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482話 詐欺


昔詐欺を行った。


一時の快楽と少しばかりの小遣いを得るため、妻と中高生の娘が2人いるのに独身と偽り営業で鍛えたトークで若い女の子数人を騙す。


その中の1人の友人が取引先で顔を合わせた事のある事務員だった事で詐欺行為が露見する。


妻や娘達には汚物のような目で見られ孫達に嫌われるのを恐れた両親にも罵声を浴び、私は逮捕され全てを失う。


あれから数十年の年月が経ちホームレスになって身体を壊していた私は、炊き出しを行っていたボランティアの人に

紹介された大家さんに、区画整理で取り壊されるまでという約束でこのアパートに住む事を許された。


炬燵で暖をとっていた私の耳に部屋のドアがノックされた音が響く。


ドアを開くと若い女性が立っていて私に宗教への入信を勧めて来た。


彼女は課せられたノルマの為に入信して欲しいと頼んで来る。


入信してくれたら此を差し上げますからとカップラーメンや缶詰などが入ったビニール袋を差し出して来た。


入信料とかは必要無く、私が死んだとき魂の所有権が彼女の勤める宗教団体にあるという契約書にサインしてくれるだけで良いと言う。


集められた魂は宗教団体で清められるらしい。


私はビニール袋の食い物にひかれ契約書にサインした。


貰った食い物が入ったビニール袋を炬燵の脇に置いて炬燵に足を入れようとした時、心臓を鷲掴みにされたような痛みを胸に感じそのまま意識を失う。


今、死んだ男の脇に立ち魂を手にした悪魔は、男の死に気がつき駆けつけたライバルの悪魔達や天使達に契約書を見せる。


悔しそうな顔で帰っていく悪魔達や天使達を見ながら魂を手に入れた悪魔は呟いた。


「最近はこの汚れた魂を手に入れるのさえ一苦労。


手続きを踏んで競売に掛けられ手に入れた魂での儲けなど雀の涙。


詐欺でもなんでもして魂を手に入れなければ大儲け出来ないのさ」


悪魔は魂と食い物が入ったビニール袋を持ち帰って行った。




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