そうだった。

 そしてピタッと動きを止めた旦那様。これは……効いてますね。


「え……、今なんて言った?」

「知りません!」


 照れくささのあまり、奥様ってばとうとう旦那様に背を向けてしまいました。でも無理に奥様の顔を覗き込む旦那様はすごくうれしそうです。


「じゃあ、僕には(・・・)興味持ってくれてるってことでいいのかな?」


 ああもう、それ以上奥様を追い詰めないであげてぇ! ……好きな子をいじめたくなる気持ちはわかりますけどね☆

 恥ずかしさ爆発で旦那様から離れようとした奥様でしたが、


「ヴィオラ、愛してる!!」


 奥様のかわいさに我慢ができなくなった旦那様に、後ろからぎゅ~っと抱きつかれました。うんうん、気持ちわかりますよ。

 いきなり抱きしめられてワタワタする奥様はさらにかわいい!! もうこれ旦那様、萌え死に確定ですね。


「もうっ! サーシス様はぁ。……で、四日も寝ていらっしゃらないとか? ロータスから聞きましたよ」


 奥様もお許しになったのか、呆れ顔で旦那様のことを心配しているようです。


「四日くらいどうってことないよ。どうせヴィオラのことが気になって眠れないんだから、ベッドにいるか外にいるかの違い」

「休まないと身体によくありません! 騎士様は体力勝負なお仕事なんですから」

「いや僕の場合はむしろ頭脳勝負……」

「言い訳は要りません! 今日はお休みなのでしょう? 少しお休みになってください」


 奥様は食い気味にそう言うと、お屋敷の方に旦那様を引っ張っていこうとします。ああ、もう帰っちゃうんでしょうか? 私たち、せっかくきれいに咲けたのに。しょぼん。


「わかったわかった。休むから……ああ、そうだ。せっかく気持ちのいい日だから、ここでゆっくりするっているのでどう?」

「ここで、ですか?」

「うん」

「そうですねぇ。本当はちゃんとベッドで横になってほしいですけど。まあ、少しだけなら。ステラリアに敷物と上から掛けるものを用意してもらいましょう」


 奥様は侍女さんに要るものを言いつけると、侍女さんはお屋敷の方に戻っていきました。ということはまだここにいてくれるっていうことですね!

 しばらくして侍女さんがいろんなアイテムを手に戻ってきて、手早くセッティングすると奥様たちの寛ぎの時間になりました。

 奥様の膝枕で気持ちよさそうに寛ぐ旦那様です。


「ああ、そう言えば私、サーシス様にお花を見せてませんでしたよね」

「何の花?」

「前に町で買ってもらった花ですよ。ほら、戦に行く前に」

「ああ、あれね」

「きれいに植えたから見せようって思ってたんですけど、あれからバタバタしていてチャンスを逃してました」

「そうだね。どれかな?」

「ほら、あそこです。わぁ! 今日はとっても綺麗に咲いてますよ、見てください!!」


 奥様は私たちを指差しながら嬉しそうに笑っています。やたっ! 綺麗に咲いた甲斐がありましたよ! 私たちはさらに力いっぱい咲きましたよ!!


「うん、綺麗に咲いてるね。やっぱり苗を買って正解だった」

「あれから何度も咲いてくれてるんですよ。やっとサーシス様に見せられてよかったです」

「うん、僕も見れてうれしい……な……」

「あら、サーシス様?」

「うん、……なんかヴィオラと仲直りできて安心したら……眠たくなってきた……」

「無理なさるからです。ふふふ、ちょっとお昼寝してください」

「うん……そうする……」


 奥様が旦那様のきれいな髪を撫でると、気持ちよさそうに微睡んでいます。



「あ~、なんかこんな図見たことありますねぇ……いつだったかしら? ああ、そうだ。旦那様が別棟で彼女さんにこんな感じで甘えてたのを見たんだった」


 そうだそうだとボソッとつぶやいた奥様に、


「ゲホッ!! ゲホゲホゲホ……」


 それまで気持ちよさそうにウトウトしていた旦那様が飛び起きたのでした。



* * * * * *



「……まあ、とにかくみなさんが仲直りできてよかったです」

「ほんとに」


 いつもの隠れ家カフェでお茶を飲みながらくつろぐのはロータスとアマリリス。

 フィサリス家の一悶着が解決してやっとお休みがとれたロータスは気分転換にと、アマリリスを誘って町に出かけることにしたのです。


「喧嘩ができるだけ仲良くなったと喜ぶべきなのでしょうけどね」

「喜んでいいのか悪いのか……。ふふふ、でも旦那様は奥様に家出されてかなり落ち込んでいらっしゃいましたね」

「いつもですよ」

「いつもですか」


 いい香りのお茶と、美味しいお菓子でゆっくりとした時間を過ごす二人です。



 カフェを出てしばらく町中を散策し、そろそろお屋敷に帰ろうかという時間。

 気まぐれにお屋敷の近くの公園にふらっと立ち寄ってみると、池にカモの親子が浮かぶ姿が目に入りました。

 ゆっくりと水に浮かぶその姿は、見ていて癒されます。

 どちらともなくベンチに座り、水面に遊ぶ水鳥を眺めていました。

 暖かい日差しに柔らかい風、音もなく水面に浮かぶ水鳥。まったりとした時間が流れていきます。

 しばらくすると、アマリリスの肩が重くなりました。

 おや、と思い見ると、ロータスが転寝をし、アマリリスの肩にもたれかかってきていたのでした。


「お疲れですものね」


 ふふふ、と微笑み、そのまましばらく眠らせてあげるアマリリスでした。


* * * * * *


「今日は機嫌がいい? 何かあった?」


 こちらはダンデライオンのパン屋さんでデートをしているユリダリスとステラリア。

 普段からニコニコしているステラリアですが、今日はともすると鼻歌を歌ったりしていて、いつも以上に上機嫌なのです。


「え〜と、お屋敷のゴタゴタが綺麗に解決したからです」

「へぇ〜。あのフィサリス家でもゴタゴタってあるんだ」

「滅多にありませんけどね」

「それ、団長絡んでるでしょ」

「あら、なぜそう思うんです?」

「ここ数日珍しく落ち込んでたし、休憩時間に仮眠取ったりしていつもと違ってたからね。仕事に支障をきたすことはなかったけど、それでも精彩は欠いてたかな」


 仕事場でのサーシスの様子がいつもと違ったことを、ユリダリスはステラリアに話しました。


「そりゃ、寝ずの番をしていたらそうなりますよね……」

「は? 寝ずの番!?」


 ステラリアがぽろっとこぼした言葉に反応するユリダリスです。

 ステラリアは今回の夫婦喧嘩騒動をかいつまんで説明しました。


「−−喧嘩できるようになっただけ進歩じゃないかな」

「喧嘩するほど仲がいいって言いますからね」

「まあでも、それに巻き込まれる周りが大変だよな。お疲れ、リア」


 そう言ってユリダリスは、ステラリアのために甘いココアを追加したのでした。

ありがとうございました(*^ー^*)

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[一言] 誤字報告 「ここ数日珍しく落ち込んでたし、休憩時間に仮眠取ったりしていつもと違ってたからね。仕事に支障をきたすことはなかったけど、それでも(生)→(精)彩は欠いてたかな」
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