表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
67/128

多忙のわけ

本編121話目あたりの裏側。

旦那様とお義父様が忙しかったわけ。会話中心です。

~ 旦那様の場合 ~


 騎士団屯所内、サーシスの執務室。

 自分の執務机に斜に構えて座り、長い足を組んでいるのはご本人。

 机の上に置いてある書類をにらみ、コツコツと机を指で叩いている。


「イラついてますね。どうかしましたか?」


 いつもと違う様子に、ユリダリスが声をかけた。


「オーランティアがフルールに来るのはいいが、なぜ人数が確定しない?」


 じっと書類を睨んだまま、サーシスが言った。


「え? 昨日は50って言ってませんでしたか? それで昨日の会議で警護の配置も決まったじゃないですか」

「ああ、昨日はそうだった。しかしさっき訂正の連絡が入り、40になると言ってきた」

「は? まあ、少なくなる方がこっちとしては楽ですけど」

「しかし……。訂正は今回が初めてじゃない。その前も訂正が入ってたよな」

「ああ、確か最初は20っつって、その後70に増えて……」


 口に拳を当て、少し前のことを思い出すユリダリス。


「20が70って、もはや誤差の範疇じゃないよな……とまあ、それはいい。なぜそんなに人数が二転三転する?」


 そう言って眉間にしわを寄せるサーシス。ユリダリスも、先ほどサーシスが目を通していた書類を手に取り目を通す。


「どれが本当の数字でしょうかね?」

「さあ。……なんにしても怪しい」

「ですよね」

「もう一度警備計画を見直そう。なにか企んでいそうだ」

「わかりました」

「至急。それから、向こうの人数をなるべく確定できるように探りを入れろ」

「そうですね」




 ユリダリスが団員を集め瑠ために足早に部屋から出て行った後。


「くそっ、また帰るのが遅くなる……!」


 悔しそうにつぶやくサーシスであった。



~ お義父様の場合 ~



 場所は変わって、国王陛下の執務室。


「こんな手紙が来たんだが」


 そう言って前フィサリス公爵が陛下から見せられたのは、先日のオーランティアからの手紙。

 それを丁寧に受け取り中身を取り出した。


「これは……!」


 前フィサリス公爵は、サッと一読すると驚きの声を上げた。


「驚いただろう。あちらの王女がフィサリス公爵に一目ぼれしたそうで、嫁に行きたいらしい」


 椅子に肘をつき、呆れた声で補足する陛下に、


「あ~でもうちには押しも押されぬ、歴とした、みんなから愛されて止まない、他に変わりなどいるはずもないかわいい嫁がいますから、もうこれ以上は要りませんので他所様をあたってください」


 きっぱり断りを入れる前公爵。


「そんなに重ねて言わんでも重々承知しておるわ!!」

「ならいんですよ。まさか離縁を強要して、この王女と結婚しろとか言いませんよね?」


 にこ~っと笑う前公爵だが、後ろからは黒い何かが立ち昇っている。


「まさかそんなことを言うわけないだろうが!!」

「ですよね」


 大慌てで否定する陛下に、またまたニッコリ笑いかける前公爵。


「当たり前だろう……ったく」

「で、うちの息子はなんと?」


 じと目で前公爵を見る陛下をしれっとスルーする前公爵。


「即却下してた。おまけにその手紙まで破ろうとしてたな。執政官に止められていたが」

「そうですか。破いてもよかったのに」

「いやいや、いちおう親書だからな? まあ、すぐさま断りの返事を書いて、使者にもたせた」

「それはそれは。ではうちの息子に代わる婿殿候補を選ばないといけませんね」


「そうだなぁ。でも凡庸な人物では務まらなさそうなんだよなぁ」


 それまでの雰囲気とは変わって、ちょっと砕けた口調で陛下が言うと、


「おや、なにかありますかな?」


 その些細な変化を察知した前公爵の眉がクイッと上がる。


「ま、ちょっとしたことなんだけどな。あちらからフルールに来る人数が二転三転してるんだよ。この数日で」

「ほほお」

「それについては現在フィサリス公爵たちが動いているからまあ、なんとかなるだろうけど」

「ちょっとオーランティアは反省が足りないのでは?」

「そう思うよなぁ」


 ニヤリ、と笑いあう陛下と前公爵。


「そういうことですか……。では、アルゲンテア宰相のところの息子さんはどうでしょう? ああ、上は婚約者がいますからダメですけど、下はまだいないはず。うちの息子と同い年だし、身分も家柄も申し分ない」

「ふむ、それはちょうどいい!」

「さっそく宰相に打診いたしましょう」


 こうしてオーランティア王女の相手が、サーシスの代わりにセロシアに決まろうとしていたその頃。


 ぶえっくしゅん!


 盛大なくしゃみとともに悪寒に襲われたアルゲンテア執政官。


「なんだろう……ものすご~~~く嫌な予感がした」


 わけのわからない予感に青ざめた。




 そしてこの後、この縁談を回避すべく走り回り、陛下と前公爵に推薦しまくるのであった。





ありがとうございました(*^-^*)


お義母様は王妃様とのんびりお茶w

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ