お仕置き
活動報告より。
本編63話目あたりの裏側です♪ 黒執事ロータスw
ここはフィサリス公爵家本館内にある、ロータスの執務室。
そこでロータスは自分の執務机の上で手を組み、目の前に立つ商人をじっと見ている。
部屋に入ってから一言も話さないロータスの無言の圧力に、初めから顔色の冴えない商人。
「――今回は随分と騒ぎになりました」
「も、申し訳ありませんっっっ!!!」
やっと口を開いたかと思えば、開口一番このセリフ。商人はひれ伏さんばかりに頭を下げた。
それを無表情で見ていたロータスだが、ふう、と大袈裟にため息をつき、
「このことで奥様が大変お心を痛められましてね……」
首をフリフリ表情を曇らせた。
「は、はいぃぃぃ!!」
背中に冷たい汗をだらだらかく商人。額からは脂汗。
「――ということで。私どもとしては、これからそちらとのお付き合を考え直さねばいけませんね、ということになりまして」
銀縁メガネを中指でクイッと押し上げて、先ほどまでの無表情から一転、黒い微笑みを浮かべたロータス。
その笑顔を見て、商人はさらに顔色をなくし、
「出入り禁止だけはご勘弁を!! 公爵家を出禁になったと知れましたら、もう王都では商売ができませんから!!!」
ロータスにすがりつかんばかりに懇願する。
「そうですか。あ、そうそう。最近は何かと物入りでね。公爵家としても色々切り詰めていかないといけないなと思っているところなんですよ」
あんたんとこの事情なんて知ったこっちゃねーよとばかりに、微笑みを浮かべたままのロータス。
「は、はい……」
うそつけ!!!! 金、唸るほど持ってるくせに!!! とは口が裂けても言えない商人。
「実はね、そちらから仕入れているものよりもさらにいいものをより安く提供します、と言ってきている業者があるんですよ」
「は、はいいい?!」
「まあ? うちとしては品質に変わりがなければ安い方がいいですので、業者は問いませんから?」
「いやいやいやいやお待ちくださいませ、ロータス様!! も、もちろん私どももさらに勉強させていただきますので!!」
「おや、そうですか?」
きらりと光る銀縁メガネ。
「ど、どれくらいのお値段でしょうか?」
「これです」
そう言ってロータスが商人に見せたのは、同業他社から提出された、品物と値段の書かれた一覧表。
(全部、うちの七掛け……!!)
また脂汗をタラりと流す商人。
「いかがです? 結構頑張ってくださってるでしょう?」
「こ、これはさすがに……」
「おや、そうですか。ではこれからはこちらと商談することにしましょう。あ、そうそう。今日貴方が来ると聞いて、うちの旦那様が張り切って剣の素振りをしていましたねぇ。あの剣はフィサリス家に代々伝わる家宝の剣ですから、それはすばらしい切れ味なんですよ。この間も旦那様が手入れをなさっていたから、さらに研ぎ澄まされて……」
「ひいいい!!!」
ロータスが言い終える前に顔色を変えて怯える商人は、瞬時にいろいろ計算をした。
そしてとうとう決意して、
「これと同じ金額、いや、もう一割安く納入させていただきます!!」
きりっと宣言する。
「おや、頑張ってくれましたね? ではこれからもよろしくお願いしますよ? ああ、品質が落ちるようなら再交渉ですよ。今度は温情なんてありませんから」
「はいいいい!! 心して頑張らせていただきます!!」
にっこりと笑うロータスは、やはり最後の釘は忘れなかった。
※「勉強する」=値引きする、安くするということ
今日もありがとうございました(*^-^*)
大丈夫、ちょっと脅されはするでしょうが切られはしません!w
ちなみに旦那様の素振っている剣は、お仕事の時に帯刀している剣です。キレ味はもちろんいいです♪




